Murder Mystery VR ~SF電脳空間でミステリー体験? VRの世界へようこそ~

冴季栄瑠

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17.一日目・深夜 食堂(2)

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 その宇佐美から、今度は逆に問いかけられた。
「ライさん。黒須さんの悲鳴を聞いたあと、すぐに駆けつけたのに、犯人とすれ違わなかったというのは、本当なの?」

「ええ、誰にも会いませんでした」

「だとすると、おかしいわ。悲鳴が聞こえた時点で、黒須さんの部屋の延長線上にいた人物は、同じ並びの部屋にいた夢人くんしかいない。アリバイがないのはお互い様だけど、最も怪しいのは、彼ということになるんじゃないかしら……」
 そう言って、じっと夢人を見る。

「ぼ、ぼくじゃない! 僕は寝てたんだって」

 当然、夢人は否定した。
 夢人が黒須を殺して、俺とエレノアが来る前に、急いで部屋に戻った……もちろんその線も、あることにはあるが。

「うーん、それだとさすがに無計画で、忙しい気がするな……。黒須さんと夢人くんの間には空き部屋がありますよね。そこに誰か隠れていた、なんてことはないでしょうか……?」

 マーリンさんに確認すると、部屋の清掃は止めてあるし、空き室の扉のロックは解除していない。不審に解除された形跡もないという。

「……そういえば、夢人さんは、船長殺害の件でもアリバイはありませんよね……?」
 悪気はなく、単に確認のためだろうが、エレノアがそう呟いた。

「それじゃあ、怪しいのはやっぱり夢人くんしかいないなぁ」
 ヒカルが、嘲笑するように追撃する。こいつはなんでこう、相手を煽るかな……。

「違う、僕は犯人じゃない!」
 疑われた夢人は、蒼白になって否定を繰り返している。

 ここで、ずっと気になっていたことを、思い切って口に出してみることにした。
「自分は、この事件、そんな単純な話じゃない気がしていて……。それぞれが与えられている特殊能力の存在についても、考える必要があると思うんだけど、どうかな……」

 シーンと静まった。
 戸惑った顔で、宇佐美が言った。

「それはそうだけど……もし能力が関わっているなら、今までに推理したことはすべて白紙で、色んな可能性が考えられるじゃない。これは難易度初級よ? そこまで難しい推理を要求するかしら?」

 確かにな……。だけど、なぜか違和感が拭えない。途中から何かが、おかしくなったような……。

「……ねえ?」
 そのとき、マーリンさんがキッチンから顔を出し、遠慮がちに声をかけてきた。

「お話し中ごめんなさい。そろそろメンテナンスのために店を閉めるんだけど……」

 食堂から出ていってほしいということらしい。24時間営業というわけではないんだな。

 ヒカルがあくびを噛み殺しながら言った。
「ふぁ……確かに、眠い。もう今日はもうここまでにしないか。たしかに、夢人くんを犯人と特定するには、弱い気がするし。決定的な証拠が見つかるまでは、議論していても堂々巡りだ……」

「僕も、もう部屋に戻りたい。部屋の方が安全だもの……誰も信用できない」
 夢人もそう言って、解散の流れになった。

 食堂の主に礼をいい、おもむろに各自の部屋へと戻り始める。

 ん? そういえば。
 ここで一番に騒いできそうな声が、さっきから聞こえてこないことに気づく。

 振り返って見ると、あーちゃんがぼんやり歩きながら、指を顎に当てて、何かを考えこんでいた。

「あーちゃん、どうかした?」
 隣に寄って、小声で話しかける。

「ライちゃん……あたし、犯人がわかったかも」

「え!?」

「さっき、ピピッて閃いちゃったっていうか……んー、でもなぁ……そうすると、最初と合わないんだよね……おかしいとは思うんだけど、説明できない……やっぱり気のせい?」

 彼女なりに気になることがあり、それを自分の中でまだ整理できていないようだ。
 話し相手になろうとしたが、あーちゃんは首を振って、話を切り上げた。みんなが部屋に戻るなら自分も戻るという。こちらとふたりきりになるほどには、信用されていないらしい。

「もうちょっと考えてみる……あたしだってやればできる!」
「お、おう、がんばれ!」

 宿泊ルーム区画の分岐点にきて、おやすみを言って別れた。
 思わず励ましてしまったが、これで良かったのだろうか……。
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