Murder Mystery VR ~SF電脳空間でミステリー体験? VRの世界へようこそ~

冴季栄瑠

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18.二日目・そして朝

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 部屋に戻ると、ゲーム内時刻では夜中の三時ちょうどを指していた。

 部屋の扉は自動ロックになっているものの、念のためドアの内側に立って「ロック中」の文字を確認する。

 わずかでも体力を回復しておいたほうがいいかと思い、ベッドに寝転がった。

(ダオラ船長と、黒須さん。初日でふたりも殺されてしまった……。
 そして、あーちゃんは、なにかに気づいた様子だったけれど、一体なんのことだったんだろう)

 ピークを過ぎたせいで、脳が変に興奮状態となっていたが、横になるうち、やがて瞼は重くなっていき……。

 …………。
 ………。
 ……。

 そして明朝、浅い眠りを経て、早々に覚醒することとなった。

 体に怠さを覚えながら、上半身を起こす。頭がまだぼやっとしている。

(目覚ましにコーヒーでも飲みたいな。食堂に行くか……)

 六時半。この時間なら、食堂は開いているだろう。
 クローゼットの前で新しい衣服に着替えてから(同じ型なので気分的なものに過ぎないが)、部屋をあとにした。

***

 一階の食堂に入ると、ひとりで席についているあーちゃんが目に入った。

「あーちゃん、早いね」
「ライちゃん。おはよ~」

 いつも明るい彼女も、昨夜はさすがに眠れなかったのか、疲れた顔をしている。

「ひとりかい?」
 そう尋ねると、

「ううん。うさみんも一緒なんだけど、図書室に本を返しに行くからって、今さっき出ていったの。私も食べ終わったから、これから向かうとこ」

 図書室は、食堂の奥のアクティビティエリアにあるのだったな。

 ゲーム内に存在する本だから文字通り「電子書籍」なのだが、ここでは紙本の形を模した「仮想実物」を手に取って、部屋に持ち帰って読むこともできるという。

「そうか、俺もあとで立ち寄ってみようかな」
「うんうん。それと、あとで意見交換でもする? 個人の能力のこととか、知られないほうがいいと思っていたけど、やっぱりライちゃんになら教えてもいいかなって」

 と、女の子らしい小ぶりな鼻を照れたように指で擦りながら、あーちゃんは言った。

 『知られないほうがいい』というのは、ゲームのヒントとしてそれが注意書きにあったためだ。
 能力を知らしめてしまうと、厄介だと思われれば犯人からのヘイトを集めるし、いざというときに身を守る隠し玉として、備えておくことを推奨されているのだ。

 もちろん、相手が信頼できると思えば、能力を開示して協力することもできるが……。

 こちらの「コンティニュー」と、制作関係者権限の「デバッグ」は説明しずらいなぁ、なんて思いながら、笑顔で返した。

「ああ、じゃああとで、ラウンジにでも集まろうか」
「うん。みんなと一緒にいたほうが、怖くなさそうだし……それじゃ、あとでね」

 あーちゃんは不安そうな表情を残し、こちらと入れ替わりに食堂を去っていった。

(だんだん不気味に感じられているんだろうな……気持ちはわかる)

 推理ゲームの実体験は、もっと楽しいものだと思っていた。だが、自分も殺されるかもしれないとなると、話は違ってくる。

 刺されたり殴られるなどしたとしても、激痛をともなうわけではないだろうが、殺意を向けられること自体ショックだし、精神的な負荷がかかるのは間違いない。

(そんな恐怖体験、わざわざ体験したくはないなぁ……)

「お兄さん、ご注文は?」

 厨房からマーリンさんが顔を出したので、お替り自由だというコーヒーと、軽食を注文した。

***

 しばらくして、コーヒーカップが空になる頃――。

「きゃああぁあ!?」

 つんざくような悲鳴が、同階の奥のエリアから響いてきた。
 なにごとかと席を立ち、声が聞こえたほうへと走る。

 廊下を少し進んだところに「図書室」の看板があった。中に人の気配を感じ、迷わず突入する。

 こじんまりとした書斎ほどのスペースの図書室内――。

 そこには、天井の照明に引っ掛けた縄で首をくくり、絶命しているあーちゃんと、そのそばで腰を抜かしている宇佐美の姿があった。
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