Murder Mystery VR ~SF電脳空間でミステリー体験? VRの世界へようこそ~

冴季栄瑠

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27.三日目・解決編(4)

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「黒須さんもNPCだったのか?」

 どこか悔しげな表情で、ヒカルが確認を入れる。
 そういえば彼は最初から目立ちたがり屋だったな、と思い返しながら、問いに対する返事をする。

「いえ、黒須さんは有人プレイヤーです」
「それなら、殺害されたのに目的が達成されなかったというのはどういうことだ?」
「それは、彼はまだ生きていたからです」

 単刀直入に答えると、今度はエレノアが口を挟んだ。

「でも、後頭部の傷は致命傷だったと思うし、死体も息をしていなかったはず。まさか、それも能力によるものですか?」

「そう。彼もまた自身の特殊能力により『キル状態』にはならなかった。……そこは本人に説明してもらいましょうか。にゃいぼ、連れてきてくれ」

「あいあいさー、ですにゃ」

 キッチンの奥に待機させておいたにゃいぼが、しゅたっと姿を現した。

「え?」
「なんだなんだ」
「誰?」

 ざわめくメンバーたちに、彼女はお掃除ロボットがトランスフォームした姿で、条件を満たすことで解放される隠しキャラクターであることを説明する。すると夢人は「隠しキャラまでいたなんて……それ僕が見つけたかったな……」と恨めしげな目を向けた。

 すんなり納得して、おまけに物欲しそうな顔をしているあたり、全員ゲーマーなんだなとしみじみ感じる。まぁ、自分もやりこみ要素があればコンプリートせずにはいられない、コアゲーマーではあるのだが……って張り合っている場合ではない。

 そうこうしているうちに、にゃいぼが透明のケースに入れたものを皆に披露した。ケースの中には、赤いゼリー状の、スライムのような塊が入っている。それを示しながら説明を加える。

「これが黒須さんです。船内に潜み、逃げ隠れしていたところを、にゃいぼに捕まえさせました。彼の特殊能力は、死亡に至るほどのダメージを受けたとき、一度だけこのゼリー状の姿となって分離し、生き延びることができる分裂能力。――ですよね、黒須さん」

 ケースの中にペンと紙を差し入れると、スライムがぬとぬとと動き、みみずのような字を紙面に書いた。

「お、れ、く、ろ、す……あ、か、み、ず、く、ら、げ……能力名が、赤水くらげだと言っているようです」

 斜め上だか下だかわからないヘンテコな能力の出現に、全員呆れたような、疲れたような表情を浮かべた。

「ちなみに、マーリンさんが困っていた食料のつまみ食いも、彼の仕業のようです。この姿を維持するにはエネルギーを消耗するらしく、ゲーム終了までの生存を目指して隠れていたのだと」

「ワタシのテリトリーを荒らすなんて、いい度胸ね。料理の材料にしてやろうかしら」

 マーリンさんの目(?)の部分が、ギラリと光った。スライムはぶるるっと震えている。

「黒須さん……生きていたなら、なぜ逃げ隠れしていたの? 体に戻ることはできないの?」

 宇佐美が疑問を口にする。

 筆談させていては時間がもったいないので、にゃいぼに事前に聴取させておいた証言を元に代弁させてもらう。

「黒須さんが何者かに殴られて転倒し、血痕のふりをして分裂、様子を見ていたところ……目には見えないものの、何かの気配が自分の体の横について、パーソナルパネルへアクセスを試みているのを察したそうです。
 しかし、他者による接続を拒否するエラー音が出たために、相手は『なぜだ? キル状態になっていない』と呟いていたと」

「声を聞いたのですか? それは男性の声? 女性の声?」

 質問したエレノアに、首を横に振って答える。

「分裂すると、音声が一様に電子音のように聞こえるようで、性別まではわからないと」

 くらげ化した黒須さんは、身を潜め、全員が現場から立ち去ったあと、その場を離れた。
 分裂したあと、体に戻れるのかどうかは試さなかったが、本体は瀕死の傷を受けているので、戻ることはできない可能性が濃厚だ。
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