異世界ダークエルフの守護者 -Master of Dark Elf-

あんたれす

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本編

24 新装備の調整 上

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 吾郎は食後のおやつ&作業のお供として一緒に買っておいたコーラグミ(200金貨)の袋口を両手で開けると、昔懐かしいコーラ瓶の形をしたグミを口に放り込んだ。

「あぐあぐ……うまいうまい」

 吾郎は弾力豊かなコーラ風味のグミを噛み噛みしながら、まずは電動給弾器の強化に取り掛かった。

「さて、コツコツと強化をしていきますか」

 吾郎は電動給弾器用に購入した電池をはめ込んでから本体、内部機構の強度などを強化していき、次いで電池残量の向上、駆動の際の超省エネ化などなど、吾郎が生きている間は絶対に壊れない品質まで徹底的に強化していく。

 ガス式エアガンであるグローク18専用の空マガジン5個は、全てをロングマガジン化して50発装填可能にすると、その空マガジンに対して早速、電動給弾器を使って給弾作業を試してみる。

「おおー、早い早い」

 今まではBBローダーにより手動でスコスコと弾を送り込んでいたのだが、電動給弾器ならば空マガジンを押し当てるだけで自動で一気にマガジン内に弾が押し込まれていく。

 吾郎はあっという間に空マガジン5個の給弾を終わらせた。

「弾切れという悪手は二度と御免だが、これならば戦闘中での給弾作業も多少はマシになりそうだな」

 次いで、吾郎はガス式エアガン用のガス缶に手を当てると「強化鍛冶師(インフレスト)」の力を注ぎ込んでいく。

 ガス缶に対しては、缶の強度や内部ガスを巨大化させて増加などを施す。

 それを終えてから、吾郎はお待ちかねの大人用のガス式エアガン「グローク18」を開封すると、それを手にとって確認してみた。

「流石は大人用のエアガンだな。しっかりとした見た目と重さ、そして肌触りも良い」

 吾郎はグローク18のスライドを引いてみると、「カチャリ」と実に心地よい軽快な音が鳴る。

「いいね」

 吾郎はグローク18を手に持ちながら本体強度、ギミックの安定性や強度、連射時の冷却能力、命中精度などの向上を施していく。

 吾郎は強化したグローク18を丸机に置くと、次いで付属の専用マガジンを箱から取り出して、それにも給弾をおこなう。

「さて、ガス式エアガンのマガジンには弾を込めるだけではなく、ガスも注入しないといけないんだったな」

 吾郎はBB弾を装填した付属の専用マガジンを手に持ちながら強化鍛冶師(インフレスト)の力を注ぎ込んでいくと、専用マガジン本体の強度、機構部の強化、ガス充填量を増加させる為に貯蔵部の強度強化などを施した後、専用マガジンの底からガスを注入していく。

「ガス式はマガジンからガスが出るから、射出威力をマガジン側で設定しておかないとダメっぽいな」

 吾郎は射出威力の強化をして、現状のエアガンと同程度にしておく。

 ちなみに、ガスはある程度だけを充填するに留めておき、残りはマガジン内のガスを巨大化させて増やすことにより、ほぼ無限に使える程にガス量を増加しておいた。

「通販サイトのレビューによると、ガス式はすぐにガス切れになるらしいから、ここは徹底的に強化しておくべきだな」

 吾郎は他の専用マガジンにも、同じように本体強化やガスの注入と増大化も行っていく。

「一応、これで大丈夫だとは思うが、それでもガスが足りなくなりそうなら、完全に切れる前に中にある残りのガスを、また巨大化で増加してあげれば補充は可能だろう。つまり、俺が使う限りは永久機関みたいなものだな」

 吾郎はグローク18専用マガジンの強化を終えると、「ふう」と一息ついた。

「しかし、普通の品物はコピペみたいに増殖ができないのに、水、電気、ガスみたいなものは巨大化でいくらでも増やせるみたいだな……。いや、食品が巨大化する際には、ひとつひとつの素材が増殖して大きくなっているとも考えられるか……」

 吾郎はコーラグミをひとつ取り出すと、それを少しだけ大きくしてみる。

「グミの中にあるそれぞれの成分や素材が分裂増殖して大きくなった、とも考えられるわけだが、でもまー、チート能力だからあまり深く考えても仕方がないんだよな。結局、できるんだからできる。できないことはできない。というところか」

 吾郎は少し大きくなったコーラグミを口に放り込むと、モゴモゴと噛み噛みする。

「つまりは、とにかくチートはチート、大事なのはその特性をいかに理解して上手に運用していけるか、だな」

 吾郎はその場で立ち上がりグローク18にマガジンを装着すると、両手で構えつつダークエルフ達がいない明後日の方角の青空に銃口を向けて、試し撃ちを行ってみる。

 フルオート連射の設定にしてあるので、スライド部が「ジャコココココ!」と軽快に前後スライドを繰り返しつつ、漏れ出たガスを撒き散らしながら吾郎の両手の中で程よく暴れまわる。

 吾郎はグローク18の動きを両手で抑制させながら空に向かって撃ち続けると、マガジン内の50発のBB弾が数秒で撃ち尽くされてしまった。

「はー! 流石はフルオート機能、一瞬で連射できるんだな! しかも、ガスブローバック式と呼ばれる自動で、スライド部が前後するのが格好良いし、何より気持ちが良い!」

 吾郎はそのまま銃口を空に向けたまま連発で空撃ちをし続けると、ガスブローバック機構が「ジャコココココ!」と唸りながらスライドを前後に稼動させる。

「いいねー、ガスブローバック」

 次いで吾郎はトリガーをチョイチョイと指加減で単発っぽく撃ってみると、スライド部が「ジャコン! ジャコン!」と前後に動く際の1回1回の動作がよりしっかりと観察できた。

「本物の銃のような動きだな。流石は大人用だ」

 吾郎は両手持ちから片手持ちに切り替えると、単発でトリガーを引いてはジャコジャコし続ける。

「空撃ちをすると壊れやすいらしいが、俺のグローク18は本体や内部機構も既に強化済みだから、連発しまくっても特に問題無し」

 とは言いつつ、吾郎はふいにトリガーを引くのを止めるとマガジンをスルリと取り外した。

「……ああ、なるほど、これは確かに冷たい」

 吾郎は専用の空マガジンを手に持ちながら、その手に伝わる冷たさに一人頷いていた。

「レビューにも書かれてあったが、ガスブローバック式はスプレー缶と一緒で、ガス放出時にマガジン本体温度が下がってガスの出が悪くなる。つまり威力が下がったり撃てなくなったりするらしいんだよな」

 吾郎はマガジン本体に冷たくならない強化を追加すると、マガジンから冷たさが消え去った。

「ふむ、これでグローク18はひとまずは完成形かな」

 吾郎は残りの専用マガジンにも同じく冷却耐性の強化を施すと、また空のマガジンを装着して、しばらくの間、ジャコジャコと空撃ちを楽しむのだった。
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