24 / 25
本編
23 装備拡張
しおりを挟む
吾郎は屋上から、そのまましばらくぼんやりとダークエルフ達を観察し続けていると、水とロールパンを食しただけなケガ人の中から、ぽつぽつと上半身を起き上がらせて座り始める者が現れた。
「あれだけのケガをあんな貧相な食事で治すとは。ダークエルフ達の持つ変換回路もなかなかのチート級みたいだな」
吾郎はダークエルフ達の回復力の凄まじさに、呆れ気味に小さく首を振った。
「ま、何にせよ死人はでなさそうで良かった」
ケガ人達の容体がより落ち着き始めたあたりで、ジャガイモを水で煮たスープが完成したようだった。
先程のロールパンを運ぶ係が、今度はスープを受け取る列を作ると、使い捨てのどんぶりに入れられたスープをケガ人の為に優先して配っていく、それが一通り終わった所で、次に疲れて座っていたダークエルフ達が、配給の列に並んで切り分けられたロールパンとジャガイモスープを受け取っていく。
食料を受け取ったダークエルフ達は地面に腰を下ろすと、静かに食事を始めた。
ゆっくりと静かに、でも、黙々とスープをスプーンですくっては飲み、ロールパンをちぎっては口に運ぶ。
しばらくすると、先程の水を口にした時のように、あちらこちらでダークエルフ達がすすり泣く光景が現れた。
皆、溢れてこぼれ落ちる涙を指先で、手の甲で、または腕で拭いながら、綺麗なジャガイモを純水で煮たジャガイモスープと、カビなどひとつもないふかふかのロールパンによる、この世とは思えない美味しさを味わいながら、感動に身を震わせているのであった。
ダークエルフ達が感動しているのを見て、吾郎も少しばかり胸が熱くなるのを感じた。
「誰かを助けて、それを心から感謝感動してもらえるというのは、こんなにも嬉しく感じるものなんだな」
吾郎は屋上からひっそりとダークエルフ達を観察しているのだが、遠目で見てもわかるほどに感動しているダークエルフ達の姿を目にして、吾郎は何だが気恥ずかしくなって後ろ頭を片手でポリポリとかくのだった。
「ケガ人が回復しきれないような感じならば、もう少し高カロリーな物を投入する予定だったが、どうやら大丈夫そうだな」
命の危険性があったダークエルフの若長も、まだ寝転んだままとはいえ看病してくれている者から、ジャガイモスープを口に運んでもらっているのを見るに、体はきちんと回復傾向にあるということを吾郎は確信した。
ケガ人を含むダークエルフ達は、このままでも十分に大丈夫だと判断した吾郎は、屋上の丸机に戻ると椅子に腰を下ろす。
「さて、俺は俺の用事を始めるか」
吾郎は通販ウインドウを立ち上げると、指先でタッチ操作しながら商品の物色を始めた。
「この異世界の激辛ぶりはよくよく理解させてもらった以上は、きっちりとそれ相応の対応をしてやろう」
日本人の古来よりの性質は順応性である。
吾郎は次から次へと品物を買い物カゴに放り込みながら、時には青空を眺めて思案しつつ、色々な物品を購入していった。
丸机の上に購入した商品類が、光の粒子に包まれながら一挙に転送されてくる。
・タクティカルベスト 5000金貨
(サバイバルゲーム用。軍隊、特殊部隊風。ポーチがゴテゴテと付いているのでマガジンなど色々と入れられる)
・88式鉄帽 6000金貨
(サバイバルゲーム用。自衛隊装備風のヘルメット)
・電動給弾器 5000金貨
(総給弾数800発。BBローダーの電動版。空マガジンに対して電動で一気に給弾できる)
・単4電池 300金貨
(10本入、電動給弾器用)
・グローク18 1万4000金貨
(東京マロイ製(No44)、拳銃、ガスブローバック式、オートの場合は毎分1200発)
(撃つ度にスライド部分が本物のように稼動する)
・空マガジン(グローク18用) 5個 7500金貨
・ガス式エアガン用のガス 1500金貨
(グローク18用のガス)
・89式小銃 4万5000金貨
(東京マロイ製(No83)、電動、自衛隊に配備されている国産アサルトライフル風)
・空マガジン(アサルトライフル用) 5個 2万金貨
(多弾仕様、装弾数450発)
・その他(BB弾など)...etc
吾郎は通販ウインドウの残高を見ながら項垂れた。
「残り4000金貨程度。命懸けで稼いだ金が一瞬で溶けたか……」
吾郎は他にも欲しい物が色々とあるので、まだまだ金貨がいくらあっても足りない状態であった。
ダークエルフ達に援助をしなければ、もう少し装備を充実できたのだが、それを後悔するほど吾郎は恩知らずな男ではない。
「日本人として、恩義において彼女達に負けるわけにもいくまいて。というか、そもそも、彼女達が居てくれなければ、こうやって次の事を考える機会も失われていたわけだからな」
吾郎はダークエルフ達が、感動の涙をこぼしながら今も食事をしているのかと思うと、なんだか気分がほっこりとするのだった。
「ただ、残高が寂しくなったとはいえ、装備がまたも充実したことには違いはない。つまりは、次の狩りはより安定感が増す。というか、もう二度と死にかけてたまるか」
吾郎は丸机の上に山積みになっている商品箱を片っ端から開封して、新しい装備品の調整を始めるのだった。
「あれだけのケガをあんな貧相な食事で治すとは。ダークエルフ達の持つ変換回路もなかなかのチート級みたいだな」
吾郎はダークエルフ達の回復力の凄まじさに、呆れ気味に小さく首を振った。
「ま、何にせよ死人はでなさそうで良かった」
ケガ人達の容体がより落ち着き始めたあたりで、ジャガイモを水で煮たスープが完成したようだった。
先程のロールパンを運ぶ係が、今度はスープを受け取る列を作ると、使い捨てのどんぶりに入れられたスープをケガ人の為に優先して配っていく、それが一通り終わった所で、次に疲れて座っていたダークエルフ達が、配給の列に並んで切り分けられたロールパンとジャガイモスープを受け取っていく。
食料を受け取ったダークエルフ達は地面に腰を下ろすと、静かに食事を始めた。
ゆっくりと静かに、でも、黙々とスープをスプーンですくっては飲み、ロールパンをちぎっては口に運ぶ。
しばらくすると、先程の水を口にした時のように、あちらこちらでダークエルフ達がすすり泣く光景が現れた。
皆、溢れてこぼれ落ちる涙を指先で、手の甲で、または腕で拭いながら、綺麗なジャガイモを純水で煮たジャガイモスープと、カビなどひとつもないふかふかのロールパンによる、この世とは思えない美味しさを味わいながら、感動に身を震わせているのであった。
ダークエルフ達が感動しているのを見て、吾郎も少しばかり胸が熱くなるのを感じた。
「誰かを助けて、それを心から感謝感動してもらえるというのは、こんなにも嬉しく感じるものなんだな」
吾郎は屋上からひっそりとダークエルフ達を観察しているのだが、遠目で見てもわかるほどに感動しているダークエルフ達の姿を目にして、吾郎は何だが気恥ずかしくなって後ろ頭を片手でポリポリとかくのだった。
「ケガ人が回復しきれないような感じならば、もう少し高カロリーな物を投入する予定だったが、どうやら大丈夫そうだな」
命の危険性があったダークエルフの若長も、まだ寝転んだままとはいえ看病してくれている者から、ジャガイモスープを口に運んでもらっているのを見るに、体はきちんと回復傾向にあるということを吾郎は確信した。
ケガ人を含むダークエルフ達は、このままでも十分に大丈夫だと判断した吾郎は、屋上の丸机に戻ると椅子に腰を下ろす。
「さて、俺は俺の用事を始めるか」
吾郎は通販ウインドウを立ち上げると、指先でタッチ操作しながら商品の物色を始めた。
「この異世界の激辛ぶりはよくよく理解させてもらった以上は、きっちりとそれ相応の対応をしてやろう」
日本人の古来よりの性質は順応性である。
吾郎は次から次へと品物を買い物カゴに放り込みながら、時には青空を眺めて思案しつつ、色々な物品を購入していった。
丸机の上に購入した商品類が、光の粒子に包まれながら一挙に転送されてくる。
・タクティカルベスト 5000金貨
(サバイバルゲーム用。軍隊、特殊部隊風。ポーチがゴテゴテと付いているのでマガジンなど色々と入れられる)
・88式鉄帽 6000金貨
(サバイバルゲーム用。自衛隊装備風のヘルメット)
・電動給弾器 5000金貨
(総給弾数800発。BBローダーの電動版。空マガジンに対して電動で一気に給弾できる)
・単4電池 300金貨
(10本入、電動給弾器用)
・グローク18 1万4000金貨
(東京マロイ製(No44)、拳銃、ガスブローバック式、オートの場合は毎分1200発)
(撃つ度にスライド部分が本物のように稼動する)
・空マガジン(グローク18用) 5個 7500金貨
・ガス式エアガン用のガス 1500金貨
(グローク18用のガス)
・89式小銃 4万5000金貨
(東京マロイ製(No83)、電動、自衛隊に配備されている国産アサルトライフル風)
・空マガジン(アサルトライフル用) 5個 2万金貨
(多弾仕様、装弾数450発)
・その他(BB弾など)...etc
吾郎は通販ウインドウの残高を見ながら項垂れた。
「残り4000金貨程度。命懸けで稼いだ金が一瞬で溶けたか……」
吾郎は他にも欲しい物が色々とあるので、まだまだ金貨がいくらあっても足りない状態であった。
ダークエルフ達に援助をしなければ、もう少し装備を充実できたのだが、それを後悔するほど吾郎は恩知らずな男ではない。
「日本人として、恩義において彼女達に負けるわけにもいくまいて。というか、そもそも、彼女達が居てくれなければ、こうやって次の事を考える機会も失われていたわけだからな」
吾郎はダークエルフ達が、感動の涙をこぼしながら今も食事をしているのかと思うと、なんだか気分がほっこりとするのだった。
「ただ、残高が寂しくなったとはいえ、装備がまたも充実したことには違いはない。つまりは、次の狩りはより安定感が増す。というか、もう二度と死にかけてたまるか」
吾郎は丸机の上に山積みになっている商品箱を片っ端から開封して、新しい装備品の調整を始めるのだった。
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる