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第1章―新しい人生
家族#3
――そんなことを昨日の時点では思っていたのだが、人のことを心配している場合じゃなかった。昨日調子が良くても、次の日に悪くなるのが今の身体だった。
結局次の日から熱を出して寝込んでしまったために、アルフレッドと再び顔を合わせたのは一週間経ってからだった。
「み、ミハル……」
ようやく許可が出て、執事に抱かれた状態で家族がいる応接間に行ったら、今にも泣きそうな……いや、すでに泣いているアルフレッドと対面した。
ああ……やっぱり。
「ごめんなさい、ミハル……ぼくのせいで……」
いやいや、違う!アルフレッドの所為では全くない!
すべてはあのタイミングで熱出す俺の身体が悪い!
俺は執事に頼み、アルフレッドの右隣に座らせてもらった。
「アルにいしゃまのせいじゃないでしゅ!ぼくがよわいからいけないんでしゅ」
「そ、そんなことないよ!ミハルはよわくないよ!」
いや弱いだろう。どう考えても。
それなのに、俺のことを大切にしてくれる今の家族には、頭が上がらない。
「ミハルは強いよ。だから、そんなこと言わないで」
すると俺の右隣に居たユリアスが、そう言い、俺を抱きしめた。
ユリアスまで!?いや俺の身体はどう考えても弱い……。
「ミハル。お前は弱くない。私がそういうのだから間違いない」
「そうだよ!こんなに我慢強くて優しい子は他に居ないよ」
ついには母と父までもがそう言った。
……この人たち、俺を過大評価してませんか……?
「どんなにつらくても、ミハルは弱音を吐いたりしないだろう?」
「そうだね、医者としても、こんなに我慢強い子は見たことなかったよ」
……あ、そういうことなの?
それは、俺の中身が成人男性であるからであって、もし精神が普通の子供だったら耐えられてなかったと思う。
とにかく今は、泣いているアルフレッドをどうにかしなくては。
アルフレッドは俺と違って普通の子供の精神なんだし、これ以上俺の所為で気苦労は与えたくない。
「アルにいしゃま、あのね、木、もってきてくれてうれしかったよ」
「……でも……」
「それにね、あのあと、いっぱいおはなの絵くれてうれしかった!」
俺は服の中に隠しておいた紙を出してアルフレッドに見せた。これは、アルフレッドが寝込んでいる俺の為に花の絵を描いてくれた紙だ。
本物の花を摘むのは俺が悲しむと考えたのか、実際の花の代わりに花の絵を描いてくれて、寝込んでいる一週間の間、毎日届けてくれたのだ。
アルフレッドは、俺が出した絵を驚いたように見つめた。
「これ……もっててくれたの?」
「ねてるあいだね、これみたらげんきでたの!だから、アルにいしゃまにありがとうって、いいたかったの」
「み、ミハル……!」
アルフレッドからも抱きしめられ、俺は両隣から抱きしめられる形になった。
さらに、両親も俺達の下にやってきて、俺の頭を撫でてくれた。
家族のぬくもりに囲まれて、俺は嬉しさを感じつつも、その実戸惑ってもいた。
前世の俺は、こんな風に家族の愛を受けたことはなかったから。
前世では、両親は物心付く前に亡くなり、引き取られた伯父夫婦には出来損ないだと言われて邪魔者扱いされた。だから成人すると同時に、縁を切って家を出たのだ。
だから俺はずっと、伊月に出会うまでは、出来ない人間、役に立たない人間は、人から愛されないと思って生きてきた。
でも、ブラックウェル家の人たちは、前世以上に役に立たない俺のことを本気で愛してくれている。
前世ではずっと親の顔色を窺って生きてきた俺だから、それがわかった。
だからこそ戸惑うのだ。
――なんで、こんな俺を愛してくれるんだろうって。
……あ、でも前世で、伊月の前でそう言ったら、必ず「何にもわかってねえなお前は。そんなに不安なら俺が体にわからせてやる」と言われて朝まで……。
その時のことを思い出してしまい、思わず顔が熱くなった。
それにいち早く気付いたのは、右隣に居たユリアスだった。
「ミハル、顔赤くなってるよ!?もしかして、ぶり返しちゃった!?」
「ち、ちが!これは!」
「おや、本当じゃないか!ミハル、大丈夫かい!?」
「お、おとうしゃま!ぼく、だいじょうぶでしゅ!」
途端に慌て出した家族に、俺は申し訳ないと同時に居たたまれない気持ちになった。
まさか前世のあれこれを思い出してしまって赤面してしまったなんて口が裂けても言えない……。
結局次の日から熱を出して寝込んでしまったために、アルフレッドと再び顔を合わせたのは一週間経ってからだった。
「み、ミハル……」
ようやく許可が出て、執事に抱かれた状態で家族がいる応接間に行ったら、今にも泣きそうな……いや、すでに泣いているアルフレッドと対面した。
ああ……やっぱり。
「ごめんなさい、ミハル……ぼくのせいで……」
いやいや、違う!アルフレッドの所為では全くない!
すべてはあのタイミングで熱出す俺の身体が悪い!
俺は執事に頼み、アルフレッドの右隣に座らせてもらった。
「アルにいしゃまのせいじゃないでしゅ!ぼくがよわいからいけないんでしゅ」
「そ、そんなことないよ!ミハルはよわくないよ!」
いや弱いだろう。どう考えても。
それなのに、俺のことを大切にしてくれる今の家族には、頭が上がらない。
「ミハルは強いよ。だから、そんなこと言わないで」
すると俺の右隣に居たユリアスが、そう言い、俺を抱きしめた。
ユリアスまで!?いや俺の身体はどう考えても弱い……。
「ミハル。お前は弱くない。私がそういうのだから間違いない」
「そうだよ!こんなに我慢強くて優しい子は他に居ないよ」
ついには母と父までもがそう言った。
……この人たち、俺を過大評価してませんか……?
「どんなにつらくても、ミハルは弱音を吐いたりしないだろう?」
「そうだね、医者としても、こんなに我慢強い子は見たことなかったよ」
……あ、そういうことなの?
それは、俺の中身が成人男性であるからであって、もし精神が普通の子供だったら耐えられてなかったと思う。
とにかく今は、泣いているアルフレッドをどうにかしなくては。
アルフレッドは俺と違って普通の子供の精神なんだし、これ以上俺の所為で気苦労は与えたくない。
「アルにいしゃま、あのね、木、もってきてくれてうれしかったよ」
「……でも……」
「それにね、あのあと、いっぱいおはなの絵くれてうれしかった!」
俺は服の中に隠しておいた紙を出してアルフレッドに見せた。これは、アルフレッドが寝込んでいる俺の為に花の絵を描いてくれた紙だ。
本物の花を摘むのは俺が悲しむと考えたのか、実際の花の代わりに花の絵を描いてくれて、寝込んでいる一週間の間、毎日届けてくれたのだ。
アルフレッドは、俺が出した絵を驚いたように見つめた。
「これ……もっててくれたの?」
「ねてるあいだね、これみたらげんきでたの!だから、アルにいしゃまにありがとうって、いいたかったの」
「み、ミハル……!」
アルフレッドからも抱きしめられ、俺は両隣から抱きしめられる形になった。
さらに、両親も俺達の下にやってきて、俺の頭を撫でてくれた。
家族のぬくもりに囲まれて、俺は嬉しさを感じつつも、その実戸惑ってもいた。
前世の俺は、こんな風に家族の愛を受けたことはなかったから。
前世では、両親は物心付く前に亡くなり、引き取られた伯父夫婦には出来損ないだと言われて邪魔者扱いされた。だから成人すると同時に、縁を切って家を出たのだ。
だから俺はずっと、伊月に出会うまでは、出来ない人間、役に立たない人間は、人から愛されないと思って生きてきた。
でも、ブラックウェル家の人たちは、前世以上に役に立たない俺のことを本気で愛してくれている。
前世ではずっと親の顔色を窺って生きてきた俺だから、それがわかった。
だからこそ戸惑うのだ。
――なんで、こんな俺を愛してくれるんだろうって。
……あ、でも前世で、伊月の前でそう言ったら、必ず「何にもわかってねえなお前は。そんなに不安なら俺が体にわからせてやる」と言われて朝まで……。
その時のことを思い出してしまい、思わず顔が熱くなった。
それにいち早く気付いたのは、右隣に居たユリアスだった。
「ミハル、顔赤くなってるよ!?もしかして、ぶり返しちゃった!?」
「ち、ちが!これは!」
「おや、本当じゃないか!ミハル、大丈夫かい!?」
「お、おとうしゃま!ぼく、だいじょうぶでしゅ!」
途端に慌て出した家族に、俺は申し訳ないと同時に居たたまれない気持ちになった。
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