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第4章―念願のアカデミー
入学式#3
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『在校生代表――生徒会長、セザール=ゴールドバーク』
「はい」
壇上に上がったのは、現在皇位継承筆頭候補である第五皇子の、セザール=ゴールドバーク皇子だった。
俺が皇帝以外で唯一名前を知っている皇族である。
セザール皇子は真っ直ぐ前を見やりながら歓迎の言葉を述べ始めた。
「……チッ、やっぱりアイツだったか……」
そのさなかで、横のダニエルがぼそりと忌々し気に呟いた。
「だ、ダニエル?……セザール皇子のこと嫌いなの?」
「というか僕は、皇族皆好きじゃないけどね」
なんか俺の周りってみんな皇族嫌ってんだよな……家族も。何でだろう。
俺としては皇族と関わることなんてないと思ってるから、好きでも嫌いでもない。
「でもセザール皇子は特に嫌いだね。現皇帝の嫌なところさらに煮詰めたみたいな性格してるし」
「ちょっ……!それ下手したら皇族侮辱罪!」
「グリーンウッド当主の僕を逮捕できるならしてみてほしいね」
「……」
流石ダニエル様です。やはり持つべきものは権力か……
そんなことをこそこそ話し合ってるうちに、セザール皇子の歓迎の言葉は終わっていた。
後はアカデミーの校歌斉唱ののち、閉式の辞が述べられて無事、入学式は終了した。
入学式が終わったらその後は校舎へ移動し、一年間学ぶクラスに入ることになる。
俺達も移動しようと席を立ちあがったとき、周りを沢山の生徒に囲まれた。
正確には、俺の横に居たダニエルが。その拍子に、俺はダニエルの横から弾かれた。
「ダニエル様ー!」
「式辞カッコよかったですー!」
「これからダニエル様と同じ空間で学べるなんて光栄です!」
ダニエルの姿は沢山の生徒に囲まれ、見えなくなってしまった。そりゃ、あんなカッコいい式辞してたら囲まれもするよね。友達冥利に尽きる。
それはそうと、俺は弾かれた拍子にしりもちを突いてしまって悶絶していた。体力がないのでちょっと押されただけでもすぐしりもちを突いてしまうのだ。
「いてて……」
「大丈夫か?」
「あ、ありが……あ」
その俺に、手を差し伸べてくれた優しい人が居た。
その人を見て、俺は目を見開いた。
「も、もしかして……レナルド?」
「ミハル……?ミハルか!?」
俺を助け起こしてくれたのは、昔、首都で入院していたときに一時期だけ同室になった、あのレナルド=レッドグレイヴだった。
「うわー本当にレナルド!?見違えたねー!めっちゃ背高くなってるじゃん!カッコよくなって!」
「そ……そうか?そういうミハルも……綺麗になったな」
「え?僕が綺麗って?それは言い過ぎだよーアハハ」
少し頬を染めながら話すレナルドの背丈は160センチくらいになっており、鍛えられているのか肩幅もがっちりとして、可愛い男の子から精悍な少年へと成長していた。
しかし成長しても表情豊かなところは変わっていないようだ。首から下げた、あの伸縮自在の魔法剣も健在だ。でも、あの頃持っていた物より装飾が豪華になっている。オーダーメイドのやつ、お父さんから貰えたのかな?
「また会えて、本当に嬉しいよ……また一緒に遊ぶって約束、果たせなくてごめんね」
かつて病院で、退院したらまた遊ぶって約束したことが結局今日まで果たせなかったことを謝ると、レナルドは「覚えててくれたのか」と少し驚いた顔をした。
「覚えてたにきまってるじゃん……ずっと、申し訳なかったなって思ってたよ」
「申し訳ないなんて思う必要ねえよ。……こうして今日、会えたからさ」
レナルドはそう言うと、歯を見せて嬉しそうに笑った。その顔が、かつての幼いレナルドの笑顔と重なり、俺の胸は懐かしさで一杯になった。
「そうだね、これからはアカデミーで一緒だもんね!よろしくね!」
「ああ、よろしくな。……ところでさ……今は体、大丈夫なのか?」
「あ、うん。このアイテムのお陰で、座って勉強くらいはできるようになったよ。まあ相変わらず運動とかはからっきしだけどさ」
久しぶりの再会を果たしたレナルドと会話を楽しんでいると、突如ぐい、と手を引かれた。
「はい」
壇上に上がったのは、現在皇位継承筆頭候補である第五皇子の、セザール=ゴールドバーク皇子だった。
俺が皇帝以外で唯一名前を知っている皇族である。
セザール皇子は真っ直ぐ前を見やりながら歓迎の言葉を述べ始めた。
「……チッ、やっぱりアイツだったか……」
そのさなかで、横のダニエルがぼそりと忌々し気に呟いた。
「だ、ダニエル?……セザール皇子のこと嫌いなの?」
「というか僕は、皇族皆好きじゃないけどね」
なんか俺の周りってみんな皇族嫌ってんだよな……家族も。何でだろう。
俺としては皇族と関わることなんてないと思ってるから、好きでも嫌いでもない。
「でもセザール皇子は特に嫌いだね。現皇帝の嫌なところさらに煮詰めたみたいな性格してるし」
「ちょっ……!それ下手したら皇族侮辱罪!」
「グリーンウッド当主の僕を逮捕できるならしてみてほしいね」
「……」
流石ダニエル様です。やはり持つべきものは権力か……
そんなことをこそこそ話し合ってるうちに、セザール皇子の歓迎の言葉は終わっていた。
後はアカデミーの校歌斉唱ののち、閉式の辞が述べられて無事、入学式は終了した。
入学式が終わったらその後は校舎へ移動し、一年間学ぶクラスに入ることになる。
俺達も移動しようと席を立ちあがったとき、周りを沢山の生徒に囲まれた。
正確には、俺の横に居たダニエルが。その拍子に、俺はダニエルの横から弾かれた。
「ダニエル様ー!」
「式辞カッコよかったですー!」
「これからダニエル様と同じ空間で学べるなんて光栄です!」
ダニエルの姿は沢山の生徒に囲まれ、見えなくなってしまった。そりゃ、あんなカッコいい式辞してたら囲まれもするよね。友達冥利に尽きる。
それはそうと、俺は弾かれた拍子にしりもちを突いてしまって悶絶していた。体力がないのでちょっと押されただけでもすぐしりもちを突いてしまうのだ。
「いてて……」
「大丈夫か?」
「あ、ありが……あ」
その俺に、手を差し伸べてくれた優しい人が居た。
その人を見て、俺は目を見開いた。
「も、もしかして……レナルド?」
「ミハル……?ミハルか!?」
俺を助け起こしてくれたのは、昔、首都で入院していたときに一時期だけ同室になった、あのレナルド=レッドグレイヴだった。
「うわー本当にレナルド!?見違えたねー!めっちゃ背高くなってるじゃん!カッコよくなって!」
「そ……そうか?そういうミハルも……綺麗になったな」
「え?僕が綺麗って?それは言い過ぎだよーアハハ」
少し頬を染めながら話すレナルドの背丈は160センチくらいになっており、鍛えられているのか肩幅もがっちりとして、可愛い男の子から精悍な少年へと成長していた。
しかし成長しても表情豊かなところは変わっていないようだ。首から下げた、あの伸縮自在の魔法剣も健在だ。でも、あの頃持っていた物より装飾が豪華になっている。オーダーメイドのやつ、お父さんから貰えたのかな?
「また会えて、本当に嬉しいよ……また一緒に遊ぶって約束、果たせなくてごめんね」
かつて病院で、退院したらまた遊ぶって約束したことが結局今日まで果たせなかったことを謝ると、レナルドは「覚えててくれたのか」と少し驚いた顔をした。
「覚えてたにきまってるじゃん……ずっと、申し訳なかったなって思ってたよ」
「申し訳ないなんて思う必要ねえよ。……こうして今日、会えたからさ」
レナルドはそう言うと、歯を見せて嬉しそうに笑った。その顔が、かつての幼いレナルドの笑顔と重なり、俺の胸は懐かしさで一杯になった。
「そうだね、これからはアカデミーで一緒だもんね!よろしくね!」
「ああ、よろしくな。……ところでさ……今は体、大丈夫なのか?」
「あ、うん。このアイテムのお陰で、座って勉強くらいはできるようになったよ。まあ相変わらず運動とかはからっきしだけどさ」
久しぶりの再会を果たしたレナルドと会話を楽しんでいると、突如ぐい、と手を引かれた。
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