異世界転生したのに弱いってどういうことだよ

めがてん

文字の大きさ
42 / 80
第5章―似た者兄弟

校外学習#4

しおりを挟む
途中バテたりもしたが、何とか目的地である植物の展示ブースにたどり着いた。

中は植物の実際の標本や、模造花が見やすいように工夫されて展示されている。別室には実際の草花を栽培して展示している植物園もあるようだ。
俺が見たことがない、他国の植物の展示もあって興奮する。

「で……、どの植物をテーマにするんだ?」
「え?」
「テーマを一つ絞ってレポート提出することになってるだろ」
「……あ、そうでした!」

アルフレッドに言われて思い出した。これ、一応校外学習だった。
博物館に来れただけで嬉しすぎて正直忘れてた。

「色々見てから、決めます!」
「わかった」

俺は展示を見て回りながら、テーマを考えつつ、別のことも考えていた。
――アルフレッドとどう仲直りするかだ。

『――まずは誠心誠意謝罪でしょ。これに尽きる』

校外学習の前日、ダニエルからまず言われたアドバイスがこれだ。

『そうだよね、まずは謝罪だよね』
『でもいきなり謝っても、「なんで今更?」で終わっちゃう可能性もある。だから謝罪する理由と、あのとき起きた出来事の原因を明示して、そしてそれをもう二度と起こさないという改善点をしっかり話すんだよ』
『な、成程。謝罪の理由と、原因の明示、今後の改善点だね』

ダニエルの言葉をメモしていたら、俺の横に居たレナルド――実はこのとき俺達の寮の部屋に遊びに来ていた――が呆れたように溜息を吐いた。

『ダニエル、お前、それ……謝罪会見でもする気かよ』
『は?何で?謝罪っていったら普通こうだろ』
『兄弟間の仲直りでそんな仰々しいのいらねーから』

よくわかってなさそうなダニエルに対しレナルドは再び溜息を吐くと、俺へ向き直った。

『いいかミハル、兄弟でのケンカは……まず、弟は勝てないと思っておけ』
『え?』
『どんなに向こうが悪かろうが……最終的に負けるのは弟の方だ。だから、兄貴が言ってきたことは……全部肯定しておけ!そして言い訳は無用だ!言うだけ向こうが有利になるから!!』
『君普段どれだけお兄さんたちにしてやられてんの』

俺の肩を掴み必死の形相で言ってきたレナルドに、今度はダニエルが呆れていた。

『ミハルとお兄さんはまた違うでしょ……ミハルのお兄さんはミハルを下に見たりしてないし』
『弟を立てる兄貴がこの世に存在するのか!!!??』
『いくらでもいるでしょ』

レナルド……普段どれだけお兄さんに苦労してるんだ……。俺の兄は二人とも優しくて良かった……。

『というか、僕……別にアル兄さまとケンカしてるわけじゃないし……』
『そうだね。君が倒れちゃったことがお兄さんのトラウマになってるだけだもんね』
『うっ……』

ダニエルの言葉が耳に痛かった。

『多分お兄さんは、もう4歳の頃の出来事を起こしたくないから君を避けてるんだよ。だからもう、そうはならないんだよってことをしっかりミハルの口から伝えてあげればいいと思うよ』
『な、成程』
『謝るべきところはちゃんと謝れよ!そこ有耶無耶にすると後からまたそのことを蒸し返されるからな!!』
『わ、わかった!』

俺はダニエルとレナルドからのアドバイスを改めて思い出しながら、展示を見て回った。

どの植物も面白いし魅力的だけど……一つ選ぶとなると難しいな。
実際の草花の咲いている植物園の方も寄ってみた。
すると、ふと見覚えのある花を咲かせている木が目についた。

「あ、アル兄さま!」
「……なんだ?」
「これ、昔アル兄さまが持ってきてくれた木ですね!」

俺が示した木を見たアルフレッドはぎくりと肩を震わせた後、赤くなった顔を逸らした。

「……それは忘れてくれ」
「あれ見たとき僕、アル兄さま力凄い!って思ったんですよ!」
「だからやめてくれ……恥ずかしいから」

俺が3歳のとき、俺の為にと庭に生えていた木を根こそぎ持ってきてくれたアルフレッド。
反応を見るにアルフレッドもそのことを覚えていたようだ。本人的には黒歴史になってるみたいだけど。

その後も――アルフレッドとは、4歳のときの出来事が起こるまでは、まるで友達のように遊んだ。
アルフレッドは意外にも絵を描くのが好きだったから、よく一緒に花や家族の絵を描いたりした。
それにアルフレッドとはボードゲームもよくやった。ユリアスとも遊んだことはあったけど、ユリアスは強すぎるが故に俺の為にわざと手を抜いたりしてきたので、ボードゲームを始めたての頃はアルフレッドとの対戦が一番面白くて俺はしょっちゅう彼をボードゲームに誘ったものだった。

――でも、それもこれも皆、4歳のときの出来事があってからは無くなってしまったのだけど。

幼いアルフレッドにとって、弟である俺が倒れたあの出来事は――どれ程の衝撃を与えてしまったのだろう。
俺が、自分の体を甘く見て顧みなかったばかりに――

――やっぱり、謝らなきゃ駄目だ。

「アル兄さま……、あの、」

意を決して、横に居るアルフレッドに話しかけた、そのときだった。

「――っ!?」

急に眩暈がしてアルフレッドの方へ倒れ込んでしまった。

「ミハル!?」
「ぅ……、あれ、何で……」

急にぐるぐると回り出した視界に耐え切れずアルフレッドに縋りついてしまう。
おかしい、なんで急に、こんな……さっきまで全然平気だったのに……。

「っ、まさか……!」

アルフレッドは焦ったようにそう呟くと、凭れ掛かる俺の身体を抱え上げた。
そしてそのまま植物園を飛び出した。

しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

悪役令息の兄って需要ありますか?

焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。 その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。 これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

【完結】双子の兄が主人公で、困る

  *  ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……! 本編、両親にごあいさつ編、完結しました! おまけのお話を、時々更新しています。 本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

処理中です...