7 / 79
第7話:会計はギャルで、書記は謎
しおりを挟む
~名探偵、生徒会を口説く~
「なぁ、美穂……そのノートの数式、マジで理解してるの?」
放課後の生徒会室。
マコトは、横でスラスラと帳簿をつけている美穂のノートを覗き込んでいた。
「当たり前じゃん。高校の財務会計なんて、バイトでレジ打つより簡単よ~」
「マジか……“ギャル×経理”って最強のカードじゃないか?」
「でしょ?あたし、ギャルだけどそろばんも得意なの。名刺作ってもいい?」
「作って!生徒会専用ロゴ入りで!」
早紀はため息をつきながら、ホワイトボードに「欠員:副会長・書記・補佐×3」と書いた。
「……で、これどうすんのよ。あんたが書記やったら、毎週“謎の暗号で議事録”になりそうなんだけど」
「安心しろ。俺は文章書くと漢字がすぐ迷子になる」
「それが安心材料になるかッ!」
そんなタイミングで、生徒会室の机に“何か”がスッと差し込まれた。
茶色い封筒。宛名も書かれていない。中を開くと、1枚の紙。
『文章とは、事実の羅列でありながら、感情の器でもある。
君の語彙は浅いが、視点には伸び代を感じる。
書記の座、興味あり。以下の人物を訪ねて来られたし。――高峰 蓮』
「なにこれ……ポエム?」
「いや、これはスカウト状だ!!」
「逆だよ。スカウトされてる側だよあんた」
■
次の日の昼休み。
文芸部の部室――通称“静寂の洞窟”と呼ばれる廃墟寸前の旧校舎の一室。そこにいたのが、高峰 蓮(たかみね れん)。2年生、マコトと同学年。
髪は長めで、シャツのボタンを一つ多めに外したルーズなスタイル。
だがその眼差しは、鋭いナイフのように冷静だった。
「……探偵ってのは、作家に似てると思うんだ」
第一声がそれだった。
「突然名言から入るのやめてもらっていいですか!?警戒心しか湧かないんですけど!」
「君の行動をずっと観察していた。“非合理な選択肢を、あえて選ぶ”その愚かさ、嫌いじゃない」
「褒めてるのか貶してるのか、どっちかにしてくれ!」
早紀が腕を組んで口をはさむ。
「で、あんたが“書記志望”ってわけ?」
「うん。議事録を、感情の起伏を取り入れて書いてもいい?」
「ダメだよ!?公文書だよ!?情緒持たせたら困るんだよ!?」
美穂がクスクス笑いながら言った。
「でもさぁ、蓮くんって、めっちゃ本読むんでしょ?国語の先生から“文章力モンスター”って聞いたよ~」
「事実だ。国語の模試は常に学年1位。漢検も準一級。
……だからこそ、俺はこの生徒会を文章で記録したい。
それは、“事件の記録”でもあるからね」
マコトの目がキラーンと光った。
「おおっ!じゃあ、俺の推理や名言も議事録に残るのか!?」
「要約するけどな」
「俺の台詞カットしないで!」
こうして、書記・高峰蓮が正式加入。
文章力・分析力・冷静な視点とツッコミスキルを備えた、“知性の守護者”が生徒会に加わった。
残るは――副会長(仮)と補佐3人。
マコトは腕を組み、うんうんと唸る。
「でも副会長って……やっぱ適任は……」
「……しょうがないからやってあげるわよ」
「えっ」
「だから!もう!毎回あんたの暴走止めるのに疲れるの!」
「それって、俺が信頼されてるってこと?」
「違う!監視対象ってこと!」
「つまり、パートナーということだな!」
「違うって言ってるだろ!!」
マコト、生徒会長
早紀、副会長(監視)
美穂、会計(ギャル)
蓮、書記(文章狂)
名探偵の周りに、少しずつ“チーム”ができはじめていた。
だがその夜。マコトの机に、またしても封筒が置かれていた。
『探偵団の完成は、まだ遠い。
屋上の風、嗅ぎに来るといい――補佐候補より』
「……また謎ポエム来たーッ!!」
◆つづく◆
「なぁ、美穂……そのノートの数式、マジで理解してるの?」
放課後の生徒会室。
マコトは、横でスラスラと帳簿をつけている美穂のノートを覗き込んでいた。
「当たり前じゃん。高校の財務会計なんて、バイトでレジ打つより簡単よ~」
「マジか……“ギャル×経理”って最強のカードじゃないか?」
「でしょ?あたし、ギャルだけどそろばんも得意なの。名刺作ってもいい?」
「作って!生徒会専用ロゴ入りで!」
早紀はため息をつきながら、ホワイトボードに「欠員:副会長・書記・補佐×3」と書いた。
「……で、これどうすんのよ。あんたが書記やったら、毎週“謎の暗号で議事録”になりそうなんだけど」
「安心しろ。俺は文章書くと漢字がすぐ迷子になる」
「それが安心材料になるかッ!」
そんなタイミングで、生徒会室の机に“何か”がスッと差し込まれた。
茶色い封筒。宛名も書かれていない。中を開くと、1枚の紙。
『文章とは、事実の羅列でありながら、感情の器でもある。
君の語彙は浅いが、視点には伸び代を感じる。
書記の座、興味あり。以下の人物を訪ねて来られたし。――高峰 蓮』
「なにこれ……ポエム?」
「いや、これはスカウト状だ!!」
「逆だよ。スカウトされてる側だよあんた」
■
次の日の昼休み。
文芸部の部室――通称“静寂の洞窟”と呼ばれる廃墟寸前の旧校舎の一室。そこにいたのが、高峰 蓮(たかみね れん)。2年生、マコトと同学年。
髪は長めで、シャツのボタンを一つ多めに外したルーズなスタイル。
だがその眼差しは、鋭いナイフのように冷静だった。
「……探偵ってのは、作家に似てると思うんだ」
第一声がそれだった。
「突然名言から入るのやめてもらっていいですか!?警戒心しか湧かないんですけど!」
「君の行動をずっと観察していた。“非合理な選択肢を、あえて選ぶ”その愚かさ、嫌いじゃない」
「褒めてるのか貶してるのか、どっちかにしてくれ!」
早紀が腕を組んで口をはさむ。
「で、あんたが“書記志望”ってわけ?」
「うん。議事録を、感情の起伏を取り入れて書いてもいい?」
「ダメだよ!?公文書だよ!?情緒持たせたら困るんだよ!?」
美穂がクスクス笑いながら言った。
「でもさぁ、蓮くんって、めっちゃ本読むんでしょ?国語の先生から“文章力モンスター”って聞いたよ~」
「事実だ。国語の模試は常に学年1位。漢検も準一級。
……だからこそ、俺はこの生徒会を文章で記録したい。
それは、“事件の記録”でもあるからね」
マコトの目がキラーンと光った。
「おおっ!じゃあ、俺の推理や名言も議事録に残るのか!?」
「要約するけどな」
「俺の台詞カットしないで!」
こうして、書記・高峰蓮が正式加入。
文章力・分析力・冷静な視点とツッコミスキルを備えた、“知性の守護者”が生徒会に加わった。
残るは――副会長(仮)と補佐3人。
マコトは腕を組み、うんうんと唸る。
「でも副会長って……やっぱ適任は……」
「……しょうがないからやってあげるわよ」
「えっ」
「だから!もう!毎回あんたの暴走止めるのに疲れるの!」
「それって、俺が信頼されてるってこと?」
「違う!監視対象ってこと!」
「つまり、パートナーということだな!」
「違うって言ってるだろ!!」
マコト、生徒会長
早紀、副会長(監視)
美穂、会計(ギャル)
蓮、書記(文章狂)
名探偵の周りに、少しずつ“チーム”ができはじめていた。
だがその夜。マコトの机に、またしても封筒が置かれていた。
『探偵団の完成は、まだ遠い。
屋上の風、嗅ぎに来るといい――補佐候補より』
「……また謎ポエム来たーッ!!」
◆つづく◆
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる