名探偵マコトの事件簿3

naomikoryo

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第7話:会計はギャルで、書記は謎

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~名探偵、生徒会を口説く~
「なぁ、美穂……そのノートの数式、マジで理解してるの?」

放課後の生徒会室。
マコトは、横でスラスラと帳簿をつけている美穂のノートを覗き込んでいた。

「当たり前じゃん。高校の財務会計なんて、バイトでレジ打つより簡単よ~」

「マジか……“ギャル×経理”って最強のカードじゃないか?」

「でしょ?あたし、ギャルだけどそろばんも得意なの。名刺作ってもいい?」

「作って!生徒会専用ロゴ入りで!」

早紀はため息をつきながら、ホワイトボードに「欠員:副会長・書記・補佐×3」と書いた。

「……で、これどうすんのよ。あんたが書記やったら、毎週“謎の暗号で議事録”になりそうなんだけど」

「安心しろ。俺は文章書くと漢字がすぐ迷子になる」

「それが安心材料になるかッ!」

そんなタイミングで、生徒会室の机に“何か”がスッと差し込まれた。

茶色い封筒。宛名も書かれていない。中を開くと、1枚の紙。

『文章とは、事実の羅列でありながら、感情の器でもある。
 君の語彙は浅いが、視点には伸び代を感じる。
 書記の座、興味あり。以下の人物を訪ねて来られたし。――高峰 蓮』

「なにこれ……ポエム?」

「いや、これはスカウト状だ!!」

「逆だよ。スカウトされてる側だよあんた」


次の日の昼休み。
文芸部の部室――通称“静寂の洞窟”と呼ばれる廃墟寸前の旧校舎の一室。そこにいたのが、高峰 蓮(たかみね れん)。2年生、マコトと同学年。

髪は長めで、シャツのボタンを一つ多めに外したルーズなスタイル。
だがその眼差しは、鋭いナイフのように冷静だった。

「……探偵ってのは、作家に似てると思うんだ」

第一声がそれだった。

「突然名言から入るのやめてもらっていいですか!?警戒心しか湧かないんですけど!」

「君の行動をずっと観察していた。“非合理な選択肢を、あえて選ぶ”その愚かさ、嫌いじゃない」

「褒めてるのか貶してるのか、どっちかにしてくれ!」

早紀が腕を組んで口をはさむ。

「で、あんたが“書記志望”ってわけ?」

「うん。議事録を、感情の起伏を取り入れて書いてもいい?」

「ダメだよ!?公文書だよ!?情緒持たせたら困るんだよ!?」

美穂がクスクス笑いながら言った。

「でもさぁ、蓮くんって、めっちゃ本読むんでしょ?国語の先生から“文章力モンスター”って聞いたよ~」

「事実だ。国語の模試は常に学年1位。漢検も準一級。
 ……だからこそ、俺はこの生徒会を文章で記録したい。
 それは、“事件の記録”でもあるからね」

マコトの目がキラーンと光った。

「おおっ!じゃあ、俺の推理や名言も議事録に残るのか!?」

「要約するけどな」

「俺の台詞カットしないで!」

こうして、書記・高峰蓮が正式加入。
文章力・分析力・冷静な視点とツッコミスキルを備えた、“知性の守護者”が生徒会に加わった。

残るは――副会長(仮)と補佐3人。

マコトは腕を組み、うんうんと唸る。

「でも副会長って……やっぱ適任は……」

「……しょうがないからやってあげるわよ」

「えっ」

「だから!もう!毎回あんたの暴走止めるのに疲れるの!」

「それって、俺が信頼されてるってこと?」

「違う!監視対象ってこと!」

「つまり、パートナーということだな!」

「違うって言ってるだろ!!」

マコト、生徒会長
早紀、副会長(監視)
美穂、会計(ギャル)
蓮、書記(文章狂)

名探偵の周りに、少しずつ“チーム”ができはじめていた。

だがその夜。マコトの机に、またしても封筒が置かれていた。

『探偵団の完成は、まだ遠い。
屋上の風、嗅ぎに来るといい――補佐候補より』

「……また謎ポエム来たーッ!!」

◆つづく◆
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