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第16話:録音された真実と、涙の放送部(2/4)
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~“幽霊の声”の正体を追え~
放課後の放送室には、生徒会探偵団の面々が集まっていた。
目の前には、数本のカセットテープと、旧型の放送機材。
マコトはテープを前に、腕を組んで唸る。
「……この“声の放送”には、二重構造がある」
「ひとつは、“自動再生された録音”。もうひとつは、“後から追加された声”。
どっちが偶然で、どっちが誰かの仕業かを見極める必要がある!」
「つーかさ、そもそも誰がテープを放置してったわけ?」
美穂が首を傾げる。
「まさか、放送部の忘れ物……?」
「……それ、私が確認してみる」
詩織が資料ファイルを開いた。
■放送部、かつての“幽霊部員”
「3年前の放送部……部員は3名。
その中のひとりが沢井 加奈(さわい かな)。
“卒業後、行方不明になった”って噂もあったけど、実際は――」
「――中退してたんだ」
佐伯が手元のタブレットを見せる。
「家庭の事情で、2年の夏に退学。だけど、放送部の活動は最後まで続けてて、
“個人制作の朗読放送”を毎日収録してたって記録がある」
「それが……あの“すすり泣き”のテープ?」
「おそらくは。演劇部とコラボしたときに録ったものもあったらしい」
蓮が台帳を指差した。
綾小路が、じっとテープを見つめて言う。
「これは、“誰かの声を残すため”のテープ。
放送室に“夜な夜な響く声”は、消えたい人間が、最後に残した“痕跡”だよ」
「じゃあ、あの声は……本物の幽霊じゃないけど、“心の幽霊”ってことか……」
「かっこつけるな」と早紀が冷静にツッコんだ。
■“仕掛け人”の気配
「でも、まだ疑問が残る」
マコトが指を立てる。
「“複数のテープがタイマーにセットされていた”。
これ、どう考えても偶然じゃない」
「機械が勝手にセットし直すことはない。
つまり――“誰かが、あえてそうした”ってことよ」
詩織が断言する。
「じゃあ、“仕掛けた犯人”がいるってこと?」
「放送部の誰かか……それとも――」
佐伯が言葉を濁す。
マコトは、ゆっくりと周囲を見渡して言った。
「よし、次の調査対象は――
現・演劇部。3年前の録音に関わった人物だ!」
■“あの声”は、誰のために
翌日。
放送室の調査結果をファイルにまとめていると、蓮が何かに気づく。
「……この声、別のテープにも入ってる」
彼が指差したのは、別タイトルの朗読劇の音源。
だが終盤、環境音に混ざって――確かに“すすり泣き”のような音が残っていた。
『やだ……やだ……行きたくない……』
「……これ、録音ミスかと思ってたけど……地声、だよな」
綾小路が息を呑む。
「沢井加奈は、卒業もできず、誰にも相談できず、
唯一、放送室のマイクにだけ、自分の“本音”を残していたんだ」
その瞬間、放送室の扉がガタッと開いた。
現れたのは――演劇部員の1人。
黒縁メガネに、真面目そうな顔。見覚えがある。
「……あなた、確か、音響担当の――」
「間宮 翔太(まみや しょうた)です。」
彼は一礼し、こう言った。
「話があります。あのテープ――俺が再生したんです」
◆つづく◆
放課後の放送室には、生徒会探偵団の面々が集まっていた。
目の前には、数本のカセットテープと、旧型の放送機材。
マコトはテープを前に、腕を組んで唸る。
「……この“声の放送”には、二重構造がある」
「ひとつは、“自動再生された録音”。もうひとつは、“後から追加された声”。
どっちが偶然で、どっちが誰かの仕業かを見極める必要がある!」
「つーかさ、そもそも誰がテープを放置してったわけ?」
美穂が首を傾げる。
「まさか、放送部の忘れ物……?」
「……それ、私が確認してみる」
詩織が資料ファイルを開いた。
■放送部、かつての“幽霊部員”
「3年前の放送部……部員は3名。
その中のひとりが沢井 加奈(さわい かな)。
“卒業後、行方不明になった”って噂もあったけど、実際は――」
「――中退してたんだ」
佐伯が手元のタブレットを見せる。
「家庭の事情で、2年の夏に退学。だけど、放送部の活動は最後まで続けてて、
“個人制作の朗読放送”を毎日収録してたって記録がある」
「それが……あの“すすり泣き”のテープ?」
「おそらくは。演劇部とコラボしたときに録ったものもあったらしい」
蓮が台帳を指差した。
綾小路が、じっとテープを見つめて言う。
「これは、“誰かの声を残すため”のテープ。
放送室に“夜な夜な響く声”は、消えたい人間が、最後に残した“痕跡”だよ」
「じゃあ、あの声は……本物の幽霊じゃないけど、“心の幽霊”ってことか……」
「かっこつけるな」と早紀が冷静にツッコんだ。
■“仕掛け人”の気配
「でも、まだ疑問が残る」
マコトが指を立てる。
「“複数のテープがタイマーにセットされていた”。
これ、どう考えても偶然じゃない」
「機械が勝手にセットし直すことはない。
つまり――“誰かが、あえてそうした”ってことよ」
詩織が断言する。
「じゃあ、“仕掛けた犯人”がいるってこと?」
「放送部の誰かか……それとも――」
佐伯が言葉を濁す。
マコトは、ゆっくりと周囲を見渡して言った。
「よし、次の調査対象は――
現・演劇部。3年前の録音に関わった人物だ!」
■“あの声”は、誰のために
翌日。
放送室の調査結果をファイルにまとめていると、蓮が何かに気づく。
「……この声、別のテープにも入ってる」
彼が指差したのは、別タイトルの朗読劇の音源。
だが終盤、環境音に混ざって――確かに“すすり泣き”のような音が残っていた。
『やだ……やだ……行きたくない……』
「……これ、録音ミスかと思ってたけど……地声、だよな」
綾小路が息を呑む。
「沢井加奈は、卒業もできず、誰にも相談できず、
唯一、放送室のマイクにだけ、自分の“本音”を残していたんだ」
その瞬間、放送室の扉がガタッと開いた。
現れたのは――演劇部員の1人。
黒縁メガネに、真面目そうな顔。見覚えがある。
「……あなた、確か、音響担当の――」
「間宮 翔太(まみや しょうた)です。」
彼は一礼し、こう言った。
「話があります。あのテープ――俺が再生したんです」
◆つづく◆
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