年上の許嫁女教師は大胆な帰国子女

naomikoryo

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引っ越しあるある

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週末、美咲の引っ越しがいよいよ本格的に始まった。
僕は朝から手伝いに駆り出され、荷物運びに忙しく動き回っていた。
祖母がどこからか借りてきたリヤカーを使って、久しぶりに張り切っている父と大型家電を運び込んでいた。
何とか冷蔵庫やテレビを運び終えると、父親が昼休憩の時には、
「腰を痛めた」
と言い、近くの整骨院に行ってしまった。

「華奢な親父め!」
僕は父親があっさりと逃げていくのを見て、少しだけ悪態をついた。
しかし、午前中にアパートからは全て運び終え、あとはこちらの部屋内を整頓するだけという状態になっていた。
「なんだ、結構順調だな。」
軽く息をついて、段ボールを開け始めた。
美咲もその近くで段ボールを開けており、一緒に中身を整理しながら会話を楽しんでいた。
美咲はリラックスした様子で、たまに笑顔を見せながら荷物を整理している。



その時、美咲が急に
「ちょっと、トイレ行ってくるね。」
と言って、部屋を出ていった。
僕は少しだけ手を止めて、周りを見渡し、もう少し整理を進めようと思った。
段ボールの中に、まだ開けていないものがいくつか残っており、それらを順番に開け始めた。

すると、ふとした隙に開けた段ボールを踏んでしまい、そこから美咲の下着が散らばってしまった。
地味な物から派手な物まで、かなり派手に散らばった。
一瞬固まったが、慌ててそれを片付けようとした。
急いでそれらを元に戻そうとするが段ボールは踏んで潰れている為、そこに入れるのも違和感があった。
(かといって、どこにしまえば…)
そう考えているうちに、美咲の足音が聞こえてきた。
「まずい、どうしよう…!」
更にパニックになりながら、ブラジャーなどは箱に投げ入れて、小さめの下着は急いでポケットに入れてしまった。
自分でもどうしてそんなことをしたのか分からなかったが、もう遅いと思い、ポケットの中に押し込んでしまっていた。

美咲が部屋に戻ってくると、僕は少しだけ動揺しながら顔を上げた。
美咲は何も気づいていない様子で、
「どうしたの?」
と笑いながら尋ねた。
「ううん、なんでもない。」
僕は少し固い笑顔を浮かべながら答え、何とか平静を装おうとした。
「ふーん…」
美咲はその様子に何も気づかず、再び荷物を整理し始めた。
心の中で少しだけホッとしつつも、ポケットの中の物を気にして、心配が頭をよぎった。

僕は美咲が荷物を整理し始めるのを見ながら、ポケットの中の下着に気を取られていた。
胸のあたりが何となく重く、これをどうするべきか考えているうちに、ますます心が落ち着かなくなった。

「本当に、どうしよう…」
心の中で呟いたが、声には出さないように気をつけていた。
美咲が無邪気に段ボールを開け、次々と中身を取り出して整理していく様子を見ていると、ますます焦りが募った。

「亨、手伝ってくれてありがとうね。」
美咲がふと振り返り、微笑んで言った。
「うん、全然…
大したことないよ。」
亨は少し照れくさい笑顔を浮かべながら答えたが、その瞬間、ポケットの中の感触が妙に気になって仕方がなかった。

美咲はまた荷物を開けている間、僕はついに耐えきれなくなり、そっと部屋の隅にある洗濯カゴに歩み寄った。
心の中で
「これで終わりにしよう」
と決意し、ポケットの中から美咲の下着をそっと取り出して、洗濯カゴの中に入れた。
その瞬間、部屋のドアが開き、母が顔を覗かせた。

「何してるの?」
母が少し怪訝な顔をして僕に尋ねる。
「えっ?」
驚いて顔を上げると、あわてて洗濯カゴを覗き込みながら、何とか平静を保とうとした。
「いや、ちょっと整理してただけだよ。」
僕はすぐに笑顔を作り、軽く肩をすくめた。
「そう?」
母はあまり気にしない様子で、
「じゃあ、続き頼んだわよ。」
と言って部屋を出て行った。

その後、一息つくと美咲の方に振り向き、ちょっとした安堵感を感じた。
しかし、ポケットに残った余韻がまだ胸の中に引っかかっていることを感じていた。
美咲が再び笑顔で振り返ったとき、僕は少し焦った気持ちを隠して
「だいぶ片付いたね。」
と言った。
「うん、助かったわ!」美咲は元気よく答えた。

二人で部屋を整えていくうちに、僕は美咲が部屋に満足している様子を見て、ほっとした気持ちになった。
しかし、その日以来、ポケットの中に残った出来事が心の中でちょっとした秘密になってしまった。
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