瑞樹と桜子:新婚隣人の恋バナ対決

naomikoryo

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第6章:波乱の三角関係

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 「さて、瑞希の映画みたいな恋の話は確かに面白かったけど……
 私も一つ、ちょっとドラマっぽい恋愛の話をしてあげる」

 桜子は静かに紅茶を口に運びながら、遠い目をした。

「ただし、瑞希みたいに甘くてロマンチックな話じゃないよ。
 むしろ、ちょっと面倒くさい話かも」

「面倒くさい恋? 
 なんか気になるね」

「うん……
 一言で言うと、“三角関係”だった」

「えっ!? 
 三角関係!?」

 瑞希が驚いた顔をすると、桜子は苦笑しながら頷いた。

「そう。
 私が大学三年生の時、ちょっと厄介な三角関係に巻き込まれたの」

-----------------------------------------------------------------

 その頃、私はサークルの先輩・圭吾さんに片思いをしていた。

 圭吾さんは四つ上の大学院生で、サークルのOBとしてたまに顔を出してたんだけど、すごく優しくて、知的で、大人の余裕があって……
もう、完全に私の理想の人だったの。

 それで、私はずっと密かに彼を想ってたんだけど——
問題はもう一人いたのよね。

 それが、私の同期の友達・美咲。

 美咲も、圭吾さんのことが好きだったの。

 しかも、彼女は私と違って行動的で、すごく積極的にアピールしてた。
圭吾さんを飲みに誘ったり、みんなの前で「先輩、かっこいいですね!」ってストレートに褒めたり……
もう、見てるこっちがハラハラするくらい。

 私はそんな美咲を見ながら、「ああ、やっぱりこういう子の方が恋愛って上手くいくんだろうな」って思ってた。

 でも、そんなある日——
事件が起こったの。

 ある夜、サークルの飲み会の帰り道、圭吾さんと二人きりになった時に、彼が突然こう言ったの。

 「桜子って、俺のことどう思ってる?」

 ……えっ? って、頭が真っ白になったよ。

 だって、私はずっと彼に片思いしてる側だと思ってたのに、まさかの圭吾さんからそんなことを聞かれるなんて。

 私は動揺しながらも、「えっと……憧れてます、先輩はすごく素敵な人だから」って、それとなく答えたの。

 そしたら彼、少し笑って、こう言ったのよ。

 「俺さ……美咲にアプローチされてるのは知ってるけど、桜子のことが気になってるんだよね」

「ええええええええ!?!?」

 瑞希が大げさに叫ぶ。

「でしょ!? 
 私も心の中で“マジか!?”って思ったよ!」

 桜子は苦笑しながら、話を続けた。

「それから、圭吾さんは“もし桜子が俺のことを好きなら、付き合いたい”って言ってくれたの。
 でも、私はすぐに答えられなかった」

「なんで!? 
 そこはもう“はい”って言うところでしょ!」

「……だって、私は美咲の気持ちを知ってたから」

 桜子は小さく息を吐いた。

「美咲は私に何度も“圭吾先輩が好き”って言ってたし、恋愛相談にも乗ってた。
 そんな美咲の気持ちを知ってるのに、私が圭吾さんと付き合ったら……
 友情が壊れるってわかってた」

「……たしかに、それは悩むかも」

「でしょ? 
 だから、私は“少し考えさせてください”って答えたの。
 でも、その後、美咲から直接“圭吾先輩のこと諦めようと思う”って言われたんだよね」

「えっ!? 
 なんで!?」

「美咲、気づいてたんだと思う。
 圭吾さんが自分より私を見てることに。
 でも、だからって“諦める”って言われると、私はそれを素直に喜べなかった」

「……確かに、モヤモヤするね」

「そうなのよ。
 結局、私はそのまま圭吾さんと付き合うことになったんだけど……
 正直、美咲との関係は前みたいには戻れなかった」

-----------------------------------------------------------------

 桜子は少し寂しそうに笑う。

「その後、美咲は別の彼氏を作って、表面上は普通に友達に戻ったけど……
 なんかね、お互いに“何もなかったこと”にしてる感じがして、すごく気まずかった」

「それは……
 切ないね」

「うん。
 だから、これは“楽しい”ドラマじゃなくて、“ちょっと苦い”ドラマの話だったかな」

 桜子の話が終わると、瑞希は少し考え込んでいた。
そして、ぽつりと呟く。

「……こういうのって、どっちが正解だったんだろうね?」

「うーん……
 今になって思うのは、“恋愛も友情も、どっちも選ぶことはできない”ってことかな」

「なるほど……」

 二人はしばらく黙って、それぞれのカップを手に取った。
紅茶はもうすっかり冷めていた。

「……さて!」

 瑞希が突然、明るい声を出す。

「なんかシリアスになったけど、次はもっと軽い話にしよう!」

「軽い話?」

「うん、せっかくだから、“結婚直前のハプニング”とかどう?」

「……ああ、それなら話せることあるかも」

 二人は顔を見合わせて笑う。

 新婚隣人の恋バナ対決は、まだまだ続く——。
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