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最終章:「双星の残響(そうせいのざんきょう)」
第5話 「開かれた夢の門」
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それは、まるで夢のように――けれど、現実よりも鮮やかに、そこにあった。
都内某所。かつて封印施設だったGEOの地下区画の深奥。
剛と京の前に立ち現れたのは、かつてタケルが創り出した“予言の鏡”とは異なる、新たな“門”だった。
「これは……鏡じゃない。むしろ、“裂け目”に近い……」
京がそっと指を伸ばそうとしたとき、剛が彼女の腕を掴んだ。
「触っちゃダメだ。……これは、“あっち”から呼ばれてる」
門の奥は、星空のように揺らいでいた。
だが、そこに映っていたのは現実の星ではなく、異世界の夜空だった。三つの月と、濃い魔素の漂う空。
そして、その奥から――声が届いた。
>「……剛……京……聞こえるか……こちらはタケル……」
剛の目が見開かれる。
「タケルさん! 聞こえてる! こっちは……地球も異変が起きてる! “やつ”が来てる!」
>「ああ……こっちもだ。オルター=ガルドの“影”が現れた。
俺の宿にまで入り込んできた……これは、もう時間の問題だ」
京が鏡の前に進み出る。
「だったら、行くしかないでしょ。……あたしも。剛と一緒に、最後までやるって決めた」
剛は横目で彼女を見た。
制服のポケットに、魔力増幅の護符が忍ばせてあるのがちらりと見える。
剛の魔法から学び、実践し、ここまで来た“戦える”仲間――もう、ただの幼馴染ではない。
>「来てくれるか。……正直、頼もしい。リアも……あの宿で待ってる」
「もちろん。もう逃げない。……世界がどうなろうと、自分の選択を信じて生きる」
剛の手が、京の手を握る。
かつて、異世界に一人で飛び込んだ少年は、もうそこにはいない。
「行こう。タケルさんのいる場所へ」
ふたりは、門の中へと踏み出した。
◆
光のない空間を抜けると、濃密な魔素の香りが鼻をかすめた。
剛と京は、再び――異世界・アリステリアの空の下にいた。
「……懐かしい?、でもちょっと違う?」
京が辺りを見回す。
確かに以前より魔素の密度が高く、空の色が濃くなっていた。
まるで世界そのものが“抵抗”を始めているかのようだ。
そのとき。
「剛! 京!」
駆け寄ってきたのは、タケルとリアだった。
リアはすぐに京に気付き、目を丸くする。
「あなたが……京? 初めまして。でも、名前はずっと聞いてたわ」
「そっちこそ。噂の美人魔導士さん。……想像より、もっと綺麗でびっくりしてる」
初対面のはずなのに、互いを知っている。
剛とタケルが“語ってきた相手”と出会った、温かくも不思議な時間がそこにあった。
リアはふっと笑い、剛に向き直った。
「来てくれてありがとう。今の異世界には……あなたが必要なの」
剛は頷き、タケルに視線を送る。
「いよいよ、だな。……“あいつ”を止める時が来た」
「ああ。剛、お前がこっちに来てくれて、本当に心強い。
あの“影”は、俺だけじゃもう止められない。俺とお前、両方を記録しようとしている。だから――」
「だから、俺たち“両方で”抗うしかない」
ふたりの手が、硬く握られる。
それは、かつて交差し、また別れ、
それぞれの世界で戦ったふたりの、“再会の握手”だった。
◆
星見亭に戻った剛と京は、かつてないほど静かな空気に包まれていた。
夜が更けるにつれ、空に浮かぶ三つの月のうちのひとつが、わずかに赤く染まり始めている。
「“融合”が進んでいる……?」
タケルが呟くと、リアが頷いた。
「このままでは、世界そのものが“記憶の海”に沈む。
オルター=ガルドは、記録の中に“完璧な世界”を築こうとしている。
意思や選択ではなく、“正解”だけを積み上げた、歪なユートピアよ」
剛の拳が震える。
「そんなもん、世界じゃない。俺たちは、間違いながらでも進んできた。
正しくなくても、自分で選んだ道を生きてる。それを消されるなんて、冗談じゃない」
京が、小さく呟く。
「……選択を許さない世界は、生きてるって言えない。
そんなの、死んだ記憶と一緒だよ」
リアが一つ頷き、手のひらに淡い光を灯した。
「オルター=ガルドは、“始原の門”を開こうとしてる。
あらゆる記録が生まれた場所――そこを通じて、ふたつの世界を統合するつもりよ」
タケルが立ち上がり、剛に向けて言った。
「……行こう、剛。次が、最終決戦だ」
剛も、力強く頷いた。
「うん。あいつに、“俺たちの記憶はただの記録じゃない”って、叩きつけてやる」
そして、ふたりは再び剣を手に取り、
京とリアも、それぞれの杖と力を構えた。
――ふたつの世界から集った者たち。
――かつて交差し、分かれ、再び重なった光たち。
いよいよ、終焉の門へ。
その先にあるのは、すべての記憶を飲み込む“存在”――
オルター=ガルドとの、最終決戦である。
都内某所。かつて封印施設だったGEOの地下区画の深奥。
剛と京の前に立ち現れたのは、かつてタケルが創り出した“予言の鏡”とは異なる、新たな“門”だった。
「これは……鏡じゃない。むしろ、“裂け目”に近い……」
京がそっと指を伸ばそうとしたとき、剛が彼女の腕を掴んだ。
「触っちゃダメだ。……これは、“あっち”から呼ばれてる」
門の奥は、星空のように揺らいでいた。
だが、そこに映っていたのは現実の星ではなく、異世界の夜空だった。三つの月と、濃い魔素の漂う空。
そして、その奥から――声が届いた。
>「……剛……京……聞こえるか……こちらはタケル……」
剛の目が見開かれる。
「タケルさん! 聞こえてる! こっちは……地球も異変が起きてる! “やつ”が来てる!」
>「ああ……こっちもだ。オルター=ガルドの“影”が現れた。
俺の宿にまで入り込んできた……これは、もう時間の問題だ」
京が鏡の前に進み出る。
「だったら、行くしかないでしょ。……あたしも。剛と一緒に、最後までやるって決めた」
剛は横目で彼女を見た。
制服のポケットに、魔力増幅の護符が忍ばせてあるのがちらりと見える。
剛の魔法から学び、実践し、ここまで来た“戦える”仲間――もう、ただの幼馴染ではない。
>「来てくれるか。……正直、頼もしい。リアも……あの宿で待ってる」
「もちろん。もう逃げない。……世界がどうなろうと、自分の選択を信じて生きる」
剛の手が、京の手を握る。
かつて、異世界に一人で飛び込んだ少年は、もうそこにはいない。
「行こう。タケルさんのいる場所へ」
ふたりは、門の中へと踏み出した。
◆
光のない空間を抜けると、濃密な魔素の香りが鼻をかすめた。
剛と京は、再び――異世界・アリステリアの空の下にいた。
「……懐かしい?、でもちょっと違う?」
京が辺りを見回す。
確かに以前より魔素の密度が高く、空の色が濃くなっていた。
まるで世界そのものが“抵抗”を始めているかのようだ。
そのとき。
「剛! 京!」
駆け寄ってきたのは、タケルとリアだった。
リアはすぐに京に気付き、目を丸くする。
「あなたが……京? 初めまして。でも、名前はずっと聞いてたわ」
「そっちこそ。噂の美人魔導士さん。……想像より、もっと綺麗でびっくりしてる」
初対面のはずなのに、互いを知っている。
剛とタケルが“語ってきた相手”と出会った、温かくも不思議な時間がそこにあった。
リアはふっと笑い、剛に向き直った。
「来てくれてありがとう。今の異世界には……あなたが必要なの」
剛は頷き、タケルに視線を送る。
「いよいよ、だな。……“あいつ”を止める時が来た」
「ああ。剛、お前がこっちに来てくれて、本当に心強い。
あの“影”は、俺だけじゃもう止められない。俺とお前、両方を記録しようとしている。だから――」
「だから、俺たち“両方で”抗うしかない」
ふたりの手が、硬く握られる。
それは、かつて交差し、また別れ、
それぞれの世界で戦ったふたりの、“再会の握手”だった。
◆
星見亭に戻った剛と京は、かつてないほど静かな空気に包まれていた。
夜が更けるにつれ、空に浮かぶ三つの月のうちのひとつが、わずかに赤く染まり始めている。
「“融合”が進んでいる……?」
タケルが呟くと、リアが頷いた。
「このままでは、世界そのものが“記憶の海”に沈む。
オルター=ガルドは、記録の中に“完璧な世界”を築こうとしている。
意思や選択ではなく、“正解”だけを積み上げた、歪なユートピアよ」
剛の拳が震える。
「そんなもん、世界じゃない。俺たちは、間違いながらでも進んできた。
正しくなくても、自分で選んだ道を生きてる。それを消されるなんて、冗談じゃない」
京が、小さく呟く。
「……選択を許さない世界は、生きてるって言えない。
そんなの、死んだ記憶と一緒だよ」
リアが一つ頷き、手のひらに淡い光を灯した。
「オルター=ガルドは、“始原の門”を開こうとしてる。
あらゆる記録が生まれた場所――そこを通じて、ふたつの世界を統合するつもりよ」
タケルが立ち上がり、剛に向けて言った。
「……行こう、剛。次が、最終決戦だ」
剛も、力強く頷いた。
「うん。あいつに、“俺たちの記憶はただの記録じゃない”って、叩きつけてやる」
そして、ふたりは再び剣を手に取り、
京とリアも、それぞれの杖と力を構えた。
――ふたつの世界から集った者たち。
――かつて交差し、分かれ、再び重なった光たち。
いよいよ、終焉の門へ。
その先にあるのは、すべての記憶を飲み込む“存在”――
オルター=ガルドとの、最終決戦である。
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