青春高校2年A組:それぞれの未来(アオハル・シリーズ)

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出席番号22番:石川 まどか(いしかわ まどか)

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私は石川まどか(いしかわ まどか)。

2年A組、出席番号22番。料理部に所属していて、放課後はいつも調理室で何かを作っている。

お菓子を焼いたり、パスタを作ったり、家にある材料で工夫して新しいレシピを考えたり——料理をしていると、気持ちが落ち着く。

私は「お母さんみたいだね」とよく言われる。

確かに、面倒見はいい方だと思うし、家庭的なことをするのが好きだ。でも、それって「私らしさ」なんだろうか?

◆料理が好きになった理由
料理が好きになったのは、小学生の頃。

私の家は共働きで、両親はいつも忙しかった。帰宅すると家には誰もいなくて、夜ご飯はスーパーの総菜やコンビニ弁当が並んでいることが多かった。

でも、ある日、母が仕事の合間に簡単な料理を教えてくれた。

「まどか、一緒にお味噌汁を作ろうか」

お味噌を溶かしながら、母が笑って言った。

その時間が、すごく嬉しかった。

それから私は、自分で料理をするようになった。母が帰ってくる頃には夕飯を作り終えていて、「美味しいね」と言われるのが嬉しかった。

料理を作ることで、私は「誰かの役に立てる」ことを知った。

◆「料理好き=お母さんみたい」?
でも、高校に入ってから、少し違和感を感じることが増えた。

「まどかって、将来いいお嫁さんになりそうだよね」

「なんか、お母さんみたい」

友達は褒めてくれているつもりなんだろうけど、私はそれを聞くたびに、なんとなくモヤモヤする。

私は「料理が好きな女の子」だから、「家庭的」なイメージを持たれるのは仕方ないのかもしれない。

でも——私は別に、「誰かのために料理をしているわけじゃない」。

私が料理をするのは、単純に「作るのが楽しいから」。

それなのに、いつの間にか「料理=家庭的=将来はいい奥さん」みたいな流れになっているのが、なんだか納得できない。

◆宮田蒼との会話
そんな時、クラスメイトの**宮田蒼(みやた あおい)**と話す機会があった。

宮田くんは、ファッションや流行に詳しくて、どこか都会的な雰囲気を持っている。私とは全然違う世界の人。

ある日、料理部の試作品で作ったケーキを食べてもらったことがある。

「これ、めちゃくちゃ美味いな」

「ほんと? よかった!」

「まどかって、料理部ガチ勢だよな。でも、将来はやっぱり料理関係に進むの?」

「うーん……それが、よくわかんないんだよね」

「え?」

「料理は好きだけど、"料理が得意な子"っていうイメージが強すぎて、なんか自分の選択肢が狭くなってる気がする」

宮田くんは少し考えてから、こう言った。

「別に好きなことがあるのはいいことじゃん。でも、それをどう生かすかは自分で決められるだろ」

「……そうなのかな」

「ファッションもそうだけどさ、"好きなもの"って、そのまま仕事にするだけが全てじゃないと思うんだよな。なんか違う形でも、自分らしく生かせる道があるんじゃね?」

その言葉を聞いて、私は少しだけ気持ちが軽くなった。

料理をすることは好き。でも、それを「どう生かすか」は、まだ決めなくてもいいのかもしれない。

◆私の「今」
私は料理が好きだ。

でも、それが「私らしさ」なのか、それともただの「他人が私に持つイメージ」なのか、まだわからない。

宮田くんの言葉を思い出しながら、私は今日も新しいレシピを考えている。

「料理が好き」っていう気持ちを、どうやって自分らしく生かしていくのか——それは、これから見つけていけばいいのかもしれない。
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