潮影の島

naomikoryo

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第20章:捨てられる島

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── 島神様が目を覚ました。

 沈みゆく島、目の前にそびえ立つ巨大な甲羅。
 それは、島の底で眠っていた"島神様"と呼ばれる存在の姿だった。

 村人たちは震え、誰もが混乱していた。
 そんな中、レイはゆっくりと神社の階段を降り、村人たちの前に立った。

 「皆さん、落ち着いてください」

 その声は静かだったが、不思議なほどに村人たちを鎮めた。
 彼女の言葉には、ただの"人間"とは違う、強い説得力があった。

◇ 島の成り立ち
 レイは、ゆっくりと語り始めた。

 「この島は、元々"島神様"の背の上に築かれた土地でした」

 村人たちは、一様に驚いた表情を見せる。

 「私の家系は、代々"島神様"を鎮めるための巫女を輩出してきました。この神社も、"影の呪い"だけでなく、本来は"島神様"を封じるために作られた場所なのです」

 「そんな話……今まで誰も聞いたことがねぇぞ……」

 村の長老が震えた声で言った。

 「当然です」

 レイは、静かに頷いた。

 「この話は、私の家系の巫女だけに伝えられる秘密でした。ですが、もう隠す必要はありません」

 彼女の言葉に、村人たちは息を呑んだ。

 「この島は……もう長く持ちません」

 「……!」

 「島神様が完全に目覚めれば、この島は完全に沈み、本土へは二度と戻れなくなります」

 沈黙が落ちる。

 誰もが、その言葉を飲み込むのに時間がかかった。

 「……じゃあ、俺たちはどうすればいいんだ?」

 拓真が問う。

 レイは、一瞬の迷いもなく答えた。

 「この島を捨て、本土へ渡るべきです。」

◇ 島を捨てる決断
 「島を捨てる……?」

 佑介が思わず声を漏らす。

 「……そんなこと、本当にできるのか?」

 直人が困惑する。

 「本土へ渡る船を用意しなければなりません。でも、この村にはそんな丈夫な船は残っていません」

 長老が、難しい顔をする。

 「漁船はすべて沈んじまった……この状態じゃ、まともに航海できる船なんてねぇぞ」

 村人たちは不安そうに顔を見合わせた。

 「どうにか丈夫な船を呼ばないと……」

 だが、この島はすでに通信が届かない孤立した場所だった。

 スマホは圏外。
 無線設備もなく、船を呼ぶ手段はなかった。

 沈黙が続く。

 ── だが、その時、拓真が思い出した。

 「そういえば……俺たち、もともと"地震調査"のためにここに来たんだったよな?」

 「……そうだな」

 佑介が頷く。

 「ってことは、教授が"迎えに来る"んじゃないか?」

 「……!」

 直人が驚いた顔をする。

 「俺たち、もし本土に戻ってなかったら、教授が心配して探しに来るはずだろ?」

 「確かに……俺たちは、教授の依頼でここに来たんだ。なら、戻らなければ向こうも何かしら動くはず……」

 「しかも、迎えが来るのは"明日"だったはずだ」

 「つまり、今日1日なんとか持ちこたえれば、教授が船で迎えに来る可能性が高い」

◇ 勾玉を使った封印
 拓真たちの言葉を聞いて、レイはしばらく考え込んだ。

 そして、静かに頷いた。

 「……分かりました」

 「じゃあ、それまでどうする?」

 佑介が尋ねると、レイは神社の奥へと歩き出した。

 「この神社には、"島神様を鎮めるための勾玉"が祀られています」

 「勾玉……?」

 「ええ。これを使えば、一時的に島神様の動きを封じることができるはずです」

 そう言うと、レイは祭壇の奥へと進み、古びた箱を開いた。

 そこには、淡く青白い光を放つ勾玉があった。

 「これが……?」

 直人が思わず息を呑む。

 「これは"海神の勾玉"と呼ばれるものです。島神様の怒りを鎮め、眠りへと戻すための力が宿っています。」

◇ 行動を開始する
 「俺たちに手伝えることはあるか?」

 拓真がレイを見つめる。

 「あるなら、俺たちもやる」

 「……あなたたちは、まだ本土へ帰ることができるかもしれないのに?」

 レイは少し驚いたように尋ねた。

 「帰るにしても、まずはこの島神様を何とかしないとだろ?」

 佑介が腕を組む。

 「俺たちは、もともと地震調査のために来たんだぜ?」

 直人が苦笑しながら言う。

 「まさかこんな展開になるとは思わなかったが、ここまで来たらやるしかねぇ」

 レイは、一瞬だけ目を伏せた。

 そして、静かに微笑んだ。

 「……ありがとうございます」

 彼女は、勾玉を手に持ち、神社の外へと向かう。

 「これから、島神様を鎮めるための儀式を行います」

 「分かった。俺たちも手伝うぜ」

 拓真たちは頷き、レイと共に行動を開始した。

 ── 迎えの船が来るまでの"最後の一日"

 彼らは、島神様を鎮めるために奔走することになる。
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