ねこまど~猫と人がつなぐ、奇跡のカフェ~

naomikoryo

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41)もう逃げられねぇ

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1
「……やばい、なんか最近、店長がめっちゃ気になる」

 昼休憩の時間。

 飯塚昭人(いいづか あきと)は 控え室のソファに寝転がりながら、ひとり頭を抱えていた。

(いや、そりゃ今までも多少気にはしてたけどさ……)

(なんか最近、それがレベルアップしてねぇか!?)

 今までは 「店長は面倒見のいい人」「バイト先の上司」 という認識だった。

 それが今――

◆ ふとした仕草が気になる。
◆ 髪を耳にかける動作にドキッとする。
◆ ちょっと目が合っただけで、なんか妙に意識してしまう。
◆ 距離が近いと「やばい、いい匂いする」ってなる。

(……いやいやいやいや!!!! これは完全にヤバいって!!!!!)

(俺、推し活一筋のはずじゃなかったっけ!?!?)

 しかし、どう考えても、これは 「ただのバイト先の店長への好意」では済まされない感情 になっていた。

(やっぱこれ、俺、もう……店長のこと好きになってるよな?)

 そう自覚した瞬間――

 昭人は バッと顔を両手で覆った。

「……くっそ、もう逃げられねぇ」

2
「昭人くん、昼休憩終わりですよ~!」

「おぉ~~~い!」

「……うるせぇ」

 ドアの向こうから、橘真緒(たちばな まお)&水野琴葉(みずの ことは)コンビの陽気な声が聞こえてくる。

(……こいつら、絶対俺の気持ち見抜いてんだよな)

 ここ最近の2人の 「ねぇねぇ、もう認めたら?」攻撃 はすさまじかった。

「はい、昭人くん、今どんな気持ち~~?」

「ん~~? 店長のことめっちゃ意識しちゃってるんじゃないですか~~?」

「はぁ!? するわけねぇだろ!!!!」

「おお~~~、必死に否定~~~」

「はいはい、めっちゃわかりやす~~い!」

「お前らぁぁぁ!!!!」

 めっちゃバレてる。

3
 その後、いつも通りの仕事時間。

(普通に接すればいいだけ……普段通り、普段通り……)

 そう自分に言い聞かせながらカウンターへ戻ると――

「昭人くん、ここの伝票整理お願い」

 峰子(みねこ)が ふつうの顔で仕事の指示を出してくる。

「……あ、うん」

(やばい、意識するとめっちゃ緊張する!!!)

(普通に会話するだけなのに!!)

「それと、あとでコーヒーお願いね」

「あ、はいはい……えっと、ミルク多めでいい?」

「えっ? なんでわかったの?」

「……え?」

(うわ、またやった!!!)

(俺、もう店長の好み把握しすぎてる!!!!)

「……」

「……」

 気まずい沈黙。

(あぁぁぁぁぁ!!!!!!)

4
 その様子を見ていた 真緒&琴葉&猫たち の視線。

◆ ボス(茶トラ♂):「にゃ。(ようやく気づいたか)」
◆ミルク(白猫♀):「にゃん!(もう早く告白!)」
◆もなか(三毛猫♀):「にゃぁ~(ぐだぐだしすぎ)」

「なぁ、琴葉」

「うん?」

「これもう、告白カウントダウン入ってるよね?」

「うん、あともう一押しだね!」

「よし、やるか……!!」

5
 その夜――。

 閉店後、カフェの片付けが終わり、峰子が一息ついた瞬間。

「店長、ちょっといいっすか?」

「えっ?」

「ちょっとだけ、話したいことあるんで」

「……」

(な、なんか雰囲気違う!?)

 普段は軽い感じの昭人が、やたら 真剣な表情 でこちらを見ている。

(えっ、なにこれ、なんの話!?!?)

 内心、焦りながらも 静かに頷く。

「……いいわよ」

 ――こうして、昭人はついに “本気で向き合う”ことを決意した。
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