嘘から始まる本当の恋

naomikoryo

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第13章:ある夜、ついに決定的な瞬間

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◆「お前のことが好きだ」——その言葉の余韻

「……お前のことが好きなんだよ。」

雄二の真っ直ぐな言葉が、來未の頭の中をぐるぐると回っていた。

(……嘘でしょ。)

(雄二が……私を好き?)

リビングの空気が一瞬で変わった。

いつもの軽口も、適当な冗談もなく、雄二はただ真剣な表情で來未を見つめていた。

「……でも、お前が俺のことをそう思ってないなら、このまま元通りにしてもいい。」

「…………」

(元通り……?)

來未は、自分の胸の奥が、ありえないほどざわついているのを感じた。

今まで何人もの男性と付き合っては別れてきた。
「好き」という言葉も、何度か受け取ったことがある。

でも——

(……こんなに心臓が痛くなるほど、誰かに好きって言われたの、初めてかもしれない。)

「……ちょっと、待って。」

來未は、ドキドキしすぎて、息を整えながら立ち上がった。

「お、お風呂入ってくる!」

「……は?」

雄二は目を瞬かせたが、來未はそのまま**パニック状態で逃げるようにバスルームへ向かった。

◆風呂上がりの“無防備”

熱いシャワーを浴びても、來未の心臓は一向に落ち着かなかった。

(どうしよう……どうすればいいの!?)

(私、雄二のこと、どう思ってるの!?)

でも、答えはすぐに出そうになかった。

(……とりあえず、落ち着こう。)

來未はバスルームから出ると、いつも通りの部屋着——オーバーサイズのタンクトップとショートパンツに着替えた。

そして、何も考えずにリビングへ向かい——

「……お前。」

「え?」

雄二が、じっと來未を見つめていた。

「お前……手を出せない男に、そんな格好見せるのか?」

「……は?」

來未はキョトンとした。

いつも通りの部屋着だった。

でも、雄二の視線が明らかに普段と違う。

「……ちょ、ちょっと待って、もしかして意識してる?」

「…………」

「雄二が?」

「…………」

雄二は、視線をそらしながら、ゴクリと喉を鳴らした。

「いや、普通に考えて、そんな無防備な格好で歩き回るの、おかしいだろ。」

「だって、いつもこうじゃん?」

「……お前、それ、俺だから見せてるんだよな?」

「……え?」

「……他の男の前でも、そんな格好してたわけじゃねぇよな?」

來未は、ハッとした。

「……馬鹿ね。」

彼女は小さく笑って、ソファの端に座る。

「こんな格好、雄二だからに決まってるじゃない。」

雄二は、その言葉に目を見開いた。

來未は、自分でも驚くほど素直に言葉を口にしていた。

「だって、私、雄二には……何を見せても、何を話しても、平気だもん。」

「…………」

「昔からずっと一緒にいたし、家族みたいなものだと思ってたし……だから、こんな風に暮らしてても、気を遣わなくて済むし。」

「…………」

「でも……最近、ちょっとだけ分かんなくなってきた。」

來未は、胸の前でそっと手を組む。

「雄二が、私のこと好きって言ってくれて……嬉しかった。」

「……來未。」

「でも、怖かった。」

來未は、雄二を見つめた。

「だって、もしうまくいかなかったら、今までみたいに他人みたいに離れちゃうかもしれないでしょ?」

「…………」

「そうなったら、もう……今みたいに、気楽に話せなくなるかもしれない。」

「…………」

「それが、怖かった。」

來未は、ぎゅっとタンクトップの裾を握りしめた。

「だから、どうすればいいのか分からなくて……」

「……バカ。」

「……へ?」

「バカか、お前。」

雄二はため息をつき、ぐいっと來未の腕を引いた。

「きゃっ!?」

気づけば、來未は雄二の腕の中にすっぽり収まっていた。

「な、なに……!?」

「お前、俺がそんな簡単に離れると思ってんのか?」

「え?」

「俺は、お前が『やっぱり違った』って言っても、簡単には手を放さねぇよ。」

「…………」

「だから、怖がるな。」

雄二は、來未の額にそっと手を添え、目を覗き込む。

「……俺は、お前を好きになって、もうずいぶん経つ。」

「……え?」

「でも、お前がずっと『家族みたいなもん』って言ってたから、言わずにいた。」

「…………」

「でも、もう無理だ。」

雄二は、來未の頬に触れる。

「お前が他の男と飯を食ってるのが嫌で、イライラして、嫉妬して……」

「……!」

「そんなん初めてだった。」

「…………」

「俺、お前じゃなきゃダメみたいだ。」

來未の心臓が、壊れそうなほどドキドキしていた。

「だから……來未。」

「……なに?」

「もう、俺のものになれよ。」

「……っ!」

來未は、まるで地面が崩れるような感覚に襲われた。

(ああ、もう……ダメだ。)

(私……雄二のことが好きだ。)

自覚した瞬間、體が震えた。

「……うん。」

來未は、そっと目を閉じた。

そして——ついに、二人の唇が重なりかけた、その瞬間——

「……ちょっと待ったぁぁぁぁぁ!!!」

突然、玄関のドアが勢いよく開いた。

「……は?」

「……え?」

二人が驚いて振り返ると、そこには——

吉川千紗と、桐生課長が立っていた。

「これはどういうことですか!?!?」

「ふむ、なるほど……やはり俺の勘は正しかったな。」

「…………」

「…………」

(……最悪だぁぁぁぁぁ!!!)

來未と雄二は、完全にフリーズしたまま、静かに絶望した。
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