再び君に出会うために

naomikoryo

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本編

公園へ向かう二人

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駅を出て公園へ向かう間、二人は無口だった。

電車の中では、他に乗客もいなかったこともあり向かい合わせの四人掛けのいすに、向かい合って座った。
そして、まずはこうして、次にこうしてと今日の計画を話し合った。
隣町の駅までは三十分ほどかかるため時間は十分だった。
一通り確認を終えると、
『あと十分ほどで、次の駅に到着します。次は、~~』
とアナウンスが流れるまで二人は無言で外の景色を眺めた。

「あのね・・・・・・」
アナウンスが終わると突然貴子が小さく話し始めた。
「さっきからオオワタツミ様が・・・・・ここでも探しなさいって・・・・・」
「は?・・・・・・あ!・・・・・・・あぁ。」
(ほらな?移動中もそうしろって言ったろ?)
「俺も言われてた・・・・・」
「そう・・・・・」
二人とも顔は窓の外を向いたままだ。
「カラオケボックスと違って・・・・・・・・なぁ?」
(代わってやろうか?)
「そうね・・・・・・」
(私たちに代わりなさい)
「イヤだ!」
「イヤよ!」
二人同時に言った。
顔を見合わせて笑ってから、貴子はすっと立ち上がり、すぐに太一の横に座った。
太一は貴子のトートバッグを貴子が座っていた座席にさっと移動させた。
貴子はキョロキョロ辺りを見回して、この車両には他には誰も乗っていないことを再確認した。

「!!」
太一は思い切って貴子の膝の上にある手を上からそっと握った。
(おいおい太一!・・・・・・物凄い勢いで心臓が動いてるぞ!!)
(ちょっと、貴子!!・・・・・・何だか苦しいわよ!!)
二人の神様(?)が大騒ぎしている中、
「ほら、スサノオ!!さっさと探せ!!」
と太一は目を瞑りながら言った。
「ちょっとあんた!!そんな口の聞き方してるの?」
貴子も目を瞑った。
「いいんだよ!!手伝ってやってんだから!!」
「これは天から与えられた大切な使命なのよ!!・・・・・光栄なことなのよ!!」
(僕もそうしとけばよかった・・・)
スサノオの残念そうな声が聞こえた。
(そうよ、貴子!!・・・・・あなたには、常に幸せが訪れるでしょう!!)
オオワタツミは思いっきり上から目線で言った。
「まぁ、いいや・・・・・」
太一はボソッと言って、それから到着手前までは探索に集中したのだった。

公園に着くなり、貴子はジッと太一を見た。
「お腹すいた・・・・・」
太一も貴子の顔をジッと見て、
「俺もペコペコ!!」
貴子も太一も物凄い勢いで話し始めた。
「とにかく、最初の計画にはないけど、すぐに少し食べましょう!」
「そうだな!・・・でも、貴子が恥ずかしいなら、あんまり人目につかない・・・・・」
「それでいて、探索も出来るような・・・・」
二人はキョロキョロしながら公園内を歩き始めた。

「その辺にベンチはあるけど・・・・・」
もうすでに親子連れやカップルなどが来ていて、そこらじゅうに人はいた。
「あんまり目立つとこじゃ・・・・・・・恥ずかしいし・・・・・・・」
そうこう歩いているうちに遊園地エリアに近付いてきた。
「おっ、あれは?」
太一の指差すほうには観覧車が回っていた。
「いいわねぇ!!三週くらい乗っていればおにぎり何個か食べられそうね!!」
貴子の声も弾んだ。
「よし、行こう!!」

太一は貴子の手を握って、少し急ぎ足で歩き始めた。
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