再び君に出会うために

naomikoryo

文字の大きさ
14 / 69
本編

貴子の自由

しおりを挟む
二度目のおにぎりタイムが終わり、二人は芝生の上にボーっと座っていた。
11時を少し過ぎていたこともありおかずタッパも一つ取り出して、仲良く食べた。
そう、二人を見た人たちは確実にカップルだと思っただろう雰囲気だった。
勿論、当人達はスサとワタのゴンドラでのしでかしが気まずくて、それを吹き飛ばす勢いで無理やり笑い話をしていたのだが。
特に、貴子は<私は太一の姉のようなものなんだから>とここへ来る途中、何度も何度も自分に言い聞かせていた。
そうすることで胸のドキドキはだんだん収まってはいた。

食後一息ついて、貴子がまた話し始めた。
「昔・・・鼻っ垂れ小僧のあんたは、しょっちゅう校舎の中を駆けずり回ってはどこかにぶつかって怪我をしてたわよね。」
「あれは校舎が狭かったからだよ!!」
「落ち着き無く走り回っていたからよ。」
「男に落ち着きを求めるな!」
「膝なんて絆創膏だらけだったじゃない。」
「あぁ、貴子にいっつも貼ってもらってたよな。」
「そうだよ、まったくあんたは・」
「ありがとう。」
「えっ?」
「その節はありがとうございました!!」
「あっ、いえ・・・・・・って、今?」
「あっ・・・あとこの節もありがとう!!」
「何が?」
(あっ、美智子の父ちゃんの話はまだしてなかったな・・・・・)
「ほら・・・・・・その・・・・・・・・・・・・お・・・お弁当?」
「疑問形?」
「いや、こんなうまい弁当作ってもらって・・・・悪いな。」
「そんなこと・・・・・・・・・・」
(おかずはお母さんが作ったし、私の握ったおにぎりは私が食べてるしね・・・)
「貴子もすっかり女の子なんだな。」
「はい?」
「昔は昼休みのたんびに、いたずらっ子達を大声で追っかけまわしてやっつけてたのに・・・・・・・」
「あれはあいつらが弱いものいじめをするからよ・・・・・」
「美智子もよく貴子に助けてもらってたな。」
「そうね。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
3分ほど沈黙が続いた。

「美智子といえば・・・・・・お葬式に行って以来、又あんまり話す機会もないんだけど・・・」
「うん・・・・・俺も・・・・・」
「・・・・・・・えっ?・・・・・・あんたら、まだ付き合ってないの?」
「はっ?・・・・・んな分けないじゃん!!」
「そ、そうなの?」
「俺たちは・・・どっちかと言えば・・・・・兄妹?」
「違うけどね・・」
あっさりと突っ込まれた。
「だから、家族だよ!!」
「家族じゃないって・・」
「家族なんだよ。・・・・・・・だいたい数年後には健が明日香を嫁にもらえば、ほら、もう完全にみんな家族じゃん!!」
「そうなればね。」
「そうそう。」
太一は満足したように頷いた。
「でも、あんたも美智子を嫁にもらっちゃえば尚更家族だよ?・・・・・っていうか、夫婦。」
「そんなの!!・・・・・・・・近親相姦で犯罪じゃん!」
「・・・・・・・違うよ?」
「えっ?」
「あんた本気で言ってるの?」
太一は貴子をじっと見つめ、4回ほど強く首を縦に振った。
「ばっかねぇ~、血のつながりが無ければ結婚できるのよ?」
「そうなんだ・・・・・・・」
太一は空を眺めた。
「ね?・・・・・安心して付き合っちゃえばいいのよ。」
「でも、それはないな。」
「そうなんだ。」
「うん。」
貴子も空を眺めた。
「あ、あれでしょ!・・・・・ほ、他に、す、好きな子でもいるの?」
(なんでわたし、どもってるの・・・・)
「・・・・・・・・・」
「えっ?図星なの?」
「好きって言うか・・・・・・・気になる、っていうか・・・・・・・」
「ふ、ふ~ん。・・・・・・・・・なんだかんだ言って、あんたも男の子なんだね。」
「ま・・・まぁな。」
「何故、いばる・・・・・・」

「・・・・・・・た、貴子は・・・・・・・・付き合ってる奴・・・・・・・」
「え?」
「いや・・・・・・・・・ほら・・・・・・・・付き合ってる奴とかいんのかなぁと思って。」
「私?」
「なんか、いつも周りに男も女もいっぱいいるからさ。」
「そう・・・・邪魔なんだよ・・・・・」
「邪魔なの?」
「当たり前でしょ!!・・・父さんの仕事関係の人の息子だか何だか知らないけど・・・・・・友達ってことでは全くないし!!」
「友達じゃないんか?」
「勝手にボディガードだか何だかだって・・・・・」
「へぇ~。」
「しかも、女の子達は、その男の子達が目当てでいるだけだし・・・・・」
「そうなんか・・・・・」
「うん・・・・・」
「大変だな?」
「うん。」
「止めろって言えばいいじゃん。」
「言った。」
「そう・・・・・」
「何度も言ったけど・・・・・逆にお願いされて・・・・・面倒になった・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
貴子は溜息をついた。
「俺が言ってやるよ!!」
「え?」
「貴子につきまとってんじゃねぇって!」
「いや、あんたが言っても余計面倒になる気がする・・・・・」
(それは嬉しい気もするけど・・・)
「そうか?」
「お前は何なんだ?ってことになるよ、きっと。」
「そ、そうか・・・・・・・」
「・・・・・まぁ、でも、最近はちょっと自由が出来た気がするからいいけど。」
「自由?」
「うん、こんな風に。」
「いや・・・・・これって、ワタってやつにやらされてるんだから自由じゃないじゃん。」
「ううん、自由よ!!」
太一はそーっと貴子の横顔を見た。
貴子の澄んだ目と、風になびく髪とうっすら笑みを浮かべた口元を順に見た。
太一の鼓動が小さく確実に高鳴っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...