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本編
貴子の自由
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二度目のおにぎりタイムが終わり、二人は芝生の上にボーっと座っていた。
11時を少し過ぎていたこともありおかずタッパも一つ取り出して、仲良く食べた。
そう、二人を見た人たちは確実にカップルだと思っただろう雰囲気だった。
勿論、当人達はスサとワタのゴンドラでのしでかしが気まずくて、それを吹き飛ばす勢いで無理やり笑い話をしていたのだが。
特に、貴子は<私は太一の姉のようなものなんだから>とここへ来る途中、何度も何度も自分に言い聞かせていた。
そうすることで胸のドキドキはだんだん収まってはいた。
食後一息ついて、貴子がまた話し始めた。
「昔・・・鼻っ垂れ小僧のあんたは、しょっちゅう校舎の中を駆けずり回ってはどこかにぶつかって怪我をしてたわよね。」
「あれは校舎が狭かったからだよ!!」
「落ち着き無く走り回っていたからよ。」
「男に落ち着きを求めるな!」
「膝なんて絆創膏だらけだったじゃない。」
「あぁ、貴子にいっつも貼ってもらってたよな。」
「そうだよ、まったくあんたは・」
「ありがとう。」
「えっ?」
「その節はありがとうございました!!」
「あっ、いえ・・・・・・って、今?」
「あっ・・・あとこの節もありがとう!!」
「何が?」
(あっ、美智子の父ちゃんの話はまだしてなかったな・・・・・)
「ほら・・・・・・その・・・・・・・・・・・・お・・・お弁当?」
「疑問形?」
「いや、こんなうまい弁当作ってもらって・・・・悪いな。」
「そんなこと・・・・・・・・・・」
(おかずはお母さんが作ったし、私の握ったおにぎりは私が食べてるしね・・・)
「貴子もすっかり女の子なんだな。」
「はい?」
「昔は昼休みのたんびに、いたずらっ子達を大声で追っかけまわしてやっつけてたのに・・・・・・・」
「あれはあいつらが弱いものいじめをするからよ・・・・・」
「美智子もよく貴子に助けてもらってたな。」
「そうね。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
3分ほど沈黙が続いた。
「美智子といえば・・・・・・お葬式に行って以来、又あんまり話す機会もないんだけど・・・」
「うん・・・・・俺も・・・・・」
「・・・・・・・えっ?・・・・・・あんたら、まだ付き合ってないの?」
「はっ?・・・・・んな分けないじゃん!!」
「そ、そうなの?」
「俺たちは・・・どっちかと言えば・・・・・兄妹?」
「違うけどね・・」
あっさりと突っ込まれた。
「だから、家族だよ!!」
「家族じゃないって・・」
「家族なんだよ。・・・・・・・だいたい数年後には健が明日香を嫁にもらえば、ほら、もう完全にみんな家族じゃん!!」
「そうなればね。」
「そうそう。」
太一は満足したように頷いた。
「でも、あんたも美智子を嫁にもらっちゃえば尚更家族だよ?・・・・・っていうか、夫婦。」
「そんなの!!・・・・・・・・近親相姦で犯罪じゃん!」
「・・・・・・・違うよ?」
「えっ?」
「あんた本気で言ってるの?」
太一は貴子をじっと見つめ、4回ほど強く首を縦に振った。
「ばっかねぇ~、血のつながりが無ければ結婚できるのよ?」
「そうなんだ・・・・・・・」
太一は空を眺めた。
「ね?・・・・・安心して付き合っちゃえばいいのよ。」
「でも、それはないな。」
「そうなんだ。」
「うん。」
貴子も空を眺めた。
「あ、あれでしょ!・・・・・ほ、他に、す、好きな子でもいるの?」
(なんでわたし、どもってるの・・・・)
「・・・・・・・・・」
「えっ?図星なの?」
「好きって言うか・・・・・・・気になる、っていうか・・・・・・・」
「ふ、ふ~ん。・・・・・・・・・なんだかんだ言って、あんたも男の子なんだね。」
「ま・・・まぁな。」
「何故、いばる・・・・・・」
「・・・・・・・た、貴子は・・・・・・・・付き合ってる奴・・・・・・・」
「え?」
「いや・・・・・・・・・ほら・・・・・・・・付き合ってる奴とかいんのかなぁと思って。」
「私?」
「なんか、いつも周りに男も女もいっぱいいるからさ。」
「そう・・・・邪魔なんだよ・・・・・」
「邪魔なの?」
「当たり前でしょ!!・・・父さんの仕事関係の人の息子だか何だか知らないけど・・・・・・友達ってことでは全くないし!!」
「友達じゃないんか?」
「勝手にボディガードだか何だかだって・・・・・」
「へぇ~。」
「しかも、女の子達は、その男の子達が目当てでいるだけだし・・・・・」
「そうなんか・・・・・」
「うん・・・・・」
「大変だな?」
「うん。」
「止めろって言えばいいじゃん。」
「言った。」
「そう・・・・・」
「何度も言ったけど・・・・・逆にお願いされて・・・・・面倒になった・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
貴子は溜息をついた。
「俺が言ってやるよ!!」
「え?」
「貴子につきまとってんじゃねぇって!」
「いや、あんたが言っても余計面倒になる気がする・・・・・」
(それは嬉しい気もするけど・・・)
「そうか?」
「お前は何なんだ?ってことになるよ、きっと。」
「そ、そうか・・・・・・・」
「・・・・・まぁ、でも、最近はちょっと自由が出来た気がするからいいけど。」
「自由?」
「うん、こんな風に。」
「いや・・・・・これって、ワタってやつにやらされてるんだから自由じゃないじゃん。」
「ううん、自由よ!!」
太一はそーっと貴子の横顔を見た。
貴子の澄んだ目と、風になびく髪とうっすら笑みを浮かべた口元を順に見た。
太一の鼓動が小さく確実に高鳴っていた。
11時を少し過ぎていたこともありおかずタッパも一つ取り出して、仲良く食べた。
そう、二人を見た人たちは確実にカップルだと思っただろう雰囲気だった。
勿論、当人達はスサとワタのゴンドラでのしでかしが気まずくて、それを吹き飛ばす勢いで無理やり笑い話をしていたのだが。
特に、貴子は<私は太一の姉のようなものなんだから>とここへ来る途中、何度も何度も自分に言い聞かせていた。
そうすることで胸のドキドキはだんだん収まってはいた。
食後一息ついて、貴子がまた話し始めた。
「昔・・・鼻っ垂れ小僧のあんたは、しょっちゅう校舎の中を駆けずり回ってはどこかにぶつかって怪我をしてたわよね。」
「あれは校舎が狭かったからだよ!!」
「落ち着き無く走り回っていたからよ。」
「男に落ち着きを求めるな!」
「膝なんて絆創膏だらけだったじゃない。」
「あぁ、貴子にいっつも貼ってもらってたよな。」
「そうだよ、まったくあんたは・」
「ありがとう。」
「えっ?」
「その節はありがとうございました!!」
「あっ、いえ・・・・・・って、今?」
「あっ・・・あとこの節もありがとう!!」
「何が?」
(あっ、美智子の父ちゃんの話はまだしてなかったな・・・・・)
「ほら・・・・・・その・・・・・・・・・・・・お・・・お弁当?」
「疑問形?」
「いや、こんなうまい弁当作ってもらって・・・・悪いな。」
「そんなこと・・・・・・・・・・」
(おかずはお母さんが作ったし、私の握ったおにぎりは私が食べてるしね・・・)
「貴子もすっかり女の子なんだな。」
「はい?」
「昔は昼休みのたんびに、いたずらっ子達を大声で追っかけまわしてやっつけてたのに・・・・・・・」
「あれはあいつらが弱いものいじめをするからよ・・・・・」
「美智子もよく貴子に助けてもらってたな。」
「そうね。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
3分ほど沈黙が続いた。
「美智子といえば・・・・・・お葬式に行って以来、又あんまり話す機会もないんだけど・・・」
「うん・・・・・俺も・・・・・」
「・・・・・・・えっ?・・・・・・あんたら、まだ付き合ってないの?」
「はっ?・・・・・んな分けないじゃん!!」
「そ、そうなの?」
「俺たちは・・・どっちかと言えば・・・・・兄妹?」
「違うけどね・・」
あっさりと突っ込まれた。
「だから、家族だよ!!」
「家族じゃないって・・」
「家族なんだよ。・・・・・・・だいたい数年後には健が明日香を嫁にもらえば、ほら、もう完全にみんな家族じゃん!!」
「そうなればね。」
「そうそう。」
太一は満足したように頷いた。
「でも、あんたも美智子を嫁にもらっちゃえば尚更家族だよ?・・・・・っていうか、夫婦。」
「そんなの!!・・・・・・・・近親相姦で犯罪じゃん!」
「・・・・・・・違うよ?」
「えっ?」
「あんた本気で言ってるの?」
太一は貴子をじっと見つめ、4回ほど強く首を縦に振った。
「ばっかねぇ~、血のつながりが無ければ結婚できるのよ?」
「そうなんだ・・・・・・・」
太一は空を眺めた。
「ね?・・・・・安心して付き合っちゃえばいいのよ。」
「でも、それはないな。」
「そうなんだ。」
「うん。」
貴子も空を眺めた。
「あ、あれでしょ!・・・・・ほ、他に、す、好きな子でもいるの?」
(なんでわたし、どもってるの・・・・)
「・・・・・・・・・」
「えっ?図星なの?」
「好きって言うか・・・・・・・気になる、っていうか・・・・・・・」
「ふ、ふ~ん。・・・・・・・・・なんだかんだ言って、あんたも男の子なんだね。」
「ま・・・まぁな。」
「何故、いばる・・・・・・」
「・・・・・・・た、貴子は・・・・・・・・付き合ってる奴・・・・・・・」
「え?」
「いや・・・・・・・・・ほら・・・・・・・・付き合ってる奴とかいんのかなぁと思って。」
「私?」
「なんか、いつも周りに男も女もいっぱいいるからさ。」
「そう・・・・邪魔なんだよ・・・・・」
「邪魔なの?」
「当たり前でしょ!!・・・父さんの仕事関係の人の息子だか何だか知らないけど・・・・・・友達ってことでは全くないし!!」
「友達じゃないんか?」
「勝手にボディガードだか何だかだって・・・・・」
「へぇ~。」
「しかも、女の子達は、その男の子達が目当てでいるだけだし・・・・・」
「そうなんか・・・・・」
「うん・・・・・」
「大変だな?」
「うん。」
「止めろって言えばいいじゃん。」
「言った。」
「そう・・・・・」
「何度も言ったけど・・・・・逆にお願いされて・・・・・面倒になった・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
貴子は溜息をついた。
「俺が言ってやるよ!!」
「え?」
「貴子につきまとってんじゃねぇって!」
「いや、あんたが言っても余計面倒になる気がする・・・・・」
(それは嬉しい気もするけど・・・)
「そうか?」
「お前は何なんだ?ってことになるよ、きっと。」
「そ、そうか・・・・・・・」
「・・・・・まぁ、でも、最近はちょっと自由が出来た気がするからいいけど。」
「自由?」
「うん、こんな風に。」
「いや・・・・・これって、ワタってやつにやらされてるんだから自由じゃないじゃん。」
「ううん、自由よ!!」
太一はそーっと貴子の横顔を見た。
貴子の澄んだ目と、風になびく髪とうっすら笑みを浮かべた口元を順に見た。
太一の鼓動が小さく確実に高鳴っていた。
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