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最終章
スサノオ
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太一が無言で目を瞑ったまま3分ほど経過した。
表情はすっかり和らいで、それ以上に記憶を懐かしむような顔になっている。
そして、おもむろに口を開いた。
「え~と・・・・・スサノオ様?」
ちょっと口元に笑いを含んで言った。
(ハハハハ、よしてよ。それはあの時彼女が勝手に決めた呼び方だよ)
「じゃあ、本当は何ていうんだ?」
(ん~・・・・・・・これと言った固体名は無いんだよ)
「じゃあ、やっぱスサでいいな?それよりスサノオ様?」
(あ~、はいはい、スサでいいよ)
ちょっとぶっきらぼうにスサは言った。
「あれからもずっと俺の中にいたのか?」
(うん。)
全く悪びれることも無く言い放った。
「それでか・・・・・・」
(厳密にはあの時に力を使い切ってしまって出れなかったんだけどね。)
「そうなのか?」
(君もあの後、物凄い空腹と睡魔に襲われていただろう?)
「・・・・・そういえば・・・・・」
病院から帰った後、1週間ぐらいはそんな感じだったことを思い出した。
(まぁ、僕自身もかなり消耗していたから、しばらくは大人しくして回復したらこっそり出て行こうと思ってたんだけどね。)
「ふ~ん。」
太一は皮肉っぽく言った。
(ほんとだ・・・・・よ?)
スサがそう言い切らないうちに、
「あっ!」
と太一は気付いた。
「他の2人は?」
(あ・・・あぁ・・・)
「いるわけじゃないよね?」
太一は意味も無く自分の体を見回した。
そうしながら、
「ワタは貴子に戻ったのかな?」
と尋ねるように言った。
(・・・・・あぁ・・・そ、そうだよ・・・)
少し歯切れが悪い口調だ。
「あと・・・・・」
(・・・・・・・・・・)
「え~と・・・そうそう。タマオは?」
(・・・・・・・・・・)
「タマオだったけ?」
再度、聞いてみた。
(・・・実はね・・・・・・)
急にスサの声が小さく低くなった。
スサの話では、
結局おじさんの体を元の状態に戻す事は出来たけど魂まで呼び戻す事は出来なかった。
それで、タマオはおじさんの生命を維持する為におじさんの中にいることになったと。
もともと決まった性別を持たない彼らは、生物の中にある程度寄生していればその性別になっていくらしい。
それと脳や身体に刻まれている記憶を読み取りながら、本人になっていけるのだと言う。
「じゃあ、あれからのおじさんは違う人ってこと?」
(いや、数ヶ月経ってしまえばおそらく本人と一緒だと思うよ。)
「そう?」
(ただ、死んでからの蘇るまでの記憶はみんなも無くなっているからその辺はぼやけていると思うけど。)
「・・・なんかよく分からないけど・・・上手く行った・・・ってことでいいのかな?」
(そうだ・・・よ)
「・・・・・・・・で、結局お前はいつまでいるんだよ!」
太一は怒っているわけではないが、そんな口調で言った。
(・・・ちょっと気になることがあってね)
「気になること?」
(・・・・・あ、いや・・・もう少しだけ・・・・・もう少し回復したら・・・)
「まぁ、いいよ!」
気まずさそうに言っているスサを遮って太一は言った。
「お前が行きたいときに行けばいいさ。」
(太一・・・)
「結局のところ、俺が頼んだ願いは聞いてもらったわけだしな。」
そう言って太一はソファーに寝っころがった。
「ありがとな。」
そう言いながら太一は重い瞼をゆっくりと閉じた。
が、ぱっと目を見開いて、
「俺が寝てる間に貴子に変な事するなよ。」
と言った。
(大丈夫だよ)
スサが静かに言うと、太一の限界は頂点に達し一瞬で眠りに落ちた。
(う~ん、このまま帰ってもいいんだけど、折角だからこのまま寝かせてしまうか・・・)
スサは悪戯っぽく言った。
表情はすっかり和らいで、それ以上に記憶を懐かしむような顔になっている。
そして、おもむろに口を開いた。
「え~と・・・・・スサノオ様?」
ちょっと口元に笑いを含んで言った。
(ハハハハ、よしてよ。それはあの時彼女が勝手に決めた呼び方だよ)
「じゃあ、本当は何ていうんだ?」
(ん~・・・・・・・これと言った固体名は無いんだよ)
「じゃあ、やっぱスサでいいな?それよりスサノオ様?」
(あ~、はいはい、スサでいいよ)
ちょっとぶっきらぼうにスサは言った。
「あれからもずっと俺の中にいたのか?」
(うん。)
全く悪びれることも無く言い放った。
「それでか・・・・・・」
(厳密にはあの時に力を使い切ってしまって出れなかったんだけどね。)
「そうなのか?」
(君もあの後、物凄い空腹と睡魔に襲われていただろう?)
「・・・・・そういえば・・・・・」
病院から帰った後、1週間ぐらいはそんな感じだったことを思い出した。
(まぁ、僕自身もかなり消耗していたから、しばらくは大人しくして回復したらこっそり出て行こうと思ってたんだけどね。)
「ふ~ん。」
太一は皮肉っぽく言った。
(ほんとだ・・・・・よ?)
スサがそう言い切らないうちに、
「あっ!」
と太一は気付いた。
「他の2人は?」
(あ・・・あぁ・・・)
「いるわけじゃないよね?」
太一は意味も無く自分の体を見回した。
そうしながら、
「ワタは貴子に戻ったのかな?」
と尋ねるように言った。
(・・・・・あぁ・・・そ、そうだよ・・・)
少し歯切れが悪い口調だ。
「あと・・・・・」
(・・・・・・・・・・)
「え~と・・・そうそう。タマオは?」
(・・・・・・・・・・)
「タマオだったけ?」
再度、聞いてみた。
(・・・実はね・・・・・・)
急にスサの声が小さく低くなった。
スサの話では、
結局おじさんの体を元の状態に戻す事は出来たけど魂まで呼び戻す事は出来なかった。
それで、タマオはおじさんの生命を維持する為におじさんの中にいることになったと。
もともと決まった性別を持たない彼らは、生物の中にある程度寄生していればその性別になっていくらしい。
それと脳や身体に刻まれている記憶を読み取りながら、本人になっていけるのだと言う。
「じゃあ、あれからのおじさんは違う人ってこと?」
(いや、数ヶ月経ってしまえばおそらく本人と一緒だと思うよ。)
「そう?」
(ただ、死んでからの蘇るまでの記憶はみんなも無くなっているからその辺はぼやけていると思うけど。)
「・・・なんかよく分からないけど・・・上手く行った・・・ってことでいいのかな?」
(そうだ・・・よ)
「・・・・・・・・で、結局お前はいつまでいるんだよ!」
太一は怒っているわけではないが、そんな口調で言った。
(・・・ちょっと気になることがあってね)
「気になること?」
(・・・・・あ、いや・・・もう少しだけ・・・・・もう少し回復したら・・・)
「まぁ、いいよ!」
気まずさそうに言っているスサを遮って太一は言った。
「お前が行きたいときに行けばいいさ。」
(太一・・・)
「結局のところ、俺が頼んだ願いは聞いてもらったわけだしな。」
そう言って太一はソファーに寝っころがった。
「ありがとな。」
そう言いながら太一は重い瞼をゆっくりと閉じた。
が、ぱっと目を見開いて、
「俺が寝てる間に貴子に変な事するなよ。」
と言った。
(大丈夫だよ)
スサが静かに言うと、太一の限界は頂点に達し一瞬で眠りに落ちた。
(う~ん、このまま帰ってもいいんだけど、折角だからこのまま寝かせてしまうか・・・)
スサは悪戯っぽく言った。
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