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再最終章
見えざる者
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(オレはトモ・・・)
(入学した後、バスケ部に入部する優也に付いていった体育館で神宮司麻友を見つけ・・・)
「ひゃあ!」
智は飛んでいるこんにゃくが頬に触った瞬間に首をすくめた。
(ひ、ひ、一目惚れをしてしまった・・・)
(本当はサッカー部に入るつもりだったのに、それでバスケ部に入ってしまったが・・・)
「お~~~っと!」
何か石碑の上に乗っている首の目が開いてこちらを見たのに気付き、すぐに目を逸らしながら叫んだ。
(そ、それで背も伸びて、今やキャプテンで、割とモテてる・・・はずだ・・・)
(そろそろ神宮司も優也にかこつけてオレに近寄らなくてもいいのに・・・)
「どわ~!」
薄暗い井戸のそばに立っている人がこちらに向かってくる。
(ま、まぁ、プライドが高そうだから、こちらから告ってやらないとダメなのかな・・・)
ズダン!
(こ、腰が抜けた)
「ちょっと~!どこにいるのよ?」
春美が暗闇の中、手探りをするようにして智を探している。
「な、何かに滑って転んだんだよ。」
智はそう言って、目の前に差し出された白い手を掴んだ。
「こりゃどうも。」
智はゆっくり立ち上がってその手の主を見て、
「ぎゃ~~~!」
と叫んで走り出してしまった。
「ちょ、ちょっと~。」
そう叫ぶ春美の肩をポンと陽子が叩いて、
「だから、あれと二人きりは無理だって言ったのよ。」
と言った。
ドタン、バタン、ギャー
という慌ただしい音と声が遠ざかっていくのが聞こえていた。
白い手の主が、
「ああいうお客さんが、最高だわ。」
と楽しそうに笑っていた。
「うるさくして済みません。」
と春美、正樹、陽子はお辞儀をしたが、
「いいの、いいの。」
とお菊さん風のその人は井戸の方へ戻っていった。
その数分前、優也と手を繋いだ麻友が歩いていた。
麻友はやはりどこか納得のいかない気持ちでいた。
だが、積極的な優也の行動にトキメキまくっている自分に気付いていた。
そうなると、普段からこういう態度ならあっという間に付き合っていてもおかしくない、という疑問が浮かんでしまう。
「怖くない?」
「・・・少し怖いわ。」
「じゃあ、手を繋いでいよう。」
そう言って入り口からそのまま歩いていたが、何かに怯えるような様子は麻友には全く無かった。
なにせ見えざる者は全く恐怖の対象ではないのだから、というのが麻友の信条だ。
ましてや、ここは作り物の世界。
そうして途中ぐらいまで優也の話に適当に相槌を打っていたが、
「私が怖いのは、見えないものではなくて、見えているイレギュラーよ。」
ふと麻友が言った。
優也は立ち止まり、
「・・・それって・・・どういう意味?」
「そうね・・・」
麻友は少し考えて、
「私に見えているあなたが、本当のあなたじゃないことかしら。」
薄暗い井戸の近くにいた二人に、井戸の中からおどろおどろしい効果音と共にお菊さん風に化粧をした女性が現れた。
「いちま~い・・・・・にま~い・・・・・」
そう言いながら少し近づくお菊さんに、
「ごめんなさい、少し静かにしてくださる。」
と麻友は振り向きもせずに言った。
「さん・・・・えっ?」
「すみません、とりあえず大丈夫です。」
優也も手振りで井戸の方へお帰りくださいと合図した。
「いや・・・でも・・・」
お菊さんがそう言いかけたが、
「私を騙せると思って!」
麻友が少し大きな声で言った。
効果音がうるさいのだろう。
「な、何をいってるんだか!」
優也も少し大きな声になった。
「何年、あなたを見ていると思ってるのよ!」
「いつもの俺だよ・・・何が違うのさ。」
「全部よ!」
「はいはい・・・」
と小さな声でお菊さんは井戸の方へ戻っていき、効果音の流れているスピーカーを止めた。
(入学した後、バスケ部に入部する優也に付いていった体育館で神宮司麻友を見つけ・・・)
「ひゃあ!」
智は飛んでいるこんにゃくが頬に触った瞬間に首をすくめた。
(ひ、ひ、一目惚れをしてしまった・・・)
(本当はサッカー部に入るつもりだったのに、それでバスケ部に入ってしまったが・・・)
「お~~~っと!」
何か石碑の上に乗っている首の目が開いてこちらを見たのに気付き、すぐに目を逸らしながら叫んだ。
(そ、それで背も伸びて、今やキャプテンで、割とモテてる・・・はずだ・・・)
(そろそろ神宮司も優也にかこつけてオレに近寄らなくてもいいのに・・・)
「どわ~!」
薄暗い井戸のそばに立っている人がこちらに向かってくる。
(ま、まぁ、プライドが高そうだから、こちらから告ってやらないとダメなのかな・・・)
ズダン!
(こ、腰が抜けた)
「ちょっと~!どこにいるのよ?」
春美が暗闇の中、手探りをするようにして智を探している。
「な、何かに滑って転んだんだよ。」
智はそう言って、目の前に差し出された白い手を掴んだ。
「こりゃどうも。」
智はゆっくり立ち上がってその手の主を見て、
「ぎゃ~~~!」
と叫んで走り出してしまった。
「ちょ、ちょっと~。」
そう叫ぶ春美の肩をポンと陽子が叩いて、
「だから、あれと二人きりは無理だって言ったのよ。」
と言った。
ドタン、バタン、ギャー
という慌ただしい音と声が遠ざかっていくのが聞こえていた。
白い手の主が、
「ああいうお客さんが、最高だわ。」
と楽しそうに笑っていた。
「うるさくして済みません。」
と春美、正樹、陽子はお辞儀をしたが、
「いいの、いいの。」
とお菊さん風のその人は井戸の方へ戻っていった。
その数分前、優也と手を繋いだ麻友が歩いていた。
麻友はやはりどこか納得のいかない気持ちでいた。
だが、積極的な優也の行動にトキメキまくっている自分に気付いていた。
そうなると、普段からこういう態度ならあっという間に付き合っていてもおかしくない、という疑問が浮かんでしまう。
「怖くない?」
「・・・少し怖いわ。」
「じゃあ、手を繋いでいよう。」
そう言って入り口からそのまま歩いていたが、何かに怯えるような様子は麻友には全く無かった。
なにせ見えざる者は全く恐怖の対象ではないのだから、というのが麻友の信条だ。
ましてや、ここは作り物の世界。
そうして途中ぐらいまで優也の話に適当に相槌を打っていたが、
「私が怖いのは、見えないものではなくて、見えているイレギュラーよ。」
ふと麻友が言った。
優也は立ち止まり、
「・・・それって・・・どういう意味?」
「そうね・・・」
麻友は少し考えて、
「私に見えているあなたが、本当のあなたじゃないことかしら。」
薄暗い井戸の近くにいた二人に、井戸の中からおどろおどろしい効果音と共にお菊さん風に化粧をした女性が現れた。
「いちま~い・・・・・にま~い・・・・・」
そう言いながら少し近づくお菊さんに、
「ごめんなさい、少し静かにしてくださる。」
と麻友は振り向きもせずに言った。
「さん・・・・えっ?」
「すみません、とりあえず大丈夫です。」
優也も手振りで井戸の方へお帰りくださいと合図した。
「いや・・・でも・・・」
お菊さんがそう言いかけたが、
「私を騙せると思って!」
麻友が少し大きな声で言った。
効果音がうるさいのだろう。
「な、何をいってるんだか!」
優也も少し大きな声になった。
「何年、あなたを見ていると思ってるのよ!」
「いつもの俺だよ・・・何が違うのさ。」
「全部よ!」
「はいはい・・・」
と小さな声でお菊さんは井戸の方へ戻っていき、効果音の流れているスピーカーを止めた。
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