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第4章:都市防衛と魔法制度の再設計へ
第1話:魔法庁からの呼び出し
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木曜の朝。
メールチェックをしていたミユキの指が、ある一通の件名で止まった。
【至急対応】特別魔力活動者連絡窓口より:神代ミユキ 様へ
(……なに、これ)
送り元のドメインは一見して政府系には見えない。だが、「庁」の文字と署名にある“第五機密区分対応済”という表記が、妙にリアルだった。
ユリに確認を取ると、すぐに返ってきた。
「……出たな、“魔法庁”」
「やっぱり知ってたの?」
「正確には、“特定非公開省庁群の中の一機関”。
政府に正式に認可されているが、国民の目には触れない。
契約魔法・異界干渉・潜在魔力者の動向を一元管理する、裏の行政機関だ」
「つまり、“国”が魔法少女をまだ把握してるってこと?」
「そうだ。正式には“制度は解体された”が、“能力者そのもの”は観測対象として残されている」
ミユキは唇を噛んだ。
このタイミングでの連絡。最近の行動が“表”に露見したということなのか。
その日の夜、指定された場所は霞が関の外れにある、行政文書保存センターの地下階。
IDカードと生体認証を求められた末、通されたのは、無機質な白い部屋。
中には、制服ともスーツともつかないグレーの服を着た人物がひとり。
「神代ミユキさんですね。ご足労ありがとうございます」
無表情に立ち上がったその人物は、名刺を差し出した。
■内閣府 特別魔力活動課・第六調整室
主任技官 南條 響(なんじょう ひびき)
「……初耳の役所ですけど」
「そうでしょう。通常、あなたたちが出会うことはありません。
ですが――再契約者が4名、組織的に行動しはじめた以上、我々も無視はできません」
ミユキは、警戒を隠さずに尋ねた。
「監視ですか?」
「必要ならば、そうなります。ですが今回は、“提案”をしに来ました」
「提案?」
南條は、タブレットを操作してひとつの文書を投影した。
「あなたたちの活動、“LinkLine(リンクライン)”構想。
都市型魔法少女による防衛ネットワーク。
非常に興味深いです。
――そのまま、“制度化”しませんか?」
空気が止まる。
「制度化……って、つまり“国家公認の魔法少女組織”をまた作るってこと?」
「そうです。ただし、以前とは違います。
あなたたちは“大人”であり、職場を持ち、社会的責任を果たしている。
その上で、異界災害に対応する。
今後増加するであろう都市魔物への対処に、これほど適した存在はいない」
「つまり、認可と予算を出す代わりに、こっちも“国の管理下”に入れってことですよね?」
「そう取っていただいて構いません」
ミユキは、じっと南條の目を見た。
その男の視線には嘘がない。だが、それが一番恐ろしいと感じた。
「どうして今になって、動いたんですか?
10年前、私たちを切り捨てたのは、あなたたちの側でしょ」
「その件については、今後資料を開示する予定です。
ただ一つ、断言できるのは――
“あなたたちがもう一度動いたからこそ、体制が変えられる”ということです」
そのとき、ミユキのスマホにユリからのメッセージが届いた。
《彼の言葉に嘘はない。だが“全て”でもない。注意せよ》
「……この話、仲間と相談させてもらっていいですか?」
「もちろんです。むしろ、その上で正式に“交渉チーム”を組んでください」
ミユキは深く息をついた。
目の前の資料には、膨大な法的条文と運用指針。
その一つひとつが、「もう一度、魔法少女制度を現代化する」ための準備だった。
深夜、自宅。
ミユキは、三人の仲間に資料を送った。
件名は短く――
【緊急】制度再編の話、きた。
返事はすぐに返ってきた。
ナナ:「やっと“表”が反応したってわけね。まあ、焦らせてやろうじゃない」
アイナ:「一度崩れた制度を、“こっちの条件”で作り直すなら、やる価値あるかも」
まどか:「怖い。でも……前を向くチャンスでもあると思う」
ミユキはスマホを置き、天井を見上げた。
(私たちは、もう隠れた存在じゃない)
(じゃあ、どう生きる? 誰と並ぶ?)
(答えは、これから作る)
そして彼女は、再び剣を握る。
今度は、交渉の場という戦場で。
メールチェックをしていたミユキの指が、ある一通の件名で止まった。
【至急対応】特別魔力活動者連絡窓口より:神代ミユキ 様へ
(……なに、これ)
送り元のドメインは一見して政府系には見えない。だが、「庁」の文字と署名にある“第五機密区分対応済”という表記が、妙にリアルだった。
ユリに確認を取ると、すぐに返ってきた。
「……出たな、“魔法庁”」
「やっぱり知ってたの?」
「正確には、“特定非公開省庁群の中の一機関”。
政府に正式に認可されているが、国民の目には触れない。
契約魔法・異界干渉・潜在魔力者の動向を一元管理する、裏の行政機関だ」
「つまり、“国”が魔法少女をまだ把握してるってこと?」
「そうだ。正式には“制度は解体された”が、“能力者そのもの”は観測対象として残されている」
ミユキは唇を噛んだ。
このタイミングでの連絡。最近の行動が“表”に露見したということなのか。
その日の夜、指定された場所は霞が関の外れにある、行政文書保存センターの地下階。
IDカードと生体認証を求められた末、通されたのは、無機質な白い部屋。
中には、制服ともスーツともつかないグレーの服を着た人物がひとり。
「神代ミユキさんですね。ご足労ありがとうございます」
無表情に立ち上がったその人物は、名刺を差し出した。
■内閣府 特別魔力活動課・第六調整室
主任技官 南條 響(なんじょう ひびき)
「……初耳の役所ですけど」
「そうでしょう。通常、あなたたちが出会うことはありません。
ですが――再契約者が4名、組織的に行動しはじめた以上、我々も無視はできません」
ミユキは、警戒を隠さずに尋ねた。
「監視ですか?」
「必要ならば、そうなります。ですが今回は、“提案”をしに来ました」
「提案?」
南條は、タブレットを操作してひとつの文書を投影した。
「あなたたちの活動、“LinkLine(リンクライン)”構想。
都市型魔法少女による防衛ネットワーク。
非常に興味深いです。
――そのまま、“制度化”しませんか?」
空気が止まる。
「制度化……って、つまり“国家公認の魔法少女組織”をまた作るってこと?」
「そうです。ただし、以前とは違います。
あなたたちは“大人”であり、職場を持ち、社会的責任を果たしている。
その上で、異界災害に対応する。
今後増加するであろう都市魔物への対処に、これほど適した存在はいない」
「つまり、認可と予算を出す代わりに、こっちも“国の管理下”に入れってことですよね?」
「そう取っていただいて構いません」
ミユキは、じっと南條の目を見た。
その男の視線には嘘がない。だが、それが一番恐ろしいと感じた。
「どうして今になって、動いたんですか?
10年前、私たちを切り捨てたのは、あなたたちの側でしょ」
「その件については、今後資料を開示する予定です。
ただ一つ、断言できるのは――
“あなたたちがもう一度動いたからこそ、体制が変えられる”ということです」
そのとき、ミユキのスマホにユリからのメッセージが届いた。
《彼の言葉に嘘はない。だが“全て”でもない。注意せよ》
「……この話、仲間と相談させてもらっていいですか?」
「もちろんです。むしろ、その上で正式に“交渉チーム”を組んでください」
ミユキは深く息をついた。
目の前の資料には、膨大な法的条文と運用指針。
その一つひとつが、「もう一度、魔法少女制度を現代化する」ための準備だった。
深夜、自宅。
ミユキは、三人の仲間に資料を送った。
件名は短く――
【緊急】制度再編の話、きた。
返事はすぐに返ってきた。
ナナ:「やっと“表”が反応したってわけね。まあ、焦らせてやろうじゃない」
アイナ:「一度崩れた制度を、“こっちの条件”で作り直すなら、やる価値あるかも」
まどか:「怖い。でも……前を向くチャンスでもあると思う」
ミユキはスマホを置き、天井を見上げた。
(私たちは、もう隠れた存在じゃない)
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そして彼女は、再び剣を握る。
今度は、交渉の場という戦場で。
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