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木下このみ③
11:閉店
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まもなく午後9時になろうとしていた。
雪かきを終えた陽子たちが従業員口から回り込んで店の中へ入ってきた。
タオルで汗を拭いながら、矢崎はハァハァと肩で息をしていた。
その隣で陽子も呼吸を整えると、
「みなさん、今日はもう閉店の準備を始めて、9時になったら帰宅してください。」
見渡すとすでにお客さんは一人もいなくなっていた。
「準備しないってことは、明日はお休みって事ですか?」
(あんまり雪だとお客さんも来れないわよね~)
横山が尋ねると、
「天気予報からも、このまま雪は降り続けるようですので午前中は開けられないと思います。」
「シフトはどうするんですか?」
パートさんが尋ねた。
(そうそう、そうよね。私は午後だけど・・・・・・)
「とにかく明日の朝の状態で決めて連絡します。ただ、午前中は仕事になりませんので午前からの人も午後に出社、というイメージでいてください。ここにいない人には私から連絡しますので大丈夫です。」
「朝から手伝いは必要じゃないですか?」
矢崎が言った。
(陽子さんだけじゃね~・・・・・・・でも、店長もいるか!)
「基本的に除雪はマートの方で手配してくれますので大丈夫だと思います。」
「わかりました。でも、何かの時は僕は家が近いので呼んでください。」
(何ですって?!)
「ありがとう。・・・・・・じゃあみなさん、帰れなくなる前に急いで閉店して帰り支度をしてください。」
「はい。」
このみはレジ閉めを始めた。
何だかさっきから陽子を見ると少しイライラした。
それでも気を取り直してPOSのシャットダウンを始めると、そのレジ前を通り過ぎて横山が陽子に近づいて行った。
あまりよくは聞こえないし聞く気もないが、何やら帰りがどうとか言ってるようだ。
すると、
「矢崎君!!」
陽子が矢崎を呼んだ。
「はい?」
その声にビクッとなってこのみは手を止めて矢崎を見つめた。
(何かしら?)
このみは耳を澄ませた。
「帰りに横山君を送るんだけど、矢崎君も送っていきましょうか?」
「ん~・・・・・・・大丈夫だと思います。」
「そう?でも周りは雪で暗くなるとよく見えないし・・・・・・歩くのは危険よ?」
矢崎は窓の外を見つめて、
「そう・・ですね。それじゃ、お言葉に甘えて。」
(その手があったわね!!!車で送りますと声をかければ・・・・・・・・)
このみは心の中でかなり後悔した。
「じゃあ、着替え済ませたら店の前でね。」
「はい。」
みんな帰り支度を済ませ、親の迎えで帰る者と陽子さんが送っていく者とに分かれたようだ。
このみが店の前へ行くと、すかさずベンツが前に停まり、玄が降りて後ろのドアを開けた。
(仕方ないわね・・・・・)
しょぼんとしながらも
「それでは、お疲れ様でした。」
と大きめに声を出し、矢崎に手を振った。
矢崎の横にいた横山が満面の笑みでこのみに手を振っていることには全く気が付かなかったが。
車に乗り込むと、
「何か、負のオーラみたいなものを感じたわ・・・・・・」
と呟いた。
玄はそれには気付かず、フロントガラス越しに矢崎を見ながら、
「良かったですね、お嬢様。愛しの方に逢えて・・・・・・」
そう呟きながらゆっくり車を走らせた。
ちょっと走って、二人とも
「はぁ~~~」
と深いため息をついた。
雪かきを終えた陽子たちが従業員口から回り込んで店の中へ入ってきた。
タオルで汗を拭いながら、矢崎はハァハァと肩で息をしていた。
その隣で陽子も呼吸を整えると、
「みなさん、今日はもう閉店の準備を始めて、9時になったら帰宅してください。」
見渡すとすでにお客さんは一人もいなくなっていた。
「準備しないってことは、明日はお休みって事ですか?」
(あんまり雪だとお客さんも来れないわよね~)
横山が尋ねると、
「天気予報からも、このまま雪は降り続けるようですので午前中は開けられないと思います。」
「シフトはどうするんですか?」
パートさんが尋ねた。
(そうそう、そうよね。私は午後だけど・・・・・・)
「とにかく明日の朝の状態で決めて連絡します。ただ、午前中は仕事になりませんので午前からの人も午後に出社、というイメージでいてください。ここにいない人には私から連絡しますので大丈夫です。」
「朝から手伝いは必要じゃないですか?」
矢崎が言った。
(陽子さんだけじゃね~・・・・・・・でも、店長もいるか!)
「基本的に除雪はマートの方で手配してくれますので大丈夫だと思います。」
「わかりました。でも、何かの時は僕は家が近いので呼んでください。」
(何ですって?!)
「ありがとう。・・・・・・じゃあみなさん、帰れなくなる前に急いで閉店して帰り支度をしてください。」
「はい。」
このみはレジ閉めを始めた。
何だかさっきから陽子を見ると少しイライラした。
それでも気を取り直してPOSのシャットダウンを始めると、そのレジ前を通り過ぎて横山が陽子に近づいて行った。
あまりよくは聞こえないし聞く気もないが、何やら帰りがどうとか言ってるようだ。
すると、
「矢崎君!!」
陽子が矢崎を呼んだ。
「はい?」
その声にビクッとなってこのみは手を止めて矢崎を見つめた。
(何かしら?)
このみは耳を澄ませた。
「帰りに横山君を送るんだけど、矢崎君も送っていきましょうか?」
「ん~・・・・・・・大丈夫だと思います。」
「そう?でも周りは雪で暗くなるとよく見えないし・・・・・・歩くのは危険よ?」
矢崎は窓の外を見つめて、
「そう・・ですね。それじゃ、お言葉に甘えて。」
(その手があったわね!!!車で送りますと声をかければ・・・・・・・・)
このみは心の中でかなり後悔した。
「じゃあ、着替え済ませたら店の前でね。」
「はい。」
みんな帰り支度を済ませ、親の迎えで帰る者と陽子さんが送っていく者とに分かれたようだ。
このみが店の前へ行くと、すかさずベンツが前に停まり、玄が降りて後ろのドアを開けた。
(仕方ないわね・・・・・)
しょぼんとしながらも
「それでは、お疲れ様でした。」
と大きめに声を出し、矢崎に手を振った。
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車に乗り込むと、
「何か、負のオーラみたいなものを感じたわ・・・・・・」
と呟いた。
玄はそれには気付かず、フロントガラス越しに矢崎を見ながら、
「良かったですね、お嬢様。愛しの方に逢えて・・・・・・」
そう呟きながらゆっくり車を走らせた。
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「はぁ~~~」
と深いため息をついた。
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