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第38話『数式で土を救え!』【カイとルーティアの夏休み編⑦】
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翌朝、カイは公爵邸から農園へと戻ってきた。
ルーティアと兄二人、それに領民たちが揃って待っている。
畑の真ん中には大きな板とチョーク。教師スタイルの準備万端だ。
「さて。今日は“土の授業”や」
「授業……?」
「ワイは教師やからな。みんな生徒やと思て聞いてや」
農民たちは顔を見合わせたが、やがて真剣な眼差しを向けた。
カイは土を一掴みし、魔法薬師が用意した瓶を取り出した。
中身は特殊な薬草液で、土に混ぜると酸性かアルカリ性かによって色が変わる。
「まずはpHチェックや。酸性に傾いとったら赤、アルカリ性やったら青になる」
土を入れると液は赤みを帯びた。
「ほらな。酸性寄りや。作物が弱ってる原因のひとつやで」
農民たちは目を丸くする。
「……色で分かるなんて!」
「先生は魔法薬師でもあられるのか?」
「ちゃうちゃう。ちょっと科学的な遊びや」
カイは板に式を書き始める。
収穫量=aN+bP+cK+dH2O
「N=窒素、P=リン、K=カリウム。植物に必要な三大栄養素や。
それと水の量がバランス取れて初めて実りになる」
「おおお……」
農民たちが感嘆の声を上げる。
「いまの畑は窒素ばっかりで、リンとカリウムが足りてへん。だから葉っぱばっかり茂って実がつかんのや」
農民たちは顔を見合わせた。
「確かに、葉はよく伸びるが実が小さい……」
「なるほど……!」
カイは肥料の袋を三つ並べた。
一つには窒素多めの堆肥、二つ目は骨粉(リン)、三つ目は灰(カリウム)。
「これを1:1:1の比率で混ぜて撒く。さらに水を均等に行き渡らせる仕組みを作るんや」
「比率……そんな単純なことで?」
「せや。単純やからこそ強い。数学も農業もバランスが命や」
試しに一角の畑に肥料を撒き、井戸から水を引いて丁寧に撒水する。
さらにカイは魔法で小さな水路を掘り、土に浸透するよう調整した。
「これで一週間ほど待てば変化が出るはずや」
農民たちは半信半疑で頷いた。
◆◇◆
それから一週間後――。
農園に戻った一同が目にしたのは、青々と育った作物だった。
以前は小さな実しかつかなかった苗に、大ぶりのトマトや茄子が鈴なりになっている。
「な、なんだこれは!」
「収穫量が倍以上になってる……!」
農民たちは歓声を上げ、カイのもとに駆け寄った。
「先生! あなたは畑を救ってくださった!」
「これで冬も越せる……!」
ルーティアがカイの腕に抱きつき、きらきらと目を輝かせた。
「旦那様! やっぱり領地を救うのはあなたですわ!」
「奥様認定やめぇ! ワイはただの数学教師や!」
兄ヴィルヘルムは深く頷き、真剣な眼差しを向けた。
「クロス殿。戦で剣を振るうより、百倍価値のある働きだ」
ユリウスも笑う。
「領地にとって、あなたはすでに英雄だ」
「英雄ちゃう、ただの教師や!」
農民の一人が声を張り上げた。
「バンザイ! クロス婿殿!」
「婿殿言うなーー!!!」
だが、農民たちは口々に「婿殿!」「婿殿!」と叫び、拍手喝采。
ルーティアはさらにご満悦で、カイの腕にぎゅっと抱きついて離さなかった。
ルーティアと兄二人、それに領民たちが揃って待っている。
畑の真ん中には大きな板とチョーク。教師スタイルの準備万端だ。
「さて。今日は“土の授業”や」
「授業……?」
「ワイは教師やからな。みんな生徒やと思て聞いてや」
農民たちは顔を見合わせたが、やがて真剣な眼差しを向けた。
カイは土を一掴みし、魔法薬師が用意した瓶を取り出した。
中身は特殊な薬草液で、土に混ぜると酸性かアルカリ性かによって色が変わる。
「まずはpHチェックや。酸性に傾いとったら赤、アルカリ性やったら青になる」
土を入れると液は赤みを帯びた。
「ほらな。酸性寄りや。作物が弱ってる原因のひとつやで」
農民たちは目を丸くする。
「……色で分かるなんて!」
「先生は魔法薬師でもあられるのか?」
「ちゃうちゃう。ちょっと科学的な遊びや」
カイは板に式を書き始める。
収穫量=aN+bP+cK+dH2O
「N=窒素、P=リン、K=カリウム。植物に必要な三大栄養素や。
それと水の量がバランス取れて初めて実りになる」
「おおお……」
農民たちが感嘆の声を上げる。
「いまの畑は窒素ばっかりで、リンとカリウムが足りてへん。だから葉っぱばっかり茂って実がつかんのや」
農民たちは顔を見合わせた。
「確かに、葉はよく伸びるが実が小さい……」
「なるほど……!」
カイは肥料の袋を三つ並べた。
一つには窒素多めの堆肥、二つ目は骨粉(リン)、三つ目は灰(カリウム)。
「これを1:1:1の比率で混ぜて撒く。さらに水を均等に行き渡らせる仕組みを作るんや」
「比率……そんな単純なことで?」
「せや。単純やからこそ強い。数学も農業もバランスが命や」
試しに一角の畑に肥料を撒き、井戸から水を引いて丁寧に撒水する。
さらにカイは魔法で小さな水路を掘り、土に浸透するよう調整した。
「これで一週間ほど待てば変化が出るはずや」
農民たちは半信半疑で頷いた。
◆◇◆
それから一週間後――。
農園に戻った一同が目にしたのは、青々と育った作物だった。
以前は小さな実しかつかなかった苗に、大ぶりのトマトや茄子が鈴なりになっている。
「な、なんだこれは!」
「収穫量が倍以上になってる……!」
農民たちは歓声を上げ、カイのもとに駆け寄った。
「先生! あなたは畑を救ってくださった!」
「これで冬も越せる……!」
ルーティアがカイの腕に抱きつき、きらきらと目を輝かせた。
「旦那様! やっぱり領地を救うのはあなたですわ!」
「奥様認定やめぇ! ワイはただの数学教師や!」
兄ヴィルヘルムは深く頷き、真剣な眼差しを向けた。
「クロス殿。戦で剣を振るうより、百倍価値のある働きだ」
ユリウスも笑う。
「領地にとって、あなたはすでに英雄だ」
「英雄ちゃう、ただの教師や!」
農民の一人が声を張り上げた。
「バンザイ! クロス婿殿!」
「婿殿言うなーー!!!」
だが、農民たちは口々に「婿殿!」「婿殿!」と叫び、拍手喝采。
ルーティアはさらにご満悦で、カイの腕にぎゅっと抱きついて離さなかった。
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