Heavens Gate

酸性元素

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レド編

枯れた花③

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「……ほんとに申し訳ないです。こんな事になってしまって。」
意識を取り戻したケインは、病室でデボラに震えた声で謝罪した。
「…いや、一応は依頼者の承諾は得たからな。」
「そう言えば彼はどうなって…」
「……」
「なんで黙るんです?」
「ジャックは…そろそろ飛行機乗ってんじゃない?」
「…どうして依頼は空港までなんですかね?」
「……」
「…知ってるんですか?どうして。」
「依頼主を深掘りするべきじゃない!」
「もう依頼は達成された!俺はもう依頼者を尊重する義務はない!答えてください!彼は何をするつもりなんだ!」
「……」
「答えないのかよ。」
「他の人はとっくのとうに察してる様だよ。…アンタだけだこんなに騒いでんのは。」
「…まさか!」
「ああ…そうだよ。ジャックは死ぬ予定だ。このまま行っても家族が狙われる。ましてや飛行機に乗っても機内に忍び込まれるに決まっている。だから機内で自爆する予定だ。」
「……!クソ!」
ケインは部屋を飛び出す。
「……今更行ったって意味が無い。…意味がないさ。……希望はあってもどうにもならん事が世の中にはある。アタシが魔族に立ち向かえたのは希望に可能性があったからだ。……って言ってももう出てっちゃったか…。独り言だなこりゃ。」
デボラはため息をついてそう言った。
ーーーーー
「…良かったのか?…私に同行して。」
「ええ、死ぬのはあんたと一緒ですわ。」
ナックは笑いながら言う。
「……私はずっと嘘をついていたよ。」
「……」
「私はね…娘の姿も妻の姿も、数える程しか見たことがないんだ。」
「知ってます。」
「だが怯える少女や犯される女は飽きるほど見たことがある。」
「ええ…。」
「……私はジャックの影武者だ。初めから娘なんていない。」
「……知ってましたよ。」
「お前が私の所に来たのは…ええと14の時だったかな。働かせろといきなり押し入ってきた…」
「ええ、そうっすよ。親父が借金溜めて目の前でマフィアに殺されて……でもそのマフィアはヒーローだって思ったんですよ。クソみてえな家から助け出してくれるって。」
「…特別待遇だからなお前は。普通は臓器を幾つでも売らせる所だ。」
「ははは…でもあんたはそうしなかった。それだけで十分っすよ。あんたは俺を助けた。あんたがどれほど悪漢だと言われても、俺に取っては最高の家族だ。」
「……そうかい。」
2人の後頭部に銃口が向けられる。
「おい、大人しくしろ。」
「……その前に一言良いかな?……くたばれ。」
ジャックはスーツを脱ぐと、爆発の魔力を付与した紙を露出させた。
「貴様…!」
飛行機は上空で爆発し、破片が落下していく。
「はあ…胸糞悪い。」
シャーロットは空中で破片全てを静止させ、火を鎮火し、一瞬のうちに分解した。
「はあ…!はあ…!はあ…!」
「起きたのか…ケイン。」
「なんで…なんでそんな簡単に死ぬんだよ…」
「簡単じゃないさ。葛藤して死んだんだ。それまでの過程なんか殆ど大差ない。誰だって等しく必死こいて死ぬんだ。」
ケインはただ1人、膝をついたまま空を見ていた。
ーーーーーーー
「パパー!」
「んー?」
「このお花さん萎んでるー」
「……そうだね、水をやらないとね。」
「なんでひとつだけ枯れてるの?」
「うーん…何でだろうね…他のお花さんに押されちゃったのかな…」
「可哀想…」
「あなたー!そろそろ…」
「分かってるよー!…行こうか。お母さんが待ってる。」
「うん…。」
家へと戻っていくジャックの後ろ姿は、どこか寂しげだった。
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