Heavens Gate

酸性元素

文字の大きさ
121 / 133
終末編

世の摂理

しおりを挟む
「はあ…はあ…はあ…!」
ノーマンは走っていた。早く、早く魔族たちを避難させなければ。
「はあ…おい!早く!こっちに避難するんだ!」
生き残った魔族に向かって、張り裂けんばかりの声で彼は叫ぶ。
「何……?人間?人間が何故ここに?」
「騙されるな!どうせ俺たちを殺す気だ!」
魔族らは、ノーマン達に石を投げる。
彼の頭にそれは命中し、そこから一筋の血が垂れる。
「先輩!」
ヘルガは、彼の頭にハンカチを当てる。
「大丈夫……わかってくれるはず。」
ノーマンは帽子を脱いだ。
「僕は魔族と人間のハーフだ。人でも魔族でもない。でも、だからこそ、分かり合えると信じている。」
彼は魔族らに向かって叫び続けた。しかし、思惑通りにはいかない。
「だからなんだというんだ!お前が人間の軍服を着ているのは知っている!信じられるものか!」
「だから……危ないんだ!ここは……」
「俺に任せろ。」
彼の肩を、何者かがポンと叩く。
見ると、それはアダムだった。
「アダム……殺してきたのか。」
「ああ……どうか聞いてくれ!彼の言っている事は本当だ!」
「アダム……あのアダムだ!そうだ、あそこだよな?行こう!」
アダムが呼びかけた途端、魔族たちは手のひらを返し、避難所へと走り始めた。
「………確信したよ。魔族ってのはこうも気持ち悪い生き物なんだな。
……俺の守ってきた物って……なんだったんだ?」
「ああ、大丈夫だ。あんたが守った意味はあった。」
ノーマンは、アダムの肩を叩き返した。

「さあ……行こう。」
ノーマン達はは、魔族達の乗り込んだ車へと向かった。
そして全員が乗り込んだ後、車は発進を始める。
「なんで人間なんかがこの車に……」
「くそ……ここで殺してしまおうか…」
共に乗り込んでいたシーラに、冷たい視線が向けられる。
「………?なんだ、あれ。」
ノーマンは遠くを指差す。そこには、何かの人影があった。
「……やばい、あれは。構えろ!ノーマン!」
「ヘルガちゃん、運転頼んだよ。」
ノーマンとアダムは、車から降りる。その瞬間、その人影が彼らに襲い掛かった。
「…速い!」
アダムは魔能力でそれを弾く。その瞬間、凄まじい電撃が周囲には謀った。
2人は着地し、その正体を見定める。
それが判明し、ノーマンはその場に放心した。
「劉……龍…?」
かつての部下。かつての自分の嘘の犠牲者。その少年が!そこには立っていたのだ。
「ひさしぶりです、ノーマンさん。」
いつもと変わらぬ笑顔で、彼は言った。
「あの人……もしかして……」
シーラは車の窓から彼を見る。まだ親がいた頃、ニュースで取り上げられていた。
「知っているのか?」
「うん……確かたくさんの人を救って…それで大量殺人したとか……」
「大量殺人……?!うわぁ!」
車は、突如巻き起こった衝撃により、車は横転する。
「何を……する気だ?」
「何って……全員救うんです。ここで貴方方に魔族を救われたら、色々手間がかかって面倒だ。さっさとやった方がいい。」
ノーマンの質問に、自分は至って正常だと言うような顔で答える。
「お前……奴らの側についたのか!」
「ええ…そうですよ。別にナンバーズでもなんでもないですがね……」
「俺は……お前の葛藤に表面上でしか触れられなかった!俺がお前に向き合わなかったがために…!だから今度こそお前を理解したい!」
「ああ、良いんですよ、そんな話。もうどうでも良いんです。全部解決するから。」
最早ノーマンの訴えなど通じない。完全に狂ってしまっている状態だった。
「俺たちは…お前を殺さなきゃいけないのか?そこははっきりしたい。」
アダムが2人の間に割って入る。
「ああ、黙って殺されるなら、ね。大丈夫、魔族も救って見せますから!」
龍は大きく手を広げ、高らかに言い放った。
「辞めないか…?お前と俺は戦いたくない。」
ノーマンがそう言った瞬間、龍の顔つきが険しいものへと変わる。
「じゃあどうすりゃ良かったんだよ?
どうすりゃ良かったってんだよ!!!
どれほど助けたって!どれほど訴えたって!奴らは手のひらを返しやがる!表面上でしか物を見ない!!
そして事が終わるとどうだ?すぐにそいつの事なんか忘れやがる!!同じさ!!人も魔族も同じくクズばかりだ!汚れてる!狂ってる!!こんな生き方間違っている!!!
だから正すんだ……絶対に……僕が、僕らが正して見せる。」
涙を流しながら、龍は武器を構える。
「そうか……わかった。戦うしか、ないんだな?なら……死んでくれ。」
ノーマンは彼に応えるように武器を生成する。
「こっちのセリフだ、偽善者!!」
「どれほど汚れていようと…守るしかない。それが俺たちだ。」
アダムはノーマンの後方で魔力を構える。
2対1、一進一退の攻防が、今開始された。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

忘れ去られた婚約者

かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』 甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。 レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。 恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。 サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!? ※他のサイトにも掲載しています。 毎日更新です。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...