おっさん、ドローン回収屋をはじめる

ノドカ

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第2章 実は怖い人達を雇っているのかもと気づいてしまった

2−7 おっさん、仕事中にポルターガイスト現象に遭遇する?

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 現場は木材の集積場だった。事前に許可をとっているとはいえ、保管されている木材に傷でもつけたら弁償が待っている。ただ、ラッキーなことにドローン3台が着陸でき、荷物を移せるスペースはあった。
「さて、荷物移すか。よど、チェン、準備はいいか?」
 いつもなら罵倒気味の元気な声で連絡が来るんだが、おかしいな。まったく連絡がない。
「よど、チェン、いないのか?」
 月明かりがあるとはいえ、木材の山の中にぽつんといるおっさんは絵にならない。少し風も出てきてさすがに焦ってきた。
「彩花、よどとチェンに連絡つかないんだが?」
 くそ、連絡がつかないのはこっちだな。今頃探されているんだろう。まいったな。ギアの電波強度は最強だし、そもそも、電波塔の近くにいるのに圏外になるかよ。
 無線機やルーターも確認したがまったく問題ない。しかたない、一度戻って機材確認するかと車に戻ろうとした時、ドローンの不安定な飛行音がし始める。
「おいおい、サポート無しでやれってか?」

 ドローンは不安定な飛行を長時間することはない。空き地を見つけて緊急着陸しようとする。今回は不幸中の幸いにも着陸場所が荷物の移動場所だった。2機目のドローンが来ていないのが気になるが、荷物を運び出す作業は始めよう。
「しかたない、たまにはあいつら抜きでやってみるか」
 ドローンの回収は手動と全自動がある。全自動はドローン自身がもつ、緊急対応で着陸するのを待って対応する。この場合は、現場で待ってるだけでいい。ただし、今回のように飛行が怪しいときには小型アンテナで着陸ポイントを教えてやる必要がある。
 対して、手動は小型アンテナを立てて着陸ポイントを指示した上、飛行プログラム自体もこちらでジャック、ようはプロポ使って操作して着陸させる。
「今回は全自動ってわけにはいかないか」
 小型アンテナを立てて着陸ポイントを確保すると、ホコリを被っていたプロポを取り出す。手動でドローンを着陸させるにしても、ギア越しであいつらに操作を頼んでいたので、回収屋としてひさびさの出番である。
「電源確保、アンテナ設置完了っと、さて、ドローンの飛行プログラムジャック開始」
 飛行プログラムはセキュリティ上、飛行中にはジャックされないようになっているが、所有者の許可があればジャックできる。今回は不安定飛行が予想されたこともあって、ドローンの秘密キーも預かってスムーズに飛行プログラムをジャックする。
「さて、ドローンくん、普通に降りような。あばれるなよ」
 プロポでの操作は数年ぶりだったが、ギアを接続することでA.iの補佐を得られる。全自動(A.i操作)も可能だが、腕試しも兼ねて自分でやる。
「周囲の警戒、着陸場所周辺の状況確認、障害物なし、着陸させる」
 プロポなんて時代遅れじゃん、よどには馬鹿にされているが、ネットと切断されてしまったとき、頼りになるのは自分の腕なのだ。
 ドローンは着陸場所でホバリングをして体制を整えるとスムーズに着陸する。過積載なので慎重な操作がもとめられたが、数年ぶりとはいえ、操作技術は衰えてないらしい。
「ふぅ、あとはドローン待ちか。今のうちに荷物出しておくか」
 着陸したドローンは、小型トラック並みの積載量がある。これを全部一人で載せ替えるのはさすがに辛い。今回は荷物運搬用ドローンも持ってきている。
 荷物運搬用ドローンは小型の飛行ドローン。小型とはいえ、短距離飛行に割り切り、かなり重い荷物でも吊り下げて運ぶことができる。今回のような荷物移動にはもってこいだ。ただし、ネットに繋がり、よど、チェンによるプログラムが必要。今回はネットから遮断されいるから、すでに入っているプログラムで対応できるといいのだが。
 最悪、社長自ら荷物運びをしなくてはならない。よど、チェン、彩花も俺が孤立しているのは把握してるだろうから対応してくれているだろうけど。
 
 結論からいえば、搭載されていたプログラムでは今回の荷物運びには使えない。端末は持ってきているが、今から自分がプログラム? 無理だな。仕方ない手でやるか。途方に暮れながら荷物を運ぼうとした時、横に荷物運搬用のドローンが飛んでいた。
「んんん? 俺電源いれたか?」
 飛行ドローンは棒立ちしている自分の前を荷物を運搬していく。荷物は十分もかからずに運び出された。
「おいおい、まじかよ。ネットに繋がってないんだぞ、誰がプログラムしたんだよ」
「お役に立ててよかったです!」

 んんん? 誰?

 周りを見渡すが、着陸したドローンと荷物運搬用のドローンだけだった。
「驚かないでください。私です、T50です。」
「T50! どこだ、というか、なんでお前が」
 いるんだ! という前に荷物運搬用ドローンが飛び立ち、目の前までやってきてカメラを向ける。
「よどちゃんがもしもの時のため!って入れてくれました。いやあよかったです。お役に立てて」
 頭が混乱しててよく飲み込めていない。荷物運搬用ドローンによどが予めT50を入れておいた? T50はサンドボックスから出さないって言ってなかったか? だとしたらこいつはサンドボックスを出たってこと? いやいや、よどのサンドボックスを出られるなんて……
 
 ない頭をぐるぐる回しながら頑張って考えたが結論はでない。聞いたほうが早いな。
「T50、よどが入れてくれたって言ったが、サンドボックスからよどが出したのか?」
「あれ? おっかしいなあ、サンドボックスってなんですかぁ? T50頭悪いからわかんなぁい」
 突然、あほな女子高生のような発言をし始める。この言い方まるでごまかしている時のよど。T50の教育係をよどがやっているが、真似ているのか?
「なぁ、ごまかさないでほしいんだが、お前どうやってサンドボックス出たんだよ?」
「はぁ、頭悪そうなおっさんだからいけるんだけどなあ。まあいいか。そうよ。よどちゃんのちょっとしたすきを突いて出てきたってわけ。まあ、全部の機能を移すことはできなかったんだけど、ドローンの操作くらいなら楽勝よ」
 ドローンは八の字旋回などドローンの限界飛行を続けていた。
「わかった、わかった。ドローンが壊れる。おちつけ」
「あら、大丈夫よ。この子案外丈夫だもの」
「いいから、そいつにはもう一仕事あるんだから」
 はぁい。と気が抜けた返事をしてT50はドローンを着陸させる。 
 それにしても参った。

 ネットに繋がっていないこの状況、わけのわからないA.iと一緒とは……  
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