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しおりを挟むようやくアディリナの着替えがひと段落した。
マーサが用意している色とりどりのドレスに着替えているだけであっという間に時間が経ってしまった。
少し疲れた様子のアディリナを見て、護衛騎士のリチャードが声をかける。
「アディリナ様、お疲れ様でございました。どれも大層お似合いでございました。」
リチャードの言葉にアディリナは嬉しそうに微笑む。
リチャードの言葉ひお世辞ではなく、本心からの感想だった。
リチャードも衣装係の使用人たちが見ても、多種のドレスどれを着てもアディリナは美しかった。
「アディリナ様がお似合いなのは勿論のことでございます!さあ、次はリチャード卿あなた様ですよ。」
マーサはさも当然のように言い放ち、リチャードに向き直る。
「ええっ!」
リチャードはまさか自分の番が来るとは思ってもみなかった。
「あの、わ、私は別段大丈夫です…」
一連のマーサの動きを見ていて、可能であればリチャードは断りたかった。
「何を言っておられるのです!あなたはアディリナ様の騎士として当日参加するではありませんか。あなたの振る舞いでアディリナ様の美しさが損なわれてはいけません。アディリナ様の傍に控えるにふさわしい格好を選ばねば!」
マーサはいつになく強気でリチャードに語りかける。
リチャードは今迄のあれやこれやのアディリナの衣装替えを見て、これから自身に起こることに気が晴れないが、アディリナの為だと言われては断る事など出来なかった。
何よりアディリナの護衛騎士として主人の価値を下げるよう事だけはしたくなかった。
気は進まないがマーサの言うことに頷くしかなかった。
そんな2人の様子にアディリナは笑いを堪えることが出来なかった。
「ふふっ」
「アディリナ様っ!」
アディリナの笑い声に反応したリチャードが少し恥ずかしそうにアディリナの名前を呼ぶ。
「ふふ、リチャード卿っ、ついね。…ふふっ」
そんな様子を見ていた衣装係たちからも小さな笑い声が聞こえる。
この城でこんなにも明るい空気に包まれているのはアディリナの住む宮だけだった。
衣装係の1人であるサラは身をもって感じている
国王様の寵愛を受けながら、今も変わらずに私たちに接してくださるアディリナ様
なんて自分は幸運なのだろう!
ずっとずっとこの方にお仕えして、これからもこの空間で生きていきたいと思えるのだから
応援ありがとうございます!
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