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しおりを挟む「お父様?」
アディリナの様子を伺いに来たイスマエルは部屋の入り口にて、立ち尽くしていた。
そんなイスマエルの様子に周囲の従者たちもおろおろとし、アディリナに助けを求めるかのように視線を向けてきた。
その場から動かないイスマエルに、アディリナは自身から近づく。
「お父様?…どこか体調でもよろしくないのですか?」
アディリナの言葉を受け、イスマエルは、はっと現実に戻ってきたかのように返事をする。
「いや、問題ない。それより今日のお前は本当に美しいな」
そう言ってイスマエルは傍にいるアディリナの髪を撫でる。
「ありがとうございます、お父様。」
父からの誉め言葉にアディリナは嬉しそうに微笑む。
イスマエルはアディリナを見つめ、さらに恍惚とした笑みを浮かべ、小さく呟く。
「…まるでフェリシナそのものではないか」
――――――――――――――――――――――――
その後イスマエルは一度、最終の確認のためアディリナの部屋を後にした。
イスマエルが自室を後にした後、入れ替わりでリチャードが部屋に入ってきた。
騎士の正装、普段とは違い上質な毛皮で裏地に装飾のついたマントを身につけ、右肩の部分のブローチにて留められていた。
だれがどう見ても立派な騎士である。
そんなリチャードはアディリナの姿を目に留めた途端、目を大きく見開いた。
しかし、そんなリチャードの様子に気づくことなく、アディリナの方が先に声をかけた。
「まあ!リチャード卿とても素敵よ」
リチャードの正装にアディリナは自分の事のように喜んだ。
「そ、そんな!」
褒められ慣れていないリチャードは、耳を赤く染める。
「私よりも…今日のアディリナ様は一段とお美しいです!」
ついつい、リチャードは力が入ってしまい普段より声が大きくなる。
「リチャード卿!アディリナ様がお美しいのは当然のことです。」
そう言ってマーサが勢いよく口をはさんできた。
最近ではよく見慣れた光景になってきた。
「それから、今日はよろしく頼みます。今日私たちの中でアディリナ様のお傍にてお守りできるのはあなただけなのですから。」
そう言ってマーサは真剣な視線でリチャードを見やる。
デビュタントのように公式な行事でマーサやアディリナ付きの使用人は、主人の傍に控えることはできない。
唯一騎士であるリチャードを除いてだ。
そして、今日はアディリナが初めて王族以外の貴族たちと接する場なのだ。
大切な大切な主人が傷つかられないか、それが最も気がかりであるのだ。
リチャードも、マーサのその一言は普段とは異なり、言葉の重みを感じた。
だからこそ真摯に答える。
アディリナ様をお守りすることの覚悟はあの日とうにしていたが、今のリチャードにはアディリナ付きのすべての従者たちの想いを背負っている。
「…マーサ殿、もちろんです。わが命に代えてもアディリナ様はお守りいたします。」
昔のリチャードであればその想いの重さに耐えかねていただろう。
しかし、今のリチャードは違う。
なにせ、リチャードは選ばれし騎士なのだから
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