聖域を守る少女

可憐

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夢......?

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 アビィはふと目を覚ましが、少し肌寒くて横にいるはずのアルテッサに寄り添おうとてを伸ばしたがさくっと草の感覚が手に伝わった。
 
 寝たのは寝室……当然、草なんて生えてなくて手に伝わるのはアルテッサのぬくもりかシーツの感触のはずだ。
 
 次に襲ってきたのはペロッと舐められた感覚。
 最初はアルテッサかと思ったアビィだがアルテッサがそんな事するはずはない。
 やっと状況を理解したアビィは勢いよく瞼を開き体をお越し周りを見る。
 
「……ここ、どこ?」
 
 自分がずっといた聖域とは違う。
 まさか、聖域が襲われて自分はここに捨てれたのか!?
 ならアルテッサは一体どこに……まさかまさか……いや考えたくない。
 結界は確かに張ってある。
 それは自分が寝てるときも欠かさずだ。
 何か起きてここに自分がここにいるのでは? としか考えられなかった。
 
「聖域に戻らないと。悪用されたりしたら……」
 
 悪用された事を想像したらぶるっと震えた。
 とにかく気配を辿れば聖域がどこにあるのか分かるだろう。
 そんな事をほんの数秒の間に考えていたアビィは先程舐めてきた者に気づいていなかった。
 
 ペロッとまたしても舐めてきた何かにやっとアビィは気づいた。
 何? と振り向くとそこには猫科の魔獣が不思議そうに見ていた。
 
「きゃあああああ!」
 
 ビックリしたアビィは叫んでしまった。
 魔獣はアルテッサで慣れてはいるがいきなり現れるとなかなかの迫力で思わずだった。
 
「そんなに驚かなくてもいいじゃないか」
 
 魔獣はそう言って人間の女性の姿になる。
 黒い耳に漆黒の腰まである長い髪に瞳の色も黒でまるで闇をみているような感覚にアビィは感じていた。
 ここまで黒いのは珍しい。
 黒くても少し茶色かがったのが混じるがこの人のようにほぼ黒いのは珍しい事だ。
 
「あれ……でも魔獣の姿の時、白かったような?」
「あぁ、私は突然変異で人間の姿になると何故か黒くなるんだよ。肌も黒人」
「そうなんですか……」
 
 魔獣はアルテッサしか見たことないがアルテッサは魔獣になると茶色い虎になる。
 人間の姿になるとその名残として褐色の肌に茶色い耳と尻尾だ。
 髪の色はピンクだが。
 
「所で……あなた、どうやってここに来たの?」
「どうやって……私はただ聖域で寝て、起きたらここにいたから……どうやって来たのか分からない。あ! 聖域は無事なのかな……アルテッサは……」
 
 ぶつぶつの独り言をアビィは言うと、どうやら、聖域、っと言葉が聞こえたらしい。
 女性は考える姿を取るとアビィをじっと見る。
 
「聖域って……まさかあのなんでも願いが叶う泉がある所の事?」
「あ……」
 
 アビィは慌てて女性の心を読み取る。
 すると敵意もなければただ聖域の疑問しか考えてなかったのでホッとして体から少し力が抜けた。
 
「あなた、まさか聖域を守ってる女神様?」
「……はい、今はなぜここにいるのか知りたいです」
「……そうゆうことね」
 
 女性はいきなり魔獣になるとアビィに背中に乗るよう指示した。
 アビィは迷ったがどうやら聖域まで連れていってくれるのが分かり背中に乗ると物凄いスピードで走り抜けていった。
 降り落とされないようにしっかりアビィは魔獣にしがみつく。
 アルテッサは無事なんだろうか。
 泉は……。
 そんな事ばかり考えていると着いたのか動きが止まった。
 
「着いたよ」
「……え、ここが聖域……?」
 
 自分が守ってる聖域は洞窟の中にありそれを囲むように結界を張ってあるので普通の人は中には入れない。
 また強い結界でもあるのでよほどの強い術師ではないと破れない。
 なのに今、目の前にある泉は洞窟の中ではなく外にあり回りは木々や草花などが綺麗に咲いていた。
 
「違う……私がいた聖域と違う」
「やっぱりね……あなた、魂と言った方がいいわね。魂だけが過去に来ちゃったのよ」
「過去に?」
 
 アビィはなにが起きたのか分からないでいた。
 過去?
 なんで過去に?
 そんな事より……
 
「私は、帰れるの?」
「多分ね。ほら体が透けてきた」
「え……え!?」
 
 そのせいなのかアビィはいきなり目の前が真っ黒になり気絶した。
 女性は優しくアビィの体を支える。
 先程よりアビィが透けるのが早い。
 もうほとんどアビィは見えなくなっていた……。
 
「過酷な運命か……」
 
 そう女性が呟くと完全にアビィの体は完全に透けて、魂は元の場所へと戻ったのが女性はよく分かっていた。
 
 ふとアビィは目を覚ます。
 そしてガバッと起き上がり回りを見る。 
 
「いつもの場所……え、あれは夢……?」
「どうしたの? アビィ」
 
 隣で寝ていたアルテッサが起きてきた。
 のびーっと腕を上に上げて軽くストレッチをしている。
 
「ごめんなさい……起こしちゃった?」
「大丈夫。起きようかなぁって所だったから。それよりいきなり起きたアビィが心配なんだけど……怖い夢でも見たの?」
「ううん、大丈夫」
 
 まだあのリアルな夢が現実なのか自分が作り出した夢か分からないので、とりあえず先程の夢? は胸にしまいこんでおくことにした。
 
「今日は買い出しの日だから。何か食べたいものある?」
「果物ならなんでも大丈夫よ。特にオレンジが食べたいな」
「分かった。何かあったら自分だけの判断をしないで私を呼んでね」
「うん、分かってるよ。行ってらっしゃい」
 
 こうしてアビィは泉のそばから離れてはいけないために唯一外に出られるアルテッサが買い出しに行く。
 
 1人になったアビィは先程の夢を思い出す。
 過去はあんなに平和な所で泉が綺麗に輝いていた。
 今は、戦争に使おうとしたり、純粋な人がここから持たした小瓶を巡って何度も何度も消える命があった。
 もし、もし今、過去にあった平和があれば自分は解放され自由になれるのでは? と考えていた。
 
「あり得ないよね……私が作ったすごくリアルな夢だったのかな」
 
 そんな事考えながらアルテッサの帰りを待っていた。
 その時、泉に近づく男3人と少年だろうか……すでにその少年は虫の息だった。
 招き入れたいが今は、アルテッサがいない。
 すぐにアルテッサを呼ぶが召喚までには時間がかかる。
 だが急がないと少年の命が消えてしまう。
 アビィは1人で行くことを決心し招き入れた。
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