大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫

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■69 聖夜祭とは

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 応接室で、私、バートン様、そして第二騎士団のダルベルト伯爵はお茶を楽しんでいた。と言っても、現状報告みたいなものだ。

 バートン様には、もう既に第二騎士団さん達の件は伝えてある。頑張っているようで感心した、と。以前来ていた時とは領地の様子も良くなっていたとも言ってくれて。頑張った甲斐があってよかったぁ。


「陛下も気にかけていたが、この様子では心配いらなかったようだ」

「いえ、まだ力不足な点もありますから」

「そんな事はありませんよ」


 湿地帯の件に関しても、手を尽くしているではないですか。とギルバートさんは言ってくれるけれど……まだまだ、領民達が安心して暮らせるような領地にはまだほど遠い。土地は豊かではないし、まだ立ち寄る人達もあまり居ない。特産品とかもあればいいのだけれど……

 まだ課題は沢山ある。けれど、周りには手を貸してくれる人達が沢山いる。少しずつになってはしまうけれど、着実に良くなっていけるように手を尽くさなければ。


「あぁ、そういえばレディ、〝聖夜祭〟には参加するのだろう?」

「あ、はい。陛下からの手紙を頂きました」


 〝聖夜祭〟

 大昔のその日に、この地に大地の女神ガイアが命を吹き込んだのだ。以前、この地は枯れ生き物一ついない、そんな場所であったのだ。そんな土地を、ガイアは見放すことなく生き返らせてくれた。そんなガイアに感謝をする日らしい。


「王宮に来て祈りを捧げて欲しいと言われたのですが、どうしたらいいのか分からなくて……」


 なんせサーペンテインに来て初めてこの日を迎えるのだ。分からないのも当たり前。……普通に、感謝しますと祈ればいいのだろうか。


「王宮の中に聖宮と呼ばれる場所がある。その場には、ガイアを模した石像があるんだ。その前で感謝の祈りをするんだ」

「以前までは王宮術師統括のモワズリー卿がその勤めを果たしていました。なので、首都に着いたら彼に聞いてみてはどうでしょうか」

「成程」


 以前までモワズリーさんがしていたのなら、今年は私ではなくても? とも思ったけれど、きっと私が賢者だからだろうなぁ。いや、絶対そうだ。

 そんな大役、私がしていいのだろうか。この日をサーペンテインでは初めて過ごす私なんかに。

 まぁ、お願いされてしまったし……きっと「是非賢者様にっ!!」とモワズリーさんも言ったんだろうなぁ。諦めよう、うん。


「これから、聖夜祭に、年初めのご挨拶に、と忙しくなりそうですね……」

「年初めには、会議が入っている。きっとレディにも声がかかるだろう」

「えっ……」


 陛下、王太子殿下、公爵家、侯爵家、と位の高い人達での話し合いだそうだ。私、男爵なんですけどと言う前にバートン様が遮った。


「賢者だからな」


 その一言で何も言えなくなってしまった。何から何まで、それで片付けられてしまっていると思うのは私だけでしょうか。それに賢者と言っても、私は錬金術師です。会議に参加する動機が分かりません。政治面も、まだお勉強中なんです。


「そういえばデイム、モワズリー卿から講習会の件で何か聞かれましたか?」

「あっ……」

「ん?」


 3月から入ってくる新米王宮術師達に、王宮入りする前に受けてもらう講習会の講師をしてくれと書かれた手紙を貰ってしまったのだ。王宮術師達に教えているのは君だろう、と。そう陛下に言われてしまったら、私は断れないじゃないですかぁ……!!

 講習会をしてくれと言われても、何を話せばいいのか分からないし……王宮術師さん達には、質問に答えているだけだし。ジョシュア達に教えているのはお師匠様に教わった事を頭から絞り出しているわけだし。こういうのはきっと王宮術師になる為に勉強していると思うから……あぁもう分からないっ!!


「だろうな、と思いました」

「ま、偉大なる賢者様に教えを請いたい気持ちは分かるさ」

「うぅ……」


 やらなければいけない事がありすぎて、頭が痛いぃ……しかも初めての事だらけだし、プレッシャーもありすぎだし。押しつぶされそうです。


「ククッ、困った時には手を貸すさ」

「私も、基本的には王宮にいますから、声をかけてください」


 お二方、本当にありがとうございます。助かります。本当に。頑張ります。でも代わってもらってほしいとも思ってます。

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