元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!

楠ノ木雫

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 心臓が止まるかと思った。

 起きた瞬間、目の前に最高級イケメンの整った顔があったからだ。しかもこっちをじーっと見てくる。


「あ、起きたか。おはよ」

「……おはようございます」


 そういえば私、昨日結婚したんだった。しかもこんなイケメンと。

 外はすっごく明るい。確か、早朝に二人で寝たんだっけ。ヤバいオールしちゃったよってなって。今何時だ。お昼は過ぎてないよね。


「ヤバい可愛い」

「……」


 そりゃどうも。どタイプだったんならそりゃよかったですね。けどこのほっぺた手で撫でないでくださいますか、くすぐったいので。


「陛下に感謝だわ。あとでなんか献上しよ」

「……そうですか」


 一体何を献上するんだ、この人は。

 けど、目のやり場に困る。旦那様が着てるバスローブが寝ていたからか乱れていてなんか色々と見えちゃってるし。腹筋ヤバ、とか思っちゃってる私は変態ですか。


「テトラちゃんのえっち」

「旦那様っ!!」

「朝から元気だねぇ」


 はぁ、マジでやめてほしい。心臓に悪すぎる。ふぁ~ってあくびする仕草すらかっこいいってなんなの。もうよく分からん。とりあえず、ずるい。

 と、思っていたら、なんか抱きしめられた。


「眠い……」

「……」


 あの、寝るなら私を巻き込まないでくださいますか。胸元が目の前なのですが。やめて、マジでやめて。

 けどさ、寝息が聞こえてくるのですが。また寝たの? え、マジで寝たの?

 けど、ぎゅ~っと抱きしめられて動けず、寝息を聞いていると……自分も寝落ちしたのだった。いいのか、これ。


 私達が起きたのは、それから1時間後のお昼をちょっと過ぎた頃。だいぶ寝過ぎた。旦那様の「腹減った」の一言で大急ぎで朝ご飯(?)を用意してもらったのだった。
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