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◇1 聖女召喚の儀
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サティスライト帝国。この大陸でもっとも大きな国である。それは、国土もそう。そして、軍事力や技術面においても。
そんな帝国では今日、数十年に一度行われる儀式が行われた。それは――
〝聖女召喚〟
帝国皇城の一室。引かれた巨大な魔法陣が十数人もの魔導師の力によって発動された。
魔法陣が輝き出し、それは徐々に強くなっていく。
一分くらいだろうか。その光はだんだん弱まっていった。そして……
「成功だっ!!」
光が収まり、魔法陣の中に現れた。何人もの女性達だ。
「えっ……」
「こ、ここは……」
「ちょっと、ここどこよ……!!」
全部で、15人。そう、これは複数の聖女様を召喚する為の儀式だったのだ。
この帝国がここまで進歩できたのは、この聖女達のお陰だといってもいい。
「待てっ!!悪魔がいるぞっ!!」
「えっ!?」
召喚陣の上に座る聖女達の中にいる、とある女性。兵士達が、陣の引かれている台に勢いよく上がり剣を彼女に向けた。
彼女は、黒髪黒目。そして……両耳の上に生える、丸まった黒い角。
だが、待てと止める者が一人。
「陛下、これは聖女召喚の儀です。そんな神聖な儀に、悪魔が紛れ込む事が出来るでしょうか」
「そうです、悪魔が召喚されるなど、到底無理な事です」
「……剣をおろせ」
そもそも、この場で血を流す事はあってはならない事だ。神聖な場所で剣を抜くなど、それはタブーな事である。それに気づいた兵士達は、渋々剣を鞘に戻した。
「だが、今までの記録からはそんな容姿の聖女など書かれていなかったぞ」
「角はともかく、黒い髪、黒い瞳の者すらいなかった」
「ではこの者は聖女ではないと、そう言いたいのか」
「だが、それではこの聖女召喚の陣に何か不備があったと。そういう事になるのだぞ」
ざわつく周囲に、聖女召喚で呼ばれた彼女達は理解出来ぬまま不安な顔を浮かべる。そう、言葉が通じていないのだ。彼女達は、別の次元から呼ばれた者達なのだから当たり前の事である。
「ふむ、聖女ではないとなると、どうしたものか」
本来、召喚された聖女達は皇室が責任を持って保護する事になっている。だが、彼女は聖女ではない。このまま彼女も神聖な皇室で保護しても良いだろうかと周りは悩んでいる。
「陛下、良い考えがございます」
「ほう、申してみよ」
「いらっしゃるじゃありませんか、そちらに」
この部屋にいる全員が、陣の描かれた台の外、外野に立つ者達の中にいるとある人物に一斉に視線を向けた。
「そうだな、今回は14人と今までより多い人数の聖女殿達だ。他の者に任せる事はいいかもしれん。皇室に度々貢献してくれている、皇室派のカディオ公爵なら安心だ」
周りがざわつく中、視線を集める者は小さく溜息を一つついた。呆れ顔を浮かべ、何も意見を発さなかった。
14人の聖女は、城の者達が準備されている部屋へ。先程の1人は、違う場所へ移されてしまったのだった。
そんな帝国では今日、数十年に一度行われる儀式が行われた。それは――
〝聖女召喚〟
帝国皇城の一室。引かれた巨大な魔法陣が十数人もの魔導師の力によって発動された。
魔法陣が輝き出し、それは徐々に強くなっていく。
一分くらいだろうか。その光はだんだん弱まっていった。そして……
「成功だっ!!」
光が収まり、魔法陣の中に現れた。何人もの女性達だ。
「えっ……」
「こ、ここは……」
「ちょっと、ここどこよ……!!」
全部で、15人。そう、これは複数の聖女様を召喚する為の儀式だったのだ。
この帝国がここまで進歩できたのは、この聖女達のお陰だといってもいい。
「待てっ!!悪魔がいるぞっ!!」
「えっ!?」
召喚陣の上に座る聖女達の中にいる、とある女性。兵士達が、陣の引かれている台に勢いよく上がり剣を彼女に向けた。
彼女は、黒髪黒目。そして……両耳の上に生える、丸まった黒い角。
だが、待てと止める者が一人。
「陛下、これは聖女召喚の儀です。そんな神聖な儀に、悪魔が紛れ込む事が出来るでしょうか」
「そうです、悪魔が召喚されるなど、到底無理な事です」
「……剣をおろせ」
そもそも、この場で血を流す事はあってはならない事だ。神聖な場所で剣を抜くなど、それはタブーな事である。それに気づいた兵士達は、渋々剣を鞘に戻した。
「だが、今までの記録からはそんな容姿の聖女など書かれていなかったぞ」
「角はともかく、黒い髪、黒い瞳の者すらいなかった」
「ではこの者は聖女ではないと、そう言いたいのか」
「だが、それではこの聖女召喚の陣に何か不備があったと。そういう事になるのだぞ」
ざわつく周囲に、聖女召喚で呼ばれた彼女達は理解出来ぬまま不安な顔を浮かべる。そう、言葉が通じていないのだ。彼女達は、別の次元から呼ばれた者達なのだから当たり前の事である。
「ふむ、聖女ではないとなると、どうしたものか」
本来、召喚された聖女達は皇室が責任を持って保護する事になっている。だが、彼女は聖女ではない。このまま彼女も神聖な皇室で保護しても良いだろうかと周りは悩んでいる。
「陛下、良い考えがございます」
「ほう、申してみよ」
「いらっしゃるじゃありませんか、そちらに」
この部屋にいる全員が、陣の描かれた台の外、外野に立つ者達の中にいるとある人物に一斉に視線を向けた。
「そうだな、今回は14人と今までより多い人数の聖女殿達だ。他の者に任せる事はいいかもしれん。皇室に度々貢献してくれている、皇室派のカディオ公爵なら安心だ」
周りがざわつく中、視線を集める者は小さく溜息を一つついた。呆れ顔を浮かべ、何も意見を発さなかった。
14人の聖女は、城の者達が準備されている部屋へ。先程の1人は、違う場所へ移されてしまったのだった。
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