41 / 43
◆38 こんな時に優越感を感じるとは
しおりを挟む
遂に、第二皇子殿下の成人の儀がやってきた。
この日は、運命の日ともなる。
もちろん俺にとっても、そして――
「ダンテ!」
「……どうしてあなたがここに?」
「だって、城に行くんでしょ?」
「その前に成人の儀でしょう。お忘れですか」
大人しくしていたと思ったら、やはり今日は来たか。
元婚約者は馬鹿らしい。皇太子と第一皇女の成人式パーティーにも参加しただろう。そこまで頭がイカれたのか。
皇城にて行われる成人式パーティーの前に行われる成人の儀は、高位貴族や重鎮達によって見守られて行われる。そのため、会場となる神殿に入れるのは高位貴族の当主のみ。彼女の父は会場となる神殿に入場出来たとしても、ただのご令嬢である彼女は入れない。
準備していたブルフォード公爵家の馬車に乗ろうとしていた元婚約者を引っ張り出した衛兵。すかさず俺が乗り込んでドアを閉めてしまった。衛兵が取り押さえたため、すぐに出発することが出来た。
まぁ成人式パーティーには彼女も参加する事となるからまた会う事となるがな。
ちらり、と後ろ側の小さな窓を覗くと、思った通り侯爵家の馬車が着いてきている。大きな溜息をつきつつも、椅子に座り直した。その執着心とやらは、呆れを通り越して感心するな。皮肉の意味で。
神殿に着くと、やはり降りた時に駆け寄ってきたストーカー女。無視して速足で神殿内に急いだ。
「ここから先はご令嬢は入場出来ませんよ」
「ダンテ!!」
着いてきていたストーカー女は、思った通り神殿に配置されている騎士達によって押さえられていた。これが決まりなのだから当たり前だろう。お前も腐っても貴族の令嬢なのだからこれくらい理解していると思うのだが。
いや、もう頭がイカレているから分からないのか。もうどうしようもないな。一体侯爵は令嬢をどうやって育てたのやら。
「おやおや、ブルフォード公爵の熱烈なファンですかな」
「こんにちは、ラモスト公爵」
「えぇ、こんにちは。ブルフォード公爵も罪な方ですな」
「こんなめでたい日に耳の痛い話はやめませんか」
「それもそうですな、はっはっはっ」
笑い事ではない、勘弁してくれ。頭が痛くなりそうだ。
高位貴族であるルアニスト侯爵とはどうやってもここで顔を合わせる事となってしまう。以前訴えた件もあるから、怒鳴り散らしてくるのではないかと心配はしていたが、案外大人しかった。
とはいえ、俺は公爵方と話をしていたから俺に話しかけることが出来なかった、が正解かもしれないが。さすがにここに割り込んでくるほどの馬鹿ではなかったらしい。お前の娘なら入ってきたと思うがな。
そして時間通りに、成人の儀が始まった。俺の中では、成人式と言われると着物やスーツを着て、偉い人の話を聞いて、というのが常識である。だがこの国、しかも皇族の方はこの国の神聖なる神殿で行われる。しかも肩に剣を乗せるときた。俺なら恐ろしくて勘弁だな。
一応、皇太子殿下や第一皇女殿下の成人の儀の様子は覚えている。流れなどは頭の中に入っているから違和感なく見守ることが出来た。
俺の視界に入るシリル殿下、第二皇子殿下は俺に一切視線を送る事はなかった。昨夜まで共に逢瀬を重ねた関係だというのに、何故か殿下と俺との間に線が引かれているように感じる。殿下が、遠い存在に、感じる。
俺は、この国の公爵家の当主。そして、皇族の血も受け継ぐ人物。そのはずなのに。
あーあ、これでシリルも成人になっちまった。大人としての威厳が、だのなんだのと残念がると思っていたのにな。はは、大人げねぇな。
だが、昨日のシリルの顔を浮かべると……今目の前にいらっしゃる第二皇子殿下とは別人に思えてしまうな。
もうそろそろで、この関係が終わるというのに、こんな優越感に浸っている俺はどうしようもない奴だ。
次回、最終回。
この日は、運命の日ともなる。
もちろん俺にとっても、そして――
「ダンテ!」
「……どうしてあなたがここに?」
「だって、城に行くんでしょ?」
「その前に成人の儀でしょう。お忘れですか」
大人しくしていたと思ったら、やはり今日は来たか。
元婚約者は馬鹿らしい。皇太子と第一皇女の成人式パーティーにも参加しただろう。そこまで頭がイカれたのか。
皇城にて行われる成人式パーティーの前に行われる成人の儀は、高位貴族や重鎮達によって見守られて行われる。そのため、会場となる神殿に入れるのは高位貴族の当主のみ。彼女の父は会場となる神殿に入場出来たとしても、ただのご令嬢である彼女は入れない。
準備していたブルフォード公爵家の馬車に乗ろうとしていた元婚約者を引っ張り出した衛兵。すかさず俺が乗り込んでドアを閉めてしまった。衛兵が取り押さえたため、すぐに出発することが出来た。
まぁ成人式パーティーには彼女も参加する事となるからまた会う事となるがな。
ちらり、と後ろ側の小さな窓を覗くと、思った通り侯爵家の馬車が着いてきている。大きな溜息をつきつつも、椅子に座り直した。その執着心とやらは、呆れを通り越して感心するな。皮肉の意味で。
神殿に着くと、やはり降りた時に駆け寄ってきたストーカー女。無視して速足で神殿内に急いだ。
「ここから先はご令嬢は入場出来ませんよ」
「ダンテ!!」
着いてきていたストーカー女は、思った通り神殿に配置されている騎士達によって押さえられていた。これが決まりなのだから当たり前だろう。お前も腐っても貴族の令嬢なのだからこれくらい理解していると思うのだが。
いや、もう頭がイカレているから分からないのか。もうどうしようもないな。一体侯爵は令嬢をどうやって育てたのやら。
「おやおや、ブルフォード公爵の熱烈なファンですかな」
「こんにちは、ラモスト公爵」
「えぇ、こんにちは。ブルフォード公爵も罪な方ですな」
「こんなめでたい日に耳の痛い話はやめませんか」
「それもそうですな、はっはっはっ」
笑い事ではない、勘弁してくれ。頭が痛くなりそうだ。
高位貴族であるルアニスト侯爵とはどうやってもここで顔を合わせる事となってしまう。以前訴えた件もあるから、怒鳴り散らしてくるのではないかと心配はしていたが、案外大人しかった。
とはいえ、俺は公爵方と話をしていたから俺に話しかけることが出来なかった、が正解かもしれないが。さすがにここに割り込んでくるほどの馬鹿ではなかったらしい。お前の娘なら入ってきたと思うがな。
そして時間通りに、成人の儀が始まった。俺の中では、成人式と言われると着物やスーツを着て、偉い人の話を聞いて、というのが常識である。だがこの国、しかも皇族の方はこの国の神聖なる神殿で行われる。しかも肩に剣を乗せるときた。俺なら恐ろしくて勘弁だな。
一応、皇太子殿下や第一皇女殿下の成人の儀の様子は覚えている。流れなどは頭の中に入っているから違和感なく見守ることが出来た。
俺の視界に入るシリル殿下、第二皇子殿下は俺に一切視線を送る事はなかった。昨夜まで共に逢瀬を重ねた関係だというのに、何故か殿下と俺との間に線が引かれているように感じる。殿下が、遠い存在に、感じる。
俺は、この国の公爵家の当主。そして、皇族の血も受け継ぐ人物。そのはずなのに。
あーあ、これでシリルも成人になっちまった。大人としての威厳が、だのなんだのと残念がると思っていたのにな。はは、大人げねぇな。
だが、昨日のシリルの顔を浮かべると……今目の前にいらっしゃる第二皇子殿下とは別人に思えてしまうな。
もうそろそろで、この関係が終わるというのに、こんな優越感に浸っている俺はどうしようもない奴だ。
次回、最終回。
1,065
あなたにおすすめの小説
5回も婚約破棄されたんで、もう関わりたくありません
くるむ
BL
進化により男も子を産め、同性婚が当たり前となった世界で、
ノエル・モンゴメリー侯爵令息はルーク・クラーク公爵令息と婚約するが、本命の伯爵令嬢を諦められないからと破棄をされてしまう。その後辛い日々を送り若くして死んでしまうが、なぜかいつも婚約破棄をされる朝に巻き戻ってしまう。しかも5回も。
だが6回目に巻き戻った時、婚約破棄当時ではなく、ルークと婚約する前まで巻き戻っていた。
今度こそ、自分が不幸になる切っ掛けとなるルークに近づかないようにと決意するノエルだが……。
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
【完結】転生した悪役令息は、お望み通り近付きません
カシナシ
BL
「お前など、愛す価値もない」
ディディア・ファントム侯爵令息が階段から落ちる時見たのは、婚約者が従兄弟を抱きしめている姿。
(これって、ディディアーーBLゲームの悪役令息じゃないか!)
妹の笑顔を見るためにやりこんでいたBLゲーム。引くほどレベルを上げた主人公のスキルが、なぜかディディアに転生してそのまま引き継いでいる。
スキルなしとして家族に『失敗作』と蔑まれていたのは、そのスキルのレベルが高すぎたかららしい。
スキルと自分を取り戻したディディアは、婚約者を追いかけまわすのを辞め、自立に向けて淡々と準備をする。
もちろん元婚約者と従兄弟には近付かないので、絡んでこないでいただけます?
十万文字程度。
3/7 完結しました!
※主人公:マイペース美人受け
※女性向けHOTランキング1位、ありがとうございました。完結までの12日間に渡り、ほとんど2〜5位と食い込めた作品となりました!あああありがとうございます……!。゚(゚´Д`゚)゚。
たくさんの閲覧、イイね、エール、感想は、作者の血肉になります……!(o´ω`o)ありがとうございます!(●′ω`人′ω`●)
天啓によると殿下の婚約者ではなくなります
ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。
フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。
●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。
性表現は一切出てきません。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる