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二章 えっちな3Pシェアハウス
いびつな関係
しおりを挟む物心ついた時から、凛の傍にその人はいた。七歳上の義兄・航だ。整った容姿。穏やかで賢く、何でも出来る理想的な義理の兄。特に凛には優しく、いつもいつだって大切にしてくれた。何もかもが理想。自分の好みど真ん中の人が、ずっとそばにいてくれる……小さい頃は分からなかった感情。
大きくなるにつれて分かった。これは恋だ。血の繋がらない兄に、男に、恋をしているのだ。
そのことに凛が気付いたのは十八歳。最近だ。悩んだ。とにかく悩んだ。近くにいるだけでもドキドキするので、凛は航を避けだした。なるべく一緒の空間にいないように努めた。
いきなり避けられる。航からしたら訳が分からない。何か悩みがあるのかと思い、母親が仕事でいない晩に、凛と話し合う。
その結果……初めて関係を持ってしまった。
それからはもう止まらなかった。肉欲のまま、つたが絡まり合うように密やかに行われる情事。どんどんいやらしくなっていくカラダ。
お兄ちゃんが大好きだという、凛の気持ち。
でも、凛は綾瀬の事も好きだ。好きな兄とは正反対のタイプ。しかし、一緒にいるだけで落ち着く人だった。何気ない日常の話をしたり、動物や漫画の話をしたり……それだけでただ楽しい。
鍛えられた獣のような引き締まった身体と野性的な風貌をもつ、寡黙な人。でも、話すとちょっと抜けていて可愛い所があるのだ。航にそう言ってみたが、不思議そうな顔をされた。ただの失敗エピソードがどうしようもなく凛には可愛く見えた。
好きになるのは特に理由はいらない。まるでパズルの足りないピースがはまってしまったように、気の合う人だった。
だからこそ悩んだこともあった。
好きな人が二人いて、同じくらい好き。一つのお菓子を半分こして「どっちの方が好き?」と聞かれているようだった。どっちも同じもの。凛にとっては二人はどちらも好きな人。
でも、綾瀬はそうではない。凛だけが好き。航は友人。凛を自分だけのものにしたい。しかし凛自身がそれを望んでいないので我慢して三人での付き合いを受け入れている。
航も同じく凛だけが好きで綾瀬は友人。だが航は大好きな凛が誰かに抱かれている所に興奮する。だから、綾瀬をそそのかして三人の関係を作った。
そうやって二年間が過ぎて、三人で一緒に暮らしている。
少しずつ、歪みが出てきていた……誰かがそれを変えようとしたら……脆く壊れてしまう関係だ。絶妙な三人の心情によって成り立ついびつな関係。
……ただ、好きな人みんなで、幸せに暮らしたいだけ。
「…………あれ?」
凛が目を開けると、眩しい光。外を見ると太陽がもう昇っていた。朝。三人でセックスしている最中に気を失ってしまったのだ。慌てて起きる。部屋のドアを開け、リビングを見る。そこには綾瀬と航がいた。二人で洗濯物を干している。朝の普通の日常。
でもなぜか違和感があった。何かは分からない。凛が見つめていると、航が気が付いた。
「凛! 大丈夫? 昨日あれから気を失ったから心配してたんだよ……!」
航はそう言って駆け寄って、ぎゅっと凛を抱きしめる。その腕の温かさはいつも通り。何だろう、何がおかしいんだろう……そうだ、綾瀬さんがこっちに来ない。何でだろう……なぜか洗濯物を干しながら凛の方には来ようとしなかった。プイと外を向いていて、顔はよく見えない……。
凛はその時何かに気付いた。航の耳元で囁く。背中に回す腕に力を込める。
「ねぇ、おにいちゃん……昨日、あのあと、綾瀬さんと何かあった……?」
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