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第五部 三章 「獣道」
「新たな取引」
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十二の王と繋がる【価値の天秤】。
それにより、エリーの価値の大きさが証明された。
ソフラは白けるも、どこか愉快と笑みをこぼす。
「あっさり傾きを変えられるなんてねぇ。ウチが口で負けるなんて、早々ないんよ? よかったねぇ♪」
「……って、事は。姫君は」
「子ウサギちゃんは今回の取引から降ろさせてもらいま~す。だって世界全部敵にしても価値高いんやろぉ? それってもらうためには戦争するほどのもんやん? ウチそこまで争いごとしとぉないんよぉ。そこまで欲つよぉないさかい」
無駄な争いを避ける辺り、言葉とは裏腹に慎重さを感じられる。
言い負かしたのはニーズヘッグなのだが、数秒間は結果に呆気に取られてしまう。
開いた口が塞がらず。ソフラがニーズヘッグの額を扇子でペシッと叩く。
「なっ!?」
「なにぼけ~っとしてんの? 勝ったんやからもうちっと喜びなぁよ。ねぇ? 子ウサギちゃん」
「……あっ、えっと。とりあえず……許してもらえたって事ですか?」
なるほど。と、ニーズヘッグは手を叩く。
解決できたとわかればこれ以上の歓喜はない。
不覚にも気づかせてくれたエリーを褒めて愛でる事すらすっ飛ばしてしまうほどだ。
自分が思っている事を本人は言っただけだったつもりだが、それが通ったのであれば勝利以外なにがあろう?
これで問題解決。口で色々言ってくれた獣人に「お疲れ様でした」とこれまでの事を水に流せる気分。
そう安泰な気分でいた。…………のだが。
「――え? ううん、ちゃうよ?」
――ズコーーッ!!
ニーズヘッグの姿勢が思わず崩れる。
一気に崩れ落ちた勝利。それには即座に異議申し立てる。
「ハァッ!? その耳飾りかなんかか!!? しれっと話ループさせようとしてんじゃねーぞクソウサギ!!!」
一瞬の怒り発言は許されたのか、その度が超えた憤怒を表に出す。
涼し気に聞いていたソフラは不満と眉を歪める。
「さっきのは子ウサギちゃんが釣り合いにあわんっちゅう話しなだけやろ? つけの対価の対象をべつにしようって話なんよ。……まあ、さっきの謝罪は結構良かったけど♪」
ぴょこっ、と。何処からともなく現れたウサギ耳。
ソフラの隣でウサギが一匹、水晶を手渡す。機嫌よくそれを見せつけるソフラ。その水晶はほんのり淡く光ると、先ほどのニーズヘッグの謝罪を復唱。何度もその部分だけを再生した。
世に言う、声や音などを記録する魔響石の一種だ。
何度も聞かされ、ニーズヘッグは不覚にも顔を赤くさせて耳を塞ぎ顔を逸らす。
「ええわ~♪ これ聞きながらしばらくはぐっすり眠れるよねぇ~♪」
「性格の悪さ! さっきから露骨だっつってんだよ!!」
「まあまあ♪ これだけで結構まけといたるって言っとるんやさかい」
要はつけの幾らかをこれで補えるというもの。
しかし、仲間想いと言いつつ、その後からの雑加減に言葉の信憑性があやふやになってゆく。
実は死んだ同胞に対する想いがそこまで強くなかったのでは? とすら思えるものだ。
そう考えると、目の前の獣人は虚言を平然と吐く事も考えられる。
不信感が強まり睨むも、ソフラは淡々と話を続けるのみ。
「とりあえず。炎蛇はんにはちょっとおつかい頼もうかと思っとるんよ」
「……な、なんだよそれっ。俺に何させる気だよ!」
「そない警戒せんといて。ちゃんとできたらつけはちゃら。それまで子ウサギちゃんは大事に預かっといてあげる」
「なんでそうなんだよ!? 姫君はもう関係ねーだろうが!」
「ないとは思うけど、取引すっぽかされたくないんよねぇ。やから保険。炎蛇はんならわかってくれるよねぇ?」
「くっそぉ……。こっちがしたてに出てりゃ付け上がりやがって……っ」
「ウチべつに酷い取引はしてんよ? ちゃんとしてくれたら子ウサギちゃん返すって言うてるやん。……それでも嫌やって言うんやったら、そっからは狩りの始まりなんよ」
躊躇いもなく、ソフラは机の上に書類を取り出す。
「炎蛇はんと、ウチの精鋭部隊でお相手するよ? もちろん、ウチも参加するんで、そのつもりで。……ウチ、負けるせんよ? それぐらい勝つ自信あるわ♪ この二択以外、ウチは認めんよ?」
その目には確かに勝利を確信したものが宿っている。
本気か、これも口任せな虚言か。
前者が一番に考えられると思えたのは、奥の部屋から漂う無数の殺気を感じてだ。
その精鋭部隊とやらは、すぐ近くにいる。それを確信させられる。
それだけならまだなんとかできる気はした。
だが、奥よりも目の前にいるソフラの方が一番危険と見えてしまう。
「噂聞いとるけど、あのセントゥールはんに勝ったんやって? でもあれって正直相性の問題なんよね。ウチらにはそういった堅さはないけど、炎をしのぐ方法なんて幾らでも知っとるんよ」
「……争いは好かねーんじゃなかったのか?」
「断られた時の対処法よ。ちょっと危ない蛇狩る事くらいしたるわ」
この書類。つまりは契約書に同意する事は実力行使の始まりとなる。
見た限り属する王の許可もあるようだが、どちらの王も承諾するだろう。
話を戻すだけ。魔界では力が全てだ。
多勢に無勢だろうと、平等なものなどない。
どの道を選ぶか……。一つだけはっきりしている事があった。
ニーズヘッグは書類を手に取ると、あっさり燃やしてしまう。
「……一応聞いとくが、こっちは急ぎだ。探さなきゃならねーもんがいくつかある。すぐ終わる要件なんだろうな?」
ニーズヘッグが選んだのは、ソフラの言うおつかいだ。
どちらかを選ぶなら、前者である道の方が危険性がない。なにより、エリーの安全が保障されているのだ。
「もちろんよ♪ それに、それ終わったら欲しい情報あげるわぁ♪ それくらい御釣りのある頼み事やさかいね」
少し、首を傾げたくなる発言だった。
どれだけつけを軽減されたかは不明だが、そのちょっとしたものにそれだけの価値があるのか……。
時間も限られており、ニーズヘッグは前向きになってその詳細を聞くこととした。
***************************
『やくまが 次回予告』
ソフラ
「ウチ、――蛇嫌いなんよね」
ニーズヘッグ
「唐突だなっ。俺もお前みたいな獣女マジで嫌いなんだが?」
ソフラ
「なに言うてんの炎蛇はん。この愛くるしいウサ耳かわええやろう? 見る目ないな、その目節穴??」
ニーズヘッグ
「煽りしかしねーんですけどこのウサ公! マジで焼きてーんですけど!?」
ソフラ
「そういう炎蛇はんは物騒な事ばっか言うやん。ウチ怖くて泣いてまうわ~、よよよ……」
ニーズヘッグ
「嘘泣きやめろ、罪悪感すら持てねーわ。お前そんなんでよくこんな職できるな? 絶対クレームしかねーだろっ」
ソフラ
「そないな事ありませーん。あっても言い負かして屈服させてやるわ」
ニーズヘッグ
「あるんだろ! なに得意気に胸張ってんだよ! キモいぞ、二重の意味で!!」
ソフラ
「……ああ。炎蛇はんって大人の女性でボンな子嫌いなんよね~? ラミアのクソ蛇女によぉちょっかい出されてたんやってね。トラウマってやつ? やからロリコンなんやww」
ニーズヘッグ
「前者は認めるがロリコンは認めねーぞ!? 色々昔の事暴露すんな!」
ソフラ
「次回、【厄災の姫と魔銃使い】第五部 四章「蛇と鳥」。なんやったら子供ん時の事も知っとるよぉ」
ニーズヘッグ
「なんでだから知ってんだよ!? ストーカーかなんかか!?」
ソフラ
「うふふ~♪ 耳がええだけやったらええな~w」
それにより、エリーの価値の大きさが証明された。
ソフラは白けるも、どこか愉快と笑みをこぼす。
「あっさり傾きを変えられるなんてねぇ。ウチが口で負けるなんて、早々ないんよ? よかったねぇ♪」
「……って、事は。姫君は」
「子ウサギちゃんは今回の取引から降ろさせてもらいま~す。だって世界全部敵にしても価値高いんやろぉ? それってもらうためには戦争するほどのもんやん? ウチそこまで争いごとしとぉないんよぉ。そこまで欲つよぉないさかい」
無駄な争いを避ける辺り、言葉とは裏腹に慎重さを感じられる。
言い負かしたのはニーズヘッグなのだが、数秒間は結果に呆気に取られてしまう。
開いた口が塞がらず。ソフラがニーズヘッグの額を扇子でペシッと叩く。
「なっ!?」
「なにぼけ~っとしてんの? 勝ったんやからもうちっと喜びなぁよ。ねぇ? 子ウサギちゃん」
「……あっ、えっと。とりあえず……許してもらえたって事ですか?」
なるほど。と、ニーズヘッグは手を叩く。
解決できたとわかればこれ以上の歓喜はない。
不覚にも気づかせてくれたエリーを褒めて愛でる事すらすっ飛ばしてしまうほどだ。
自分が思っている事を本人は言っただけだったつもりだが、それが通ったのであれば勝利以外なにがあろう?
これで問題解決。口で色々言ってくれた獣人に「お疲れ様でした」とこれまでの事を水に流せる気分。
そう安泰な気分でいた。…………のだが。
「――え? ううん、ちゃうよ?」
――ズコーーッ!!
ニーズヘッグの姿勢が思わず崩れる。
一気に崩れ落ちた勝利。それには即座に異議申し立てる。
「ハァッ!? その耳飾りかなんかか!!? しれっと話ループさせようとしてんじゃねーぞクソウサギ!!!」
一瞬の怒り発言は許されたのか、その度が超えた憤怒を表に出す。
涼し気に聞いていたソフラは不満と眉を歪める。
「さっきのは子ウサギちゃんが釣り合いにあわんっちゅう話しなだけやろ? つけの対価の対象をべつにしようって話なんよ。……まあ、さっきの謝罪は結構良かったけど♪」
ぴょこっ、と。何処からともなく現れたウサギ耳。
ソフラの隣でウサギが一匹、水晶を手渡す。機嫌よくそれを見せつけるソフラ。その水晶はほんのり淡く光ると、先ほどのニーズヘッグの謝罪を復唱。何度もその部分だけを再生した。
世に言う、声や音などを記録する魔響石の一種だ。
何度も聞かされ、ニーズヘッグは不覚にも顔を赤くさせて耳を塞ぎ顔を逸らす。
「ええわ~♪ これ聞きながらしばらくはぐっすり眠れるよねぇ~♪」
「性格の悪さ! さっきから露骨だっつってんだよ!!」
「まあまあ♪ これだけで結構まけといたるって言っとるんやさかい」
要はつけの幾らかをこれで補えるというもの。
しかし、仲間想いと言いつつ、その後からの雑加減に言葉の信憑性があやふやになってゆく。
実は死んだ同胞に対する想いがそこまで強くなかったのでは? とすら思えるものだ。
そう考えると、目の前の獣人は虚言を平然と吐く事も考えられる。
不信感が強まり睨むも、ソフラは淡々と話を続けるのみ。
「とりあえず。炎蛇はんにはちょっとおつかい頼もうかと思っとるんよ」
「……な、なんだよそれっ。俺に何させる気だよ!」
「そない警戒せんといて。ちゃんとできたらつけはちゃら。それまで子ウサギちゃんは大事に預かっといてあげる」
「なんでそうなんだよ!? 姫君はもう関係ねーだろうが!」
「ないとは思うけど、取引すっぽかされたくないんよねぇ。やから保険。炎蛇はんならわかってくれるよねぇ?」
「くっそぉ……。こっちがしたてに出てりゃ付け上がりやがって……っ」
「ウチべつに酷い取引はしてんよ? ちゃんとしてくれたら子ウサギちゃん返すって言うてるやん。……それでも嫌やって言うんやったら、そっからは狩りの始まりなんよ」
躊躇いもなく、ソフラは机の上に書類を取り出す。
「炎蛇はんと、ウチの精鋭部隊でお相手するよ? もちろん、ウチも参加するんで、そのつもりで。……ウチ、負けるせんよ? それぐらい勝つ自信あるわ♪ この二択以外、ウチは認めんよ?」
その目には確かに勝利を確信したものが宿っている。
本気か、これも口任せな虚言か。
前者が一番に考えられると思えたのは、奥の部屋から漂う無数の殺気を感じてだ。
その精鋭部隊とやらは、すぐ近くにいる。それを確信させられる。
それだけならまだなんとかできる気はした。
だが、奥よりも目の前にいるソフラの方が一番危険と見えてしまう。
「噂聞いとるけど、あのセントゥールはんに勝ったんやって? でもあれって正直相性の問題なんよね。ウチらにはそういった堅さはないけど、炎をしのぐ方法なんて幾らでも知っとるんよ」
「……争いは好かねーんじゃなかったのか?」
「断られた時の対処法よ。ちょっと危ない蛇狩る事くらいしたるわ」
この書類。つまりは契約書に同意する事は実力行使の始まりとなる。
見た限り属する王の許可もあるようだが、どちらの王も承諾するだろう。
話を戻すだけ。魔界では力が全てだ。
多勢に無勢だろうと、平等なものなどない。
どの道を選ぶか……。一つだけはっきりしている事があった。
ニーズヘッグは書類を手に取ると、あっさり燃やしてしまう。
「……一応聞いとくが、こっちは急ぎだ。探さなきゃならねーもんがいくつかある。すぐ終わる要件なんだろうな?」
ニーズヘッグが選んだのは、ソフラの言うおつかいだ。
どちらかを選ぶなら、前者である道の方が危険性がない。なにより、エリーの安全が保障されているのだ。
「もちろんよ♪ それに、それ終わったら欲しい情報あげるわぁ♪ それくらい御釣りのある頼み事やさかいね」
少し、首を傾げたくなる発言だった。
どれだけつけを軽減されたかは不明だが、そのちょっとしたものにそれだけの価値があるのか……。
時間も限られており、ニーズヘッグは前向きになってその詳細を聞くこととした。
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ニーズヘッグ
「唐突だなっ。俺もお前みたいな獣女マジで嫌いなんだが?」
ソフラ
「なに言うてんの炎蛇はん。この愛くるしいウサ耳かわええやろう? 見る目ないな、その目節穴??」
ニーズヘッグ
「煽りしかしねーんですけどこのウサ公! マジで焼きてーんですけど!?」
ソフラ
「そういう炎蛇はんは物騒な事ばっか言うやん。ウチ怖くて泣いてまうわ~、よよよ……」
ニーズヘッグ
「嘘泣きやめろ、罪悪感すら持てねーわ。お前そんなんでよくこんな職できるな? 絶対クレームしかねーだろっ」
ソフラ
「そないな事ありませーん。あっても言い負かして屈服させてやるわ」
ニーズヘッグ
「あるんだろ! なに得意気に胸張ってんだよ! キモいぞ、二重の意味で!!」
ソフラ
「……ああ。炎蛇はんって大人の女性でボンな子嫌いなんよね~? ラミアのクソ蛇女によぉちょっかい出されてたんやってね。トラウマってやつ? やからロリコンなんやww」
ニーズヘッグ
「前者は認めるがロリコンは認めねーぞ!? 色々昔の事暴露すんな!」
ソフラ
「次回、【厄災の姫と魔銃使い】第五部 四章「蛇と鳥」。なんやったら子供ん時の事も知っとるよぉ」
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