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[外伝]リドルの美味しい珈琲
5.リドルの美味しい珈琲
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王女が嵐のように去っていった後、社内に取り残された俺とシンは、まるで魔物にでも化かされたような気持ちになった。
「ご、、、ご用件は何だったのでしょうか。」
シンが戸惑ったように口を開く。
一体どこから聞いていたんだろうと思うが、どうやら問題の部分は聞いていなかったらしく、シンは王女が走り去っていった方角をぼんやりと見つめていた。
「さあ、何だろうな。まあ、あの王女が突飛な行動をするのは、いつものことだから気にしなくていいよ。」
と言いつつも、後で確認しないといけないなと思う。
本当に俺の名前で出されたら堪らない。やりかねない!
「リドル様は、クレア王女とご結婚されるのですか?」
呆然とした表情のシンが、突然そう尋ねた。
「はあ?!」
「随分と親しそうなご様子だったので・・・。」
シンの問いかけに、思わず頭を手で押さえた。
「ありえない。。。」
頼まれたって絶対に嫌だ。
結婚はしたいが、少なくともそれは王女のような人ではない。
一緒にいて心休まるような人がいい。
まあ、王女が突然訪ねてくるような間柄って、普通は何かあると思うよなと気づく。
しかし、これ以上変な噂はゴメンだ。
「隠していたわけじゃないんだけど、成り行きで王女の仕事みたいなのを手伝うことになっちゃって、それで親しくなったというか。まあ、そんなところだよ。王女の結婚相手は俺じゃない。そのうち発表されるよ。」
俺がそう答えると、シンはすごくホッとしたような顔をして、
「じゃあ、まだ魔法のコーヒーは飲んでいないんですね。」
と呟いた。
その言葉は、何故か俺の心の内側に染み入るように広がり、やがて心の奥の扉を叩いていった。
けれど、その時の俺には、それが何なのか理解できなかった。
その正体に気づくのは、しばらく後のことだ。
◇
それから一ヶ月ほど経った頃、俺は王女に正式な招待状を受け取り、お茶会へと参加することになった。
王女が執筆していることを知っている、ごく内輪の者だけで『隻眼の魔術師と亜麻色の髪の従者』の続刊出版を祝う会を開くのだという。
「リドル、改めてありがとう。連絡が遅くなってごめんなさいね。」
そう言って、王女は控えの間で無事発行された新刊を手渡してきた。
既に原稿の段階でも読んでいたが、携わった作品が本になっているのを見ると、やはり嬉しい。
「なんとか出版できて良かったな。一時はどうなることかと思ったけど、実はユリアンが男装女子だったっていうのには驚いたし、面白かったよ。素直に感心した。」
王女は本の内容を大幅に変更し、男同士の恋愛の話ではなく、従者ユリアンが実は男装している女性だったということで話をうまくまとめていた。
女性の身でありながら、主人を想うが故に男装までして仕えるユリアンの姿はいじらしく健気で、本の内容をより良いものに変えたように見える。
これなら、王族としての品格にも問題はないだろう。
「ね?従者攻めにしておいて良かったでしょ?ユリアンを一度でも脱がしていたら、この手は使えなかったわ。」
あんなに焦っていたくせにと思わなくもないが、確かに王女のいう通り『従者攻め』で良かったんだろう。
「しかし、男装女子なんて現実には不可能だよな。絶対に、すぐ気付かれるだろ。」
物語ならではの設定だよなと思いながら、そう言うと、王女は何故か訝しむような顔をした。
「は?何言ってるの?私にまで隠す必要ないのよ。私はこの前、リドルの従者に会って、これを思いついたんだから。」
王女はそう言って、自信たっぷりに微笑んだが、俺には王女が何を言っているのかよく分からなかった。
俺の従者?
それは、シンのことだろ?
その言葉の意味を理解できずに固まる俺に対して、王女は呆れたように声を上げた。
「信じられない。まさか、本当に気づいてなかったの?あり得ない!どうかしてるわ。いくらなんでも馬鹿すぎるんじゃないの!」
王女の後ろに控える侍女たちも、揃って頷く。
いや、まさか!
シンが男装してたっていうのか?
声も出せずにいる俺を見て、王女が何やら考え込むように口元に手を当てた。
「早まったかしら?まあ、いいわ!事実が何であれ、この本は貴方たち二人のことをヒントに書いたってことになってるから、宜しく頼むわね!」
王女は開き直ったように、そう言って微笑んだ。
「さあ、入っていらっしゃい。」
王女の声と共に、部屋の扉が開けられる。
そこには見覚えのある人物が、見たことがない格好をして立っていた。
「シン・・・。」
思わず息を呑む。
そこに立っていたのは、顔を真っ赤にして佇むドレス姿のシンだった。
亜麻色の髪は美しく編み込まれ、どっからどう見ても、淑女にしか見えない。
「私たち、リドル様のために頑張りましたのよ!素材がいいので、腕が鳴りましたわ!」
侍女のアンナが胸を張る。
確かに、シンは美しかった。
今まで気づかなかった俺は、本当にあり得ないし、どうかしてるし、馬鹿すぎる!
呆気に取られている俺を余所に、侍女たちはテキパキを準備を進め、気がつけば俺とシンは腕を組まされてお茶会の会場へ誘導されていた。
会場に向かうまでの間に、王女が話したことを整理すると、『隻眼の魔術師と亜麻色の髪の従者』は、魔具技師として働くために男装しているシンの話を聞いて、思いついたということにしたらしかった。
元々男同士の恋愛を書いていたつもりはなかったのだと言って、両親に本の出版を認めさせたのだという。
全く事実ではないし、相当に無理がある話だが、王女曰く『こういうのは言い切った者勝ちなのよ』とのことだった。
身内だけという割にはそれなりの規模のお茶会だったのだが、皆、王女の著作のファンでもあるらしく、俺たちに向けられる視線は好意的なものばかりだった。
女性たちは、俺たちのことも本と同様に様々な波乱を乗り越えて結ばれた恋人同士であると思っているようだった。
慣れないドレスに足を取られそうになりながら必死で歩くシンは、全く状況を飲み込めていないらしく、死にそうな青い顔で俺にしがみついている。
「リドル様、一体どういうことなのでしょうか。私には何が何だか。。。しかも突然、こんな格好をさせられていて。」
聞けば、組み立て工場での打ち合わせの帰りに、突然現れた王家の馬車に攫われて、気がついたらこうなっていたとのことだった。
王女がまた〈捜索〉しやがったなと思う。
けれど、俺は自分の馬鹿さかげんに呆れると同時に、王女がくれたこのサプライズプレゼントをありがたく享受しようという気持ちになっていた。
これで俺が男色家だという忌まわしい噂は、すぐに消えると思ったからだ。
「まあ、詳しいことは後で説明するよ。それよりも本当の名前を教えてよ。ごめんな、九年も側にいたのに。」
いくら隠していたとはいえ、全く気づいていなかったことを謝らなければならないと思った。
これまで、何日も馬車に揺られるような過酷な旅に同行させたり、当たり前のように同泊させていたのだ。
女性の身では大変だっただろう。
「シンシアです。謝らなければならないのは私の方です。ずっと騙していて申し訳ありません。女の魔具技師だなんて知られたら、会社にどれだけ迷惑をかけるか・・・。新しいコーヒーメーカーの開発は終わっていますし、すぐに後任の魔具技師を探してください。」
シン改め、シンシアがそう言って俯いた。
俺の腕を掴む手が、わずかに震えているのに気づく。
「いやいやいや、男とか女とか関係ないよ。シン、、、じゃなかった、シンシアの腕がいいのは俺が一番よく知ってるし、辞めてもらったら困る。あー、それにまだ魔法のコーヒーメーカーの開発が残ってるだろ?」
と、今後も仕事を頑張ってほしいと励ますつもりでそう言った俺の言葉に、シンシアはみるみるうちに顔を真っ赤に染めて固まった。
そういえば、魔法のコーヒーメーカーの開発は、俺には内緒にしていたんだっけなと思い出す。
そして、その時、俺は気づいた。
シンシアが以前言っていた『リドル様に美味しいコーヒーを飲んでもらいたい』という言葉の意味を。
魔法のコーヒーは特別に想う相手だけが美味しく感じるものだ。
つまり・・・。
俺は自分の顔もみるみる赤く染まっていくのを感じた。
思わず自分の顔半分を手で覆う。
ああ、そうか。
俺に美味しいコーヒーを淹れてくれる人は、もうずっとそばにいたんだ。
そんなことにすら気づいていなかっただなんて、本当にあり得ないし、どうかしてるし、馬鹿すぎる!
「ご、、、ご用件は何だったのでしょうか。」
シンが戸惑ったように口を開く。
一体どこから聞いていたんだろうと思うが、どうやら問題の部分は聞いていなかったらしく、シンは王女が走り去っていった方角をぼんやりと見つめていた。
「さあ、何だろうな。まあ、あの王女が突飛な行動をするのは、いつものことだから気にしなくていいよ。」
と言いつつも、後で確認しないといけないなと思う。
本当に俺の名前で出されたら堪らない。やりかねない!
「リドル様は、クレア王女とご結婚されるのですか?」
呆然とした表情のシンが、突然そう尋ねた。
「はあ?!」
「随分と親しそうなご様子だったので・・・。」
シンの問いかけに、思わず頭を手で押さえた。
「ありえない。。。」
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結婚はしたいが、少なくともそれは王女のような人ではない。
一緒にいて心休まるような人がいい。
まあ、王女が突然訪ねてくるような間柄って、普通は何かあると思うよなと気づく。
しかし、これ以上変な噂はゴメンだ。
「隠していたわけじゃないんだけど、成り行きで王女の仕事みたいなのを手伝うことになっちゃって、それで親しくなったというか。まあ、そんなところだよ。王女の結婚相手は俺じゃない。そのうち発表されるよ。」
俺がそう答えると、シンはすごくホッとしたような顔をして、
「じゃあ、まだ魔法のコーヒーは飲んでいないんですね。」
と呟いた。
その言葉は、何故か俺の心の内側に染み入るように広がり、やがて心の奥の扉を叩いていった。
けれど、その時の俺には、それが何なのか理解できなかった。
その正体に気づくのは、しばらく後のことだ。
◇
それから一ヶ月ほど経った頃、俺は王女に正式な招待状を受け取り、お茶会へと参加することになった。
王女が執筆していることを知っている、ごく内輪の者だけで『隻眼の魔術師と亜麻色の髪の従者』の続刊出版を祝う会を開くのだという。
「リドル、改めてありがとう。連絡が遅くなってごめんなさいね。」
そう言って、王女は控えの間で無事発行された新刊を手渡してきた。
既に原稿の段階でも読んでいたが、携わった作品が本になっているのを見ると、やはり嬉しい。
「なんとか出版できて良かったな。一時はどうなることかと思ったけど、実はユリアンが男装女子だったっていうのには驚いたし、面白かったよ。素直に感心した。」
王女は本の内容を大幅に変更し、男同士の恋愛の話ではなく、従者ユリアンが実は男装している女性だったということで話をうまくまとめていた。
女性の身でありながら、主人を想うが故に男装までして仕えるユリアンの姿はいじらしく健気で、本の内容をより良いものに変えたように見える。
これなら、王族としての品格にも問題はないだろう。
「ね?従者攻めにしておいて良かったでしょ?ユリアンを一度でも脱がしていたら、この手は使えなかったわ。」
あんなに焦っていたくせにと思わなくもないが、確かに王女のいう通り『従者攻め』で良かったんだろう。
「しかし、男装女子なんて現実には不可能だよな。絶対に、すぐ気付かれるだろ。」
物語ならではの設定だよなと思いながら、そう言うと、王女は何故か訝しむような顔をした。
「は?何言ってるの?私にまで隠す必要ないのよ。私はこの前、リドルの従者に会って、これを思いついたんだから。」
王女はそう言って、自信たっぷりに微笑んだが、俺には王女が何を言っているのかよく分からなかった。
俺の従者?
それは、シンのことだろ?
その言葉の意味を理解できずに固まる俺に対して、王女は呆れたように声を上げた。
「信じられない。まさか、本当に気づいてなかったの?あり得ない!どうかしてるわ。いくらなんでも馬鹿すぎるんじゃないの!」
王女の後ろに控える侍女たちも、揃って頷く。
いや、まさか!
シンが男装してたっていうのか?
声も出せずにいる俺を見て、王女が何やら考え込むように口元に手を当てた。
「早まったかしら?まあ、いいわ!事実が何であれ、この本は貴方たち二人のことをヒントに書いたってことになってるから、宜しく頼むわね!」
王女は開き直ったように、そう言って微笑んだ。
「さあ、入っていらっしゃい。」
王女の声と共に、部屋の扉が開けられる。
そこには見覚えのある人物が、見たことがない格好をして立っていた。
「シン・・・。」
思わず息を呑む。
そこに立っていたのは、顔を真っ赤にして佇むドレス姿のシンだった。
亜麻色の髪は美しく編み込まれ、どっからどう見ても、淑女にしか見えない。
「私たち、リドル様のために頑張りましたのよ!素材がいいので、腕が鳴りましたわ!」
侍女のアンナが胸を張る。
確かに、シンは美しかった。
今まで気づかなかった俺は、本当にあり得ないし、どうかしてるし、馬鹿すぎる!
呆気に取られている俺を余所に、侍女たちはテキパキを準備を進め、気がつけば俺とシンは腕を組まされてお茶会の会場へ誘導されていた。
会場に向かうまでの間に、王女が話したことを整理すると、『隻眼の魔術師と亜麻色の髪の従者』は、魔具技師として働くために男装しているシンの話を聞いて、思いついたということにしたらしかった。
元々男同士の恋愛を書いていたつもりはなかったのだと言って、両親に本の出版を認めさせたのだという。
全く事実ではないし、相当に無理がある話だが、王女曰く『こういうのは言い切った者勝ちなのよ』とのことだった。
身内だけという割にはそれなりの規模のお茶会だったのだが、皆、王女の著作のファンでもあるらしく、俺たちに向けられる視線は好意的なものばかりだった。
女性たちは、俺たちのことも本と同様に様々な波乱を乗り越えて結ばれた恋人同士であると思っているようだった。
慣れないドレスに足を取られそうになりながら必死で歩くシンは、全く状況を飲み込めていないらしく、死にそうな青い顔で俺にしがみついている。
「リドル様、一体どういうことなのでしょうか。私には何が何だか。。。しかも突然、こんな格好をさせられていて。」
聞けば、組み立て工場での打ち合わせの帰りに、突然現れた王家の馬車に攫われて、気がついたらこうなっていたとのことだった。
王女がまた〈捜索〉しやがったなと思う。
けれど、俺は自分の馬鹿さかげんに呆れると同時に、王女がくれたこのサプライズプレゼントをありがたく享受しようという気持ちになっていた。
これで俺が男色家だという忌まわしい噂は、すぐに消えると思ったからだ。
「まあ、詳しいことは後で説明するよ。それよりも本当の名前を教えてよ。ごめんな、九年も側にいたのに。」
いくら隠していたとはいえ、全く気づいていなかったことを謝らなければならないと思った。
これまで、何日も馬車に揺られるような過酷な旅に同行させたり、当たり前のように同泊させていたのだ。
女性の身では大変だっただろう。
「シンシアです。謝らなければならないのは私の方です。ずっと騙していて申し訳ありません。女の魔具技師だなんて知られたら、会社にどれだけ迷惑をかけるか・・・。新しいコーヒーメーカーの開発は終わっていますし、すぐに後任の魔具技師を探してください。」
シン改め、シンシアがそう言って俯いた。
俺の腕を掴む手が、わずかに震えているのに気づく。
「いやいやいや、男とか女とか関係ないよ。シン、、、じゃなかった、シンシアの腕がいいのは俺が一番よく知ってるし、辞めてもらったら困る。あー、それにまだ魔法のコーヒーメーカーの開発が残ってるだろ?」
と、今後も仕事を頑張ってほしいと励ますつもりでそう言った俺の言葉に、シンシアはみるみるうちに顔を真っ赤に染めて固まった。
そういえば、魔法のコーヒーメーカーの開発は、俺には内緒にしていたんだっけなと思い出す。
そして、その時、俺は気づいた。
シンシアが以前言っていた『リドル様に美味しいコーヒーを飲んでもらいたい』という言葉の意味を。
魔法のコーヒーは特別に想う相手だけが美味しく感じるものだ。
つまり・・・。
俺は自分の顔もみるみる赤く染まっていくのを感じた。
思わず自分の顔半分を手で覆う。
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