【BL】【R-18】夢の中の男が好きすぎて困ってしまいます!ダンジョンの試練ってどういうことですか?

とるてってて

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本編

01-01 キスを2時間しなさい

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何故か揺さぶられているような気がする、それが煩わしくて目をぎゅっとつぶる。
今日は昼間からお菓子を作ろうとは思っていたんだけど、まだまだ寝ていたい気持ちが強い。うつらうつらしながら、最悪寝休日にしてもいいし~、そう思ってよりいっそう毛布に包まるように潜る。

そのまま揺さぶられるような感覚を受け流していると、逆に定期的な振動がいい感じかもしれない…? これはおやすみなさいだぁ…。



「おい、寝るな。起きろ」

…ん?気のせいかめっちゃ良い声がした気がする。洋画にありそうな渋くて色気のある感じの。

「無理やりひっぺがされたいか?」

ふわぁ、かっこよー。
ぼーっとしながらそんなことを思っていたら、毛布ごと体を抱き起こされて、顔の上までしっかりかぶっていた毛布を下ろされる。

「…ぇ?」

うわ、眩しい!
急に光に晒されて目がくらむ、寝起きだから掠れた声しか出なかったけど、そうじゃなければ叫んでいたかもしれない。

混乱しつつも腕を動かして毛布をどかし、目を擦ってきちんと前を見てみる。そこには知らないお兄さんというには渋みも色気もある、でもおじさんというには若すぎる人がいた。
褐色の肌に綺麗な紅い目、白…いや、銀色?さっぱりとした短髪。こんな配色は見たことがない。

「えっ…ここどこ?お兄さんだれ?」

………俺は家のベッドで寝てたよな?
今考えてみれば揺さぶられているっていうのがおかしかったんだ。誰かに揺さぶられる以外だったら結構な地震でもないとあり得ないよな。俺一人暮らしだし。
大きな地震が来てるのに気づかず寝こけているって状況じゃなかっただけマシとはいえ…改めてこれはどういう状況なんだ?

「俺はギゼル。レカルモにある深海ダンジョンを攻略中だったが試練に引っかかって気づいたらここにいた。多分ここは試練の場だ」

「え…、え? ダンジョン? しれん?」

お兄さんがせっかく答えてくれたけど、さらによく分からなくなってしまった。
改めて周りを見渡してみると、ここはアイボリーっぽいような色の空間だった。俺が寝ていたのは床に10人でも寝れそうなふかふかの超特大マットレスを敷いた場所で、毛布もかなりの量と大きさだ。

…なんだここは。

寝ている間にこんなところに来てしまうなんてあり得るか?知れば知るほどよく分からなくなる。お兄さんはダンジョンを攻略していてここに来てしまったらしいけど…。それってどういうことだ?一般人の俺にドッキリなんて仕掛けるワケないだろうし。

「あの、ダンジョンを攻略って、冒険者とかだったりします?」

「そうだ。お前は…寝間着か?随分いいところのみたいだな」

ちょっと、冗談を言ってみたけど、気にした風もなく俺の頭から足まで見たお兄さんはかなり関心するように言っている。今の俺はまるっと上下某ジェラートなベアのパジャマだから、まあ間違ってないな。着心地が良い安眠の友だ。

しかし冒険者って…すっごいファンタジーじゃん!いや、もう見た目からしてファンタジーっぽい配色だけどさ。

「やっぱこれリアルな夢だな」

「あ?寝ぼけてんのか?」

お兄さんは俺の横に座りながら、何言ってんだこいつって顔をした。別に怒ってないんだろうけど、ちょっと迫力が凄すぎてビクッとしてしまう。しかし、負けていられないので強気に否定してみる。

「いや、だって…お兄さんはダンジョンの試練?のせいでここにいるとして、全然違う家で寝てただけの俺がこんなところに来るのは訳が分からないでしょ」

ぶちぎれたりしない、よね? 俺の夢だし、こんな状況でぼこぼこにされる夢なんて見ないよね? 信じてるぞ、俺の脳細胞たち!

「それはそうだが…ダンジョンが何でもありなのは知っているだろう? ダンジョン産のものを身につけたり家に置いたりは?または最近別のダンジョンにでも行かなかったか?」

なんか気づいたらお兄さんがにじり寄ってきて手をガシリと捕まれる…いや、怖い怖い怖い、お兄さん恰好良いけど迫力ありすぎて怖い!
洋画でもこんな格好良くて迫力ある人なんてみたことないし、最近はアニメでも見てないと思う、なんの潜在意識の表れなんだ!?

しかも何、ダンジョン産のものを持ってたりするだけでこんなことに巻き込まれるなんて、最悪じゃないか?
寝間着で冒険者の人がやる試練を受けるとか絶対死んじゃうじゃんか!どんな設定なんだよ!

「な、なに、ダンジョン産のものなんて持ってないし、ダンジョンに行くなんて不可能、ありえないよ!だってもって無いもん!」

最後の方は叫ぶようになってしまったが、勢いに任せてお兄さんの手を振り払うように動かす。動かすというか、動かそうとしても全然動かない、ピクリともしない…力強すぎじゃないでしょうか?

「ふうん…まあ、信じられない気持ちも分かるが、試練の場にいる以上付き合ってもらうしかないな」

いや、嫌だ…夢でも死ぬなんて嫌だ…しかもこんなにハッキリしている意識で見る夢なんて、覚えていたら寝起きが最悪どころかトラウマになりかねない。

「嫌だよ!悪いけど試練ならお兄さんだけでやって、俺、死にたくないからっ!」

なんとか腕を離してもらおうとするけど、やっぱり全然上手くいかない。腕の太さがちがいすぎるだろ。どうにか…どうにか夢パワーでなんとかなってくれ。

「おい、そう暴れるな、怪我するぞ。勘違いさせたようで悪いが、試練といっても今回は当たりだ」

俺を落ち着けるように反対の手で背中を撫でてくる。いや、お前が手を離せば落ち着けるんだよ、俺は!
このまま力を入れられたらぽっきり折れてしまいそうだから怖くて言えないけど…。

「あた、あたり?俺みたいなお荷物野郎がいても大丈夫な試練なのか?」

「おう、お前の協力があれば簡単にクリアできる」

「…どうすればクリアできるんだ?」

言われた言葉に希望が芽生える。なんだろう…細い隙間を通って物をとってくるとかだろうか?お兄さんさんめっちゃごついし、お兄さん用のサイズなら俺だったら楽々いけそう。

「先に言っておくが、試練の場は出題された試練をクリアしなければ一生出ることはできない、そのまま死んで、後日ダンジョンに排出されることが殆どだ」

こわ、怖いよ…。クリアできないのに当たったら終わりじゃん…ダンジョン産のものを持ってたらそんなのに巻き込まれるわけか? 設定が理不尽すぎる。

「本題の試練の内容だが、キスを2時間することだ」

「……は?」

「試練の内容はキスを2時間することだ」

「………」

想像していたような内容じゃなくて一瞬理解ができなかった…。お兄さんは同じことをもう一度言ってくれる。
だけど、いや、いやいや…

「…なんだその内容は!怖がった俺の心を返してくれ!」

心のまま力の限り叫んでから、ふと思う。

待てよ? これはやっぱり俺の願望的な夢な気がしてきた。男同士、しかも相手はごついとはいえ恰好いいし。試練なんていう設定は謎だけど、たしか最近見たアニメに冒険者とかが出ていたし…あり得る!
お兄さんの迫力のせいで暴力的な方向に想像していて気付かなかったけど…これはエッチな夢なんじゃないか?

俺は同性愛者で童貞処女だ。恋人もできたことがない、というか怖くてカミングアウトすらできないでいる。初恋は高校の同級生、告白のこのじもできなかった。
そう考えるとキス2時間なんていうアホな試練なのも頷ける。まだしたことがないんだよな、キスすら。俺が考えるラッキースケベな夢…これが正解だろ。

あまりのアホらしさに体から力が抜けて脱力してしまう。

「だから言っただろう?当たりだって」

そういってお兄さんがニヤリと笑いかけてくる。
これはやばいぞ…そういう夢だって分かったらすっごいドキドキしてきた。一気に顔が熱くなるのが分かる。
うわあ、もしかして俺ってこういう人がタイプなのか?初恋の相手はどっちかというと文学少年な感じだったけど。

「悪くねえ反応だな?嫌がられたらどうしようかと思ったが」

「う…」

むしろ俺の願望が入ってる可能性が高いしな…。うっわぁ、もうお兄さんの顔を見れる気がしねぇ。
心臓が張り裂けるんじゃないか心配になるぐらいバクバクうるさい。

「じゃあさっさと始めるか。お前の家の奴らが起きてきたらヤバいしな」

色々おかしいだろう俺をよそに、そう言うとお兄さんは俺を膝の上に抱きあげて向かい合うように形にしたと思ったら、すぐに顔を近づけてくる。

「いや、ちょっと待って!」

あまりに素早い行動に慌ててお兄さんの口を手で塞ぐように押さえる。その時にばっちり目があってしまった。
やばい、紅い目がすっごい綺麗だ…。
少し見惚れているとそのまま手をベロリと舐められて、押さえていることができずに手を離してしまう。

「っ!」

「嫌だっていっても辞める気ねえぞ?好きな奴がいるならわりぃけど、魔物に舐められたと思って我慢しとけ」

ちょっとつまんなそうに言われると、付き合っているわけでもないのに、これは嫉妬みたいなものをされているんじゃないかとドキドキする。ううぅ、夢の仕事量が半端ない、サービスが良すぎる。

「いや、違くて。俺寝起きだから…それでキスするの嫌だなって、思っただけで……」

とっさに素直な気持ちで否定したはいいけど、途中から恥ずかしくなってきた。いや、夢だから平気なのは分かってるけど、そこは童貞の男心が…繊細なハートが…。

「……」

「あ、いや、早くした方がいいんだよな、ごめん」

黙ってしまったお兄さんとの間に生まれたいたたまれない空気に慌てて目を閉じた。
そして、閉じたはいいけど、これで大丈夫なのか不安になる。キスってどんな状態で待てばいいんだ?口、開けるべきか?
分からない、夢さんこのままじゃ辛いです。早くしてください!

どうしようもなくなって、逃がさないように腰へ回されている腕を掴む。すごくがっしりとしてる。
やばい、今お兄さんの膝の上にいるんだよな、俺。腕はすごい無骨な感じだけど、触り心地は良い。これが他人の腕、しかも恰好よくて色気もある人の。そう考えるとまた頬が熱くなる。これ夢から起きたときに鼻血出てないよな…?

「はあ…。俺は気にしねえけど気になるならクリーンかけるから口開けろ」

いつキスをされるのかと身構えていたから、なんだか気が抜ける。
それにクリーンってなんだろう、綺麗になるのか?口と一緒に瞼も開いて、クリーンとやらを待ってみる。

「ん、良い子だな」

「んがっ」

その言葉の後、口内に結構な涼しさを感じて間抜けな声がでた。
一瞬だったが薄荷的な涼しさというか、ついでに風を結構な勢いで当てられた感覚もした。何も持ってなかったよな? …あれがクリーン…なんだかすごい…。ちょっと感動してしまった。

「俺の魔法は大雑把だからな、驚いたか?」

この感動をどうしたらいいかと思ってお兄さんを見ると、そこで悪戯っ子のように笑っている顔がかなり可愛くて不覚にもときめいてしまう。くっそ、ずる過ぎないか?
いや、俺の夢だから、無意識に俺のときめきポイントを突いてくるのは当然かもしれない。

「っ…別に!それより早くしないとなんだろ!」

「そうだな」

なんとか声をだすと、返事をしながら顔を近づけてきたお兄さんがそのままペロリと俺の唇を舐めて、ゆっくり体を抱き寄せてきた。
唐突にエッチな雰囲気になって、何もできずに固まることしかできない俺をそのままに、お兄さんは優しく唇同士をくっつけたり最初のように唇を舐めたりしている。

どうしよう、このままでいいのかな。すっごくドキドキするけどお兄さんの表情を見る勇気も出なくて、どうしようもないから目を瞑ったままじっとしていた。
そのまま鼻で息をするのが恥ずかしくて、息を止めていたら苦しくなってきた。これはまずい…。そう思うけど、もう我慢できない。諦めて顔を逸らして呼吸をするしかない。

「んっ、ぷはあっ」

「おいおい、せっかくクリーン掛けたんだから口を開けてくれないか?」

我慢しすぎたせいで苦しい!はあはあと息を整えていると、楽しそうにしたお兄さんに言われてしまう。
そんなに面白そうに笑わないでほしい。仕方ないだろ、こちとら未経験なんです! 俺の夢の住人なのに経験豊富なオーラを出さないでください!

その余裕にどうしようもなく悔しくなって、お兄さんを睨みつけながら口をパカリと開ける。

「これれ、いいれすか!」

「おう、良い子だな」

俺の睨みなんてどこ吹く風、頭を撫でて褒められたかと思うと、そのままガシリと頭の後ろを押さえられて口を塞ぐようにガプリと食べられた。

「っん」

ぬるりと口の中に太い舌が入ってくるので驚いてお兄さんの服を掴む。
逃げることもできずにされるがまま、だけど思っていたよりも優しいキスを受け止める。
激しく動くこともなく、ゆっくりと舌を出したり入れたり。
俺に比べると舌が大きくて太いから少し戸惑うけど、上顎をゆっくりなぞられると、恥ずかしいのに気持ちがいい。
逃げないことを確信したのか、たまに俺が口で息をしやすいように唇をくっつけたり離したりしては、褒めるように頭を撫でてくれるから、ドキドキしつつも多少肩の力を抜くことができた。

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