Jet Black Witches - 2芽吹 -

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第26話 ~閑話~ 子どもたち <ケイン視点>

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 急遽決まった流星群観測会? に備えて軽くお腹を満たしての仮眠を取る流れだ。

「さぁさぁ、食べ終わったのなら、みんな歯を磨いて寝るぞ」
「「はぁーぃ」」

 子どもたちはパタパタと歯磨きと就寝に向かう。

 うふふ、ジンさんの声に反応する子どもたち。可愛いなぁ。元気だなぁ。

 弟たちを失って、空元気に見えたイルだったけど、ようやく笑顔が少しずつ零れるようになってきたと思えたのは、ついこの間のこと。そう、確かマコちゃんと知り合ってからのイルだわ。よほどうれしいのか、マコちゃんの話ばっかりしてたものね。一体どんな子かしら? って私も気になってたけど、まさか、こんな形でお近付き、っていうか同居する流れは、想像を遥かに超える展開、いやいや、もう何もかもがあり得ないクラスの極上コースの幸せな展開なのよね。

 いちいち脱線してしまいそうなほど、盛り沢山で溢れ落ちないか心配するくらいだから、敢えて振り返らないことにするけど、マコちゃんと一緒にいるイル。マコちゃんの一挙手一投足をつぶさに捉えては、沢山のことがその小さな頭の中で渦巻いているのがモロわかりなイル。
 イルもかなり優秀だと思っていたけど、マコちゃんも驚くほど優秀なのよね? でもその色合いは違っていて、イルは独力ではあるけど、小学校入学前に小学校の全学年の教科書を隅々まで理解する超秀才、それに対して、同じく独力だけど、教科書ではなくて、日本のマンガやアニメ、小説なんかのあらゆるコンテンツを見まくったことで形成された知識や考え方らしく、中学生レベルの知識や受け答えができるって聞いたわ。まだ幼く可愛らしい未就学児なのに、恐るべき頭脳なのよね。

 でもマコちゃんはイルの裏表のないはきはきした物言いや、冷静に状況を分析整理し、場を導こうとするところに心酔しているのよね? イルはその性格も手伝ってか、わからないことがあれば先輩や先生に数多く質問を繰り返したりして、知識などは万遍なく手中に収めるために、その発言も高い話術と偏りのない知識、自信に裏付けられたものだから、マコちゃんはそんなところに惹かれているのかな?

 マコちゃんの場合、いろいろなことを大人レベルの深さまでよく知っているなぁと思うことがたくさんあるけれど、体験的に知らないこともたくさんあって、今がコンテンツによる追体験に、都度都度の本体験で補完・上書きしていってる真っ最中にも見えるから、その瞬間に居合わせたときのマコちゃんの微妙な驚きの表情、ちょっと楽しみでもあるんだよね。イルや他の子たちが全く初めてのことに遭遇したときの驚き方も面白いけど、マコちゃんの場合の追体験と本体験の差異への驚きと擦り合わせの瞬間の微妙な表情の変化。くぅーっ! まるで自分が小説を読んでいるときの心情の変化、心の揺らぎを見ているみたいな、堪らない瞬間なのよね。私がマコちゃんに出会って知った新しい楽しみなのよ。ふふ。

 それと、なんだろう? マコちゃんの発想の面白さ。思いもしない奇想天外な方向に進もうとするし、それは奇抜なのだけど、なぜかマコちゃんの中ではとっくに設計図は完成しているのか、初めてのことなのに自信をもって成し遂げちゃうマコちゃん。私はそのたびに度肝を抜かされるし、なぜか笑いのツボも仕込んであって、大爆笑しちゃうのよね。ほんとに面白すぎて困った子よね。マコちゃんってば。面白すぎるわよ。

 イルもそんなマコちゃんの奇想天外ぶりには一目を置いていて、奇をてらうだけではない笑いもとれるマコちゃんのすごい所業に、なんとか理解し吸収したいと思っているのか、心のメモへの書き取りに余念がないように見えるイル。イルとマコちゃん、ともに優秀だけれど、その在り方が違うからか、お互いに惹かれ合うように大好き同士らしい。いいコンビよね。そんな関係がいつまでも続くといいね。

 あぁ、いけない。脱線しないつもりだったのに、振り返らないつもりだったのに、また脱線していたわ。そんなマコちゃんの奔放さの源流は、ママであるソフィアにあると見ている。ソフィアの規格外の天才頭脳は、受け継がれていると思えるマコちゃんを見れば一目瞭然ではあるけれど、さっきのソフィアとの問答ではリアルに思い知ったわ。

 私がちょっと本気を出せば、私の凄さにソフィアやジンさんは驚いて、納得して喜んでくれるものと高をくくっていたけれど、大間違いだったわ。ジンさんの言うとおり、ふだんのソフィアは、のんびりしてて、どこか優雅で、それでいてそそっかしい。だけど慈愛に満ちた心が根っこにあって、それはマコちゃんもジンさんにも共通しているけれど、そのおかげで私たち親子は救済されたのよね。本当にいろいろと感謝している。だからこそ、「ちょっと本気で」なんて考え方や態度は、ソフィアたちに対して不敬すぎたわ。そもそも、さっきの話からは、スペック的に本気・全力の私でも敵うかどうかは怪しくなってきたし、仕事に対するソフィアの本気度も凄いことがわかった。私なんかが力になれるかも、ちょっとだけ自信がなくなってきたけど、ソフィアがいうように数々の業務をこなしてきた私の経験はきっと役に立つはず! 勝負するわけじゃないけれど、負けないわよ、ソフィア。きっと役に立ってみせるわ!

 それにしても突然降って湧いたような魔女の血筋だったこと、しかも私たちの今の髪色からも魔女の中でも特別な「漆黒の魔女」になるらしいけど、まだあまり特別なことができるわけではない私にはピンとこないのが実情なのね。でもソフィアたちは現実に凄いことを見せつけてくれるから魔女とその力が本物であること、そしてそれが私たちにもいつかはできるようになることは疑いようのない事実。ただ、イルはともかく遅咲きの私ではどれほどのことができるようになるかがちょっとだけ不安なのよね。

 それと魔女って言葉は、エンタメの好かれるキャラクタに使われるようになった今でこそ忌避感も小さいけれど、元々は確か悪魔との契約云々があって忌み嫌われる存在の名称なのよね。けれどソフィアたちも、もちろん私も、悪魔なんて存在とは全く関係ないし、少しだけ特別な力を宿しているだけの普通の人間なのよね。特にソフィアたちに関しては、その慈愛の深さからも、まるで地上に降り立った神や天使ではないかと思えるほどの素晴らしい人たち。もう「魔女」という名前ではなくて、もはや「聖女」といっても言い過ぎではないと思うわ。

 そう、北方聖十字教だったかしら? 「聖女」なら、そちらからの謀略にも晒されることはなかったのかしら? あぁ、でも北の軍事大国:V国にとっては、魔女も聖女も変わらないのかもしれないわね。難しいわね? 人の心って。
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