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第二話 灯台でうっかり死にかかったら助けてもらった話
§9 - 午後四時(その一)
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意識が朦朧とした状態で、おれは眼鏡の男の人と一緒に灯台の駐車場に向かっていた。思っていたより身体にダメージがあったみたいだ。全身がブルブル震えて、足がもつれて思う通りに動かない。どんどん視界が狭まって、寒くて寒くて仕方なくて、他のことは何も考えられない。
「あ、あのさ、そこにあるのがオレの車だから! 大丈夫? すぐに暖房つけるからしっかりして!!」
「は、はい……」
ぼんやりしたまま、高そうな青い車の後部座席に寝かされてまもなく、フオーンという音がして暖房が入った。ああ、助かった。ホッとしたのと同時に眠くなる。冷たい風がふきつけてこないだけでとってもあたたかいし、なんだかすごくりっぱなシートだからゴン兄がみたらおおよろこびしそう……。
「ちょっと待ってて! いま温かい飲み物を買ってくるから!!」
あ、いやそんなごめいわくをかけるつもりじゃ…………ねむい。すごくねむい。
■ ■ ■
暖房が効いた車の中は、まるで天国みたいに心地よくて、おれは爆睡していたらしい。気づいたら、眼鏡の男の人が叫んでいた。
「お、起きられる? ココアとかあるけど!」
「うう……あ、おれ……眠くて……」
そういや、一昨日からロクに寝てなかったもんな。もう今は何もかもどうでもいいから眠りたい。お願いです。このまま少しだけ寝かせて下さい……心の中でそう言いつつ意識を飛ばしていたら、いつの間にか抱っこされてた。パーカーの裾がめくられて、手が入りこんでくる。え、なんで?
「あ、あのさ、今からキミの身体を温めるよ! キミ、低体温症になりかかってるから!!」
「んん……ぅあ……てーたいおんしょー……」
「そう! 薄着であんな所に長いあいだ放置されたからだよ!! しっかりして!!」
「……い、いや……その……」
放置された訳では無く、墓穴を掘っただけなんです……と言おうとしても睡魔が襲ってきて、ろれつが回らない。眠い。眠らせて下さい。
次第に背中とお腹、それに左脚が温かくなってきた。そして、耳元で男の人の声がする。低くてかっこいいな。声優みたい。なに話してんだろ。低体温症? え、おれ、そこまで酷かったの?
「あ、あのさ、オレの叔父さんがね、石巻に住んでいたんだけど」
「は……はい……」
「それで、東日本大震災の時、津波に巻き込まれてさ……低体温症で亡くなって」
その言葉を聞きながら、少しづつ意識が戻り始めた。おれも、こんな風に身体を温めてもらえなかったら死んでたってことか。うう……低体温症って怖い。
「えっと……すみませんでした」
見ず知らずの人にここまでしてもらって申し訳なくて、まずお詫びを言おうと顔を横に向ける。自然と見上げる姿勢になり、男の人と目が合った。
「いや、その、怒ってるわけじゃなくて」
優しく声をかけられた瞬間、ビビビッと電気が走ったような衝撃を受け、一気に覚醒した。
(あれ、この人、眼鏡を外すとすげえイケメン! めちゃくちゃカッコイイ!)
男のおれが見てもそう思うくらい整った顔立ちの人だった。従姉妹や同級生の女子が見たらキャーキャー大騒ぎしそうだ。
(もしかして、モデルとか俳優なのかな? そういや車も高そうだし、この辺に別荘を持ってる人だったりして……)
うわ恥ずかしい!! と焦るのと同時に、心臓がドキドキして身体中がカッと熱くなった。そして、おれの背中と男の人のお腹がぴったりくっついていることや、腹と太腿を手で温めてもらっていることに気付くなり、今まで経験したことの無い衝動に駆られた。
(うわ……すごく……キ、キスしたい!!!)
そして、いきなり勃起した。なぜ? どうして? おれのちんこに一体何が起こっている?!
(こっ、こんなの初めてだよ。どうしよう!!!)
心臓がバックンバックンうるさくて、おれを抱きかかえているイケメンのお兄さんにキスしたくてたまらない中、心の奥底では「なるほどこれが性衝動とかいう奴なのか」と冷静に考えてもいた。
(そうか……こんな風に得体のしれないタイミングで勃っちゃうんだ)
ゴン兄がよく言う「ムラムラする」の意味がようやく分かった。今までは何のことかさっぱりだったけれど。
「あ、あのさ、そこにあるのがオレの車だから! 大丈夫? すぐに暖房つけるからしっかりして!!」
「は、はい……」
ぼんやりしたまま、高そうな青い車の後部座席に寝かされてまもなく、フオーンという音がして暖房が入った。ああ、助かった。ホッとしたのと同時に眠くなる。冷たい風がふきつけてこないだけでとってもあたたかいし、なんだかすごくりっぱなシートだからゴン兄がみたらおおよろこびしそう……。
「ちょっと待ってて! いま温かい飲み物を買ってくるから!!」
あ、いやそんなごめいわくをかけるつもりじゃ…………ねむい。すごくねむい。
■ ■ ■
暖房が効いた車の中は、まるで天国みたいに心地よくて、おれは爆睡していたらしい。気づいたら、眼鏡の男の人が叫んでいた。
「お、起きられる? ココアとかあるけど!」
「うう……あ、おれ……眠くて……」
そういや、一昨日からロクに寝てなかったもんな。もう今は何もかもどうでもいいから眠りたい。お願いです。このまま少しだけ寝かせて下さい……心の中でそう言いつつ意識を飛ばしていたら、いつの間にか抱っこされてた。パーカーの裾がめくられて、手が入りこんでくる。え、なんで?
「あ、あのさ、今からキミの身体を温めるよ! キミ、低体温症になりかかってるから!!」
「んん……ぅあ……てーたいおんしょー……」
「そう! 薄着であんな所に長いあいだ放置されたからだよ!! しっかりして!!」
「……い、いや……その……」
放置された訳では無く、墓穴を掘っただけなんです……と言おうとしても睡魔が襲ってきて、ろれつが回らない。眠い。眠らせて下さい。
次第に背中とお腹、それに左脚が温かくなってきた。そして、耳元で男の人の声がする。低くてかっこいいな。声優みたい。なに話してんだろ。低体温症? え、おれ、そこまで酷かったの?
「あ、あのさ、オレの叔父さんがね、石巻に住んでいたんだけど」
「は……はい……」
「それで、東日本大震災の時、津波に巻き込まれてさ……低体温症で亡くなって」
その言葉を聞きながら、少しづつ意識が戻り始めた。おれも、こんな風に身体を温めてもらえなかったら死んでたってことか。うう……低体温症って怖い。
「えっと……すみませんでした」
見ず知らずの人にここまでしてもらって申し訳なくて、まずお詫びを言おうと顔を横に向ける。自然と見上げる姿勢になり、男の人と目が合った。
「いや、その、怒ってるわけじゃなくて」
優しく声をかけられた瞬間、ビビビッと電気が走ったような衝撃を受け、一気に覚醒した。
(あれ、この人、眼鏡を外すとすげえイケメン! めちゃくちゃカッコイイ!)
男のおれが見てもそう思うくらい整った顔立ちの人だった。従姉妹や同級生の女子が見たらキャーキャー大騒ぎしそうだ。
(もしかして、モデルとか俳優なのかな? そういや車も高そうだし、この辺に別荘を持ってる人だったりして……)
うわ恥ずかしい!! と焦るのと同時に、心臓がドキドキして身体中がカッと熱くなった。そして、おれの背中と男の人のお腹がぴったりくっついていることや、腹と太腿を手で温めてもらっていることに気付くなり、今まで経験したことの無い衝動に駆られた。
(うわ……すごく……キ、キスしたい!!!)
そして、いきなり勃起した。なぜ? どうして? おれのちんこに一体何が起こっている?!
(こっ、こんなの初めてだよ。どうしよう!!!)
心臓がバックンバックンうるさくて、おれを抱きかかえているイケメンのお兄さんにキスしたくてたまらない中、心の奥底では「なるほどこれが性衝動とかいう奴なのか」と冷静に考えてもいた。
(そうか……こんな風に得体のしれないタイミングで勃っちゃうんだ)
ゴン兄がよく言う「ムラムラする」の意味がようやく分かった。今までは何のことかさっぱりだったけれど。
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