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第二話 ど、どうしよう
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私は真っ赤になりながらモゴモゴと口を開いた。
「こ、困ります」
その言葉を聞いたゼルバさんは、一瞬でしゅんとうなだれてしまった。
「困りますか……。そうですよね。突然俺みたいな変な男に告白されたら気持ち悪いですよね……」
「え!? き、気持ち悪くなんてありませんよ! それは断言できます! で、ですが……私ゼルバさんのこと冒険者ってこと以外なにも知らないし……。それに、私ってつまらない女なんです。そんな女と有名人のゼルバさんでは釣り合わないと思うんです」
私の言葉に、しゅんとうなだれていたゼルバさんは顔を上げて反論した。
「レノンさんはつまらない女性などではありません。笑顔が綺麗で、いつもお仕事に一生懸命な素敵な方です」
「あ、ありがとうございます。で、でも――」
なにか上手い断り方はないかと必死に考える。
だってそうでしょう?
こんなカッコいいゼルバさんと私ではどう頑張ったって釣り合いが取れない。二人で街を歩いたら街ゆく人に『なんであんなカッコいい人と冴えない女が一緒に歩いているのだろう?』と思われるのは必須なのだ。あー、そんなこと思われたくない。この告白は、なんとしてもお断りしなければ。
そんなことを考えていたら、店内のお客さんが集まってきた。みなさん目をキラキラさせて興味津々でゼルバさんに話しかける。
「わぁー。ゼルバさん、レノンちゃんのこと好きなんだー。可愛いですもんね」
「告白、上手くいくといいですねー」
「ゼルバ、いい趣味してんなぁ。俺もレノンちゃんのことはずっと可愛いと思ってたんだ。――頑張れよ!」
わ、わ、わ。
お客さんたちまで巻き込んでるぅー! は、恥ずかしいよぉ。
それに、この空気はなに!?
みんなゼルバさんを応援している。こんな空気の中でごめんなさいをしたら、一瞬で気まずくなってしまう。もしかしたら、私はあのゼルバさんを振った悪女として、一躍有名になってしまうかもしれない。うぅ……どうしよう……。
困り果ててオロオロしていたら、突然キノルルにバンッと背中を叩かれた。私は『キャッ』と小さく叫んでしまう。
「ガハハハ! いーじゃねーかレノン! お試しで付き合ってみろよ! お前彼氏できたことないんだろ? 恋人が出来るってのはいいもんだぞ!」
「で、でも――!」
「気に入らなきゃ振っちまえばいいんだよ! 若いうちは遊んどけ!」
周りのお客さんもうんうんうなずく。
「そうだよレノンちゃん。遊びでいいから一度付き合ってみなよ」
「付き合うって楽しいよぉ~」
「もしゼルバが振られたら、次は俺がレノンちゃんの恋人に立候補しちゃおうかな~。なんてな」
みんなに背中を押してもらったゼルバさんは、もう一度私の顔を見つめる。とても真剣な表情で、胸がドキドキした。
ゼルバさんはすっと私に右手を差し出すと、お辞儀をするように頭を下げた。
「お願いします、レノンさん! 俺、絶対貴方を大事にします! どうか俺とお付き合いしてください!」
「……」
こんな私にここまで情熱的に告白してくれるなんて……。
そうよ。周りの目なんて関係ないわ。
大事なのは、気持ちよ。私がゼルバさんのことをどう思っているのかが大事なのよ。
ゼルバさんのことは、正直嫌いじゃない。
真面目そうだし、いつもこんな私に話しかけてくれる優しい人だ。本当のことを言うと、私はゼルバさんと会話するほんの少しの時間を、いつも楽しみにしていたのだ。
性格とか好きな食べ物は全然知らないけど、それはこれから知っていけばいい。
勇気を出しなさいレノン。
怖がって逃げてばかりじゃなにも始まらない。
一歩を踏み出すのよ!
私は覚悟を決めるためにキュッと目をつぶった。ゆっくりと目を見開き、目の前で不安そうな表情をしているゼルバさんを見つめる。
彼も不安なんだ。それでも勇気を出して私に告白してくれた。だったら私もその勇気に応えなきゃ――!
私は差し出されたゼルバさんの右手にそっと手を重ねた。
「ゼ、ゼルバさん……。こんな私で良かったら、これから宜しくお願いします」
「!!」
ゼルバさんの顔が、太陽が輝くようにぱあっと明るくなった。
「やった……! やったぁーー!!!」
大声で叫んだので、私はビクッと体を震わせてしまった。そんな私を見て、ゼルバさんは大慌てだ。
「す、すみません。嬉し過ぎてつい……」
「い、いえ……」
周りのお客さんも祝福モードだ。
隣に立つキノルルもポンポンと私の頭を撫でてくれる。
なんか……嬉しい。
すごく嬉しい。
これからどうなるか分からないけど、上手くいくといいな。そんなことを思いながら、私はニコリとゼルバさんに笑いかけた。
「うっ……」
ゼルバさんが真っ赤になってうめく。
どうしたのかと思い目を丸くすると、ゼルバさんが苦しそうに言った。
「レノンさんの笑顔が尊過ぎて、胸が痛い……。これからこの笑顔を独り占めできるのかと思うと、嬉し過ぎて死んでしまう……」
「何言ってんだお前! これからって時に死ぬんじゃねーよ!」
お客さんの一人がそんなことを言ったので、私はクスクスと笑ったのだった。
「こ、困ります」
その言葉を聞いたゼルバさんは、一瞬でしゅんとうなだれてしまった。
「困りますか……。そうですよね。突然俺みたいな変な男に告白されたら気持ち悪いですよね……」
「え!? き、気持ち悪くなんてありませんよ! それは断言できます! で、ですが……私ゼルバさんのこと冒険者ってこと以外なにも知らないし……。それに、私ってつまらない女なんです。そんな女と有名人のゼルバさんでは釣り合わないと思うんです」
私の言葉に、しゅんとうなだれていたゼルバさんは顔を上げて反論した。
「レノンさんはつまらない女性などではありません。笑顔が綺麗で、いつもお仕事に一生懸命な素敵な方です」
「あ、ありがとうございます。で、でも――」
なにか上手い断り方はないかと必死に考える。
だってそうでしょう?
こんなカッコいいゼルバさんと私ではどう頑張ったって釣り合いが取れない。二人で街を歩いたら街ゆく人に『なんであんなカッコいい人と冴えない女が一緒に歩いているのだろう?』と思われるのは必須なのだ。あー、そんなこと思われたくない。この告白は、なんとしてもお断りしなければ。
そんなことを考えていたら、店内のお客さんが集まってきた。みなさん目をキラキラさせて興味津々でゼルバさんに話しかける。
「わぁー。ゼルバさん、レノンちゃんのこと好きなんだー。可愛いですもんね」
「告白、上手くいくといいですねー」
「ゼルバ、いい趣味してんなぁ。俺もレノンちゃんのことはずっと可愛いと思ってたんだ。――頑張れよ!」
わ、わ、わ。
お客さんたちまで巻き込んでるぅー! は、恥ずかしいよぉ。
それに、この空気はなに!?
みんなゼルバさんを応援している。こんな空気の中でごめんなさいをしたら、一瞬で気まずくなってしまう。もしかしたら、私はあのゼルバさんを振った悪女として、一躍有名になってしまうかもしれない。うぅ……どうしよう……。
困り果ててオロオロしていたら、突然キノルルにバンッと背中を叩かれた。私は『キャッ』と小さく叫んでしまう。
「ガハハハ! いーじゃねーかレノン! お試しで付き合ってみろよ! お前彼氏できたことないんだろ? 恋人が出来るってのはいいもんだぞ!」
「で、でも――!」
「気に入らなきゃ振っちまえばいいんだよ! 若いうちは遊んどけ!」
周りのお客さんもうんうんうなずく。
「そうだよレノンちゃん。遊びでいいから一度付き合ってみなよ」
「付き合うって楽しいよぉ~」
「もしゼルバが振られたら、次は俺がレノンちゃんの恋人に立候補しちゃおうかな~。なんてな」
みんなに背中を押してもらったゼルバさんは、もう一度私の顔を見つめる。とても真剣な表情で、胸がドキドキした。
ゼルバさんはすっと私に右手を差し出すと、お辞儀をするように頭を下げた。
「お願いします、レノンさん! 俺、絶対貴方を大事にします! どうか俺とお付き合いしてください!」
「……」
こんな私にここまで情熱的に告白してくれるなんて……。
そうよ。周りの目なんて関係ないわ。
大事なのは、気持ちよ。私がゼルバさんのことをどう思っているのかが大事なのよ。
ゼルバさんのことは、正直嫌いじゃない。
真面目そうだし、いつもこんな私に話しかけてくれる優しい人だ。本当のことを言うと、私はゼルバさんと会話するほんの少しの時間を、いつも楽しみにしていたのだ。
性格とか好きな食べ物は全然知らないけど、それはこれから知っていけばいい。
勇気を出しなさいレノン。
怖がって逃げてばかりじゃなにも始まらない。
一歩を踏み出すのよ!
私は覚悟を決めるためにキュッと目をつぶった。ゆっくりと目を見開き、目の前で不安そうな表情をしているゼルバさんを見つめる。
彼も不安なんだ。それでも勇気を出して私に告白してくれた。だったら私もその勇気に応えなきゃ――!
私は差し出されたゼルバさんの右手にそっと手を重ねた。
「ゼ、ゼルバさん……。こんな私で良かったら、これから宜しくお願いします」
「!!」
ゼルバさんの顔が、太陽が輝くようにぱあっと明るくなった。
「やった……! やったぁーー!!!」
大声で叫んだので、私はビクッと体を震わせてしまった。そんな私を見て、ゼルバさんは大慌てだ。
「す、すみません。嬉し過ぎてつい……」
「い、いえ……」
周りのお客さんも祝福モードだ。
隣に立つキノルルもポンポンと私の頭を撫でてくれる。
なんか……嬉しい。
すごく嬉しい。
これからどうなるか分からないけど、上手くいくといいな。そんなことを思いながら、私はニコリとゼルバさんに笑いかけた。
「うっ……」
ゼルバさんが真っ赤になってうめく。
どうしたのかと思い目を丸くすると、ゼルバさんが苦しそうに言った。
「レノンさんの笑顔が尊過ぎて、胸が痛い……。これからこの笑顔を独り占めできるのかと思うと、嬉し過ぎて死んでしまう……」
「何言ってんだお前! これからって時に死ぬんじゃねーよ!」
お客さんの一人がそんなことを言ったので、私はクスクスと笑ったのだった。
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