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本編

プロローグ, 記憶が蘇りました。

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 あの日俺がまだ5歳で、父上が話があるって呼び出しされた日の事。

(今日は、パパが話があるっていってた。何の話だろう?)

 純粋無垢だったあの日。父上は開けてはいけない扉を、こじ開けられた日。


「ほら、この子が前言っていた子だ。名はアリエルだ。お前の姉になる。」

 父上は、連れてきた栗色の髪にピンク色の瞳の女の子を、愛しそうに見つめながらそう言った。


 その瞬間、頭の中に何かが酷い頭痛と共に流れ込んで来て、そのまま意識を手放した。

 意識を手放す前に一瞬見えたパパの顔は、冷ややかだった。

まるで『もうお前は用無しだな。』と言っているかの様だった。 


 僕はパパとママが大好きだ。でも、パパのこの顔を見て、大好き‼ ってもう思わない。思えないな。

 どうして意識を手放す前なのに、冷静なのかな? 

 もしかして、これが本来の『俺』なのかな?

もう無理、意識が‥‥。





 あの日、意識を手放し そして、知識を得た。その代わりに、父上の愛情を失った。はっきり言って嬉しかった。 
 理由は義姉の存在。義姉の存在は父上の不倫した証拠になっている。そもそも、その事に気づいて居るのか?


 そして、この世界の事も、仕組みも、大体は分かった。歴史、魔系、剣術、マナー以外は。前世の記憶で、妹が俺に無理矢理一緒に攻略させられたゲームだから。殆ど内容を忘れたが‥‥。

 まぁ、それは良いとして、歴史、魔系、剣術、マナーを中心として勉強に励み、13歳での社交界デビューで高評価を得、称号の《青薔薇王子》を得た。


 義姉は、社交界デビューに少々失敗し、笑われて居た。

 皆の前でわざと転んで『テヘ☆』だそ。下位貴族の男性陣は皆ニヤニヤしていて、本当に居心地が悪かった。義姉のドジっ子の振り、俺は下手くそ過ぎて逆にイライラしたぞ。本当に‥‥。


 社交界デビューに失敗することは、はっきり言って当たり前だ。

 俺は、前世に無いマナーを必死に覚えた。勉強も頑張ったが、一番力を入れたのがマナーと魔系だったから。魔系は中二病心を擽られ、めちゃくちゃ楽しかった。


 義姉は父上に甘やかされ、はっきり言って、金食い虫になっていた。父上のお金だけでは無く、母上や兄上の稼いだお金も使っている。金額的に。

 そして勉強も最低限のマナーのみ。そして『自称ヒロイン』をするために、わざと転んで見せた。

 義姉、これは現実だぞ? 

 

 多分、義姉は転生者だ。いつも『私はヒロインだから、何でもして良いの!』と言っているから。


 馬鹿だろ。


 父上は何も言わずにデレデレして居た。俺が失敗したらブチ切れる癖に、父上の個人的株は、記憶が蘇った間、どんどん下がっていき、今ではマイナスだ。


 あぁ、早く学生になりたい。そして早く自立したい。あの金食い虫から逃れたい。それに父上、嫌、自称父上からも。


 学園は15歳からだ。それまでに出来るだけ、お金を集められるかに掛かっている。

 そうしないと、勝手に決められた婚約者を娶らなければならなくなる。



 俺を、父上の代わりに可愛がってくれている母上や兄上には申し訳ないが、俺は自立する。






   

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