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三章
第48話 空を飛ぶ方法
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ここは病院だというのに、一体どこでやるというのだろうと思っていたのだが、裏手に室内演習場があった。
なんでも、怪我等で入院した騎士たちが復帰するために訓練を行えるようにと設けられているらしい。
「気は無し、神術も無しで」
木刀をセスに手渡しながらヒューイが今回のルールを決めた。
木刀、と言葉にはしてみたが正確には刀ではない。木の剣、と言った感じだ。まぁ、めんどくさいので木刀でいいや。
「わかった」
セスも異論を唱えることなく頷いた。
ちなみに見学者は私だけだ。リィンにはどうやら興味がなかったらしい。
セスは動きやすいようにと先程まで着ていた白衣を脱いで、シャツとズボンだけだ。
一方のヒューイもなぜか着ていた鎧を脱いで、カジュアルなポロシャツ風のシャツにズボンと、セスに似た装いをしている。
「君から来ていいよ」
私と戦った時と同じことをセスがヒューイに告げた。
「では、参る」
その言葉と同時にヒューイが地面を蹴った。
速い動作でセスと距離を詰めていき、手前で深く体を落とし剣を横殴りに振りながら飛んだ。
セスはそれを後方に飛んで避けたが、避けられることが想定内だったのであろうヒューイがすぐにまたセスと距離を詰める。
少し高く飛んで上段から降り下ろされたヒューイの木刀を、セスは避けずに受け止めて防いだ。
その後間を入れずにあらゆる方向から速い動作で振られる木刀を、同じようにセスはすべて受け止めて防いでいる。木刀と木刀がぶつかり合う音が演習場に響いた。
不意にセスは、そうやって受け止めていたヒューイの木刀を身を翻すようにヒラリと避け、振り向き様にヒューイに向かって木刀を振った。
流れるような、まるで舞のような動きだった。
ヒューイは慌てることなくそれを木刀で防ぎ、弾くようにして後方へと飛びセスと距離を離した。
「……」
「……」
2人はどちらも仕掛けることなく、お互いを見つめている。
「なかなかの手練れだろうとは思っていたけれど、想定以上だ」
しばらくの沈黙の後、口を開いたのはセスだった。
剣術のことはよくわからないが、セスに幾度となく打ち込むヒューイの動作は速く、無駄のないように見えたし、セスからの攻撃も難なく防いでいた。
私から見てもヒューイが強いのだろう、ということはわかる。
「お誉めいただき光栄だ」
そう言いながらヒューイが再び地面を蹴る。
セスは木刀を構えてそれを待った。先程よりも真剣な顔つきをしている。
ヒューイの振った木刀をセスが受け止める。すぐさまヒューイは体勢を切り替えてセスに突きを繰り出す。
セスはそれを、わずかに体を反らせて避けた。
それからも繰り返されるヒューイの攻撃を、セスは難なく避けたり、木刀で受け流したりしている。
その隙を見て突然セスがヒューイに攻撃を仕掛けた。
ヒューイは速い動作のそれを往なすように受け流し、後方へと飛んでセスとの距離を離した。
だが今度はセスが一瞬でその距離を詰める。
横殴りに振られた木刀を、ヒューイは木刀で受け止めて防いだ。
すぐにセスは木刀を引き、下段から上段へと木刀を振り上げる。
ヒューイはそれも木刀で受け止めたが、わずかに体勢を崩し一歩下がることで何とか踏み留まった。
しかし間髪入れずに体を回すようにして、セスは横殴りに木刀を振る。
強い一撃だった。
一度体勢を崩した体がその力に耐えきれなかったのだろう、木刀で受け止めたもののヒューイの体は後ろへと大きく傾き、地面に左手を付いた。
そのまま後ずさるようにセスとの距離を離す。
だがそれを易々見過ごすセスではなかった。すぐにまた距離を詰め、高い位置からヒューイへと木刀を振り下ろす。
ヒューイは両手で木刀を支え、辛うじて受け止めた。完全に尻餅をついているような格好だ。
「ぐっ…!」
次の瞬間、セスが右足でヒューイの胸を強く踏みつけて、背を硬い床へと叩きつけた。
「……っ」
その容赦ない攻撃に思わず私は息を飲む。
そしてセスは両手で木刀を持ち、ヒューイの首を目掛けてそれを垂直に振り下ろした。
あまりにも冷たい目だった。
まるで本気でヒューイの首に突き立ててしまうのではないかと思うほどに。
ヒューイが腕で頭や首を覆い隠すように守って、僅かに動く体を捻る。
「セス…っ」
咄嗟に止めに入ろうとして足が2歩ほど動いた。
しかし、ヒューイにギリギリ当たらない位置で、セスはピタリと木刀の動きを止めた。
「終わりだ」
ヒューイを踏みつけ、木刀を突き付けたままセスが言う。
あれが本物の剣で、気を込めて振り下ろされたものならば、ヒューイがいくら腕で防いだところであまり意味をなさない。
だから、終わりだ。
セスはヒューイを覗き込むような体勢になっているので、長い髪が横顔を隠していて、その表情は窺い知れない。
多分、元々セスに当てる気はなかったのだろう。それでも思わず止めに入りそうになったほどにその冷たい目が恐怖を感じさせた。
「…完敗だ…」
床に大の字に寝そべってヒューイが言う。その声は掠れていた。
セスは右足と木刀を下げると、そんなヒューイに手を差し出した。
「聞いていた通り強いな…セス。俺の攻撃は何一つ通らなかった。げほっ…ごほ…」
セスが差し出した手に掴まって、ヒューイが立ち上がりながら言った。
先ほどのが苦しかったのか、咳き込んでいる。
「経験の差だ。才能、という面で言えば俺より君の方が上だよ。同じ年月、同じ訓練を積んだら俺なんかより君の方が強くなる」
セスはそう言いながらヒューイに治癒術をかけ始めた。
「そうなのか?それは、嬉しい言葉だが…」
ヒューイは少し照れくさそうにしつつ、セスからの治癒術を受けている。
気も神術も使わない、というルールなのだから、今の戦いがルール違反でもなんでもないというのはわかる。
しかしこれがヒューイの望んだ手合せ、というものなのだろうか。セスも悪いことをしたとは思っていなさそうだし、ヒューイも特に気にした様子はない。
躊躇いもなく人を殺せるセスにしてみたら、これくらい大したこともないのだろう。そういう世界で生きてきたヒューイにとっても、これくらいなんてこともないのだろう。
後で治癒術をかければそれで済むことだ。
だが、私には酷く衝撃的だった。
容赦なくヒューイを踏みつけ、木刀を振り下ろした時のセスの冷たい表情が目に焼き付いて離れない。
「ありがとうセス。貴重な経験をさせてもらった」
ヒューイがセスに握手を求めながら言った。
「いや」
セスも素直にその手を握った。
この戦いでヒューイからそんな感想が出てくることにも、私は驚いた。
ヒューイが先ほど使った木刀を奥の棚へ片づけに行っている間に、セスはまた白衣を羽織った。
ここ数日でずいぶん見慣れたはずのその姿に、酷い違和感を覚える。
不意にセスが私の方を見た。
きっと私は、その瞳に恐怖を浮かべてセスを見ている。
そしてセスもそれに気づいている。
「…俺が、本気でヒューイを突くと思った?」
妖麗に笑ってセスが聞く。
正直に言えば思った。思ったけど、それを口に出すことはできない。
でも私があの時セスの名前を呼んだのは聞こえていたのだろうし、そもそもこうして沈黙していることが肯定を表しているようなものだ。
答えなくてもそう思っていることはセスに伝わってしまっている。
そんな私を見て自嘲気味な笑みを浮かべたセスは、どこか悲しげに見えた。
昼食後、私はヒューイの許可をもらい、先ほどの演習場にやってきた。
セスとヒューイの戦いを見て、私が以前セスと戦ったのは子供のお遊戯レベルだったんだと思い知らされた。
2人の動きは速かった。目で追うのがやっとなくらいの攻撃を、セスもヒューイも当然のように避けていた。
今の私にあれはできない。訓練次第でできるようになるとも思えない。
つまり、懐に入られたら一瞬で終わるということだ。
そうならないためには、懐に入られないようにしなければならない。
しかしセスに私の神術が効かない以上、本気を出されたら簡単に入られてしまう。
となれば、セスの手が届かない所に行くしかない。
空だ。
いくらセスが天族と言えども、羽が生えているわけじゃあるまいしさすがに空は飛べないだろう。
ゲームや漫画のキャラクターみたいにとんでもない高さまでジャンプすることはできるのだろうが、それにも限界はあるはずだ。
まぁ、それよりもまず、私にも羽が生えているわけじゃないのでどうやって空を飛ぶかが問題なのである。
思いつく方法を試してみよう。
一番楽に空に上がれてなおかつ居続けられる方法としては、足元から円柱状に岩を作り出して物理的に上に上がる方法だ。
足元へと手を翳し念じる。
岩の柱を作り出し、その上に乗ることで天井付近まで簡単に到達できた。
が、セスがこれに触れて気を投じればきっと簡単に崩れてしまう。崩されてしまっては蟻地獄に引っかかった蟻のごとく下で待ち構えるセスにやられるだけだ。
私は岩の柱を崩し、下へと落下した。
この高さから華麗に着地などできないので、地面との間に爆風を起こして落下の衝撃を和らげる。
そう、その爆風で空に上がる方法というのも考えた。
だがそれは一過性のものであり、高く上がれはするものの居続けることができない。ずっと下から風を送り続けるのも現実的ではない。
最終手段、物理的に羽を作り出す方法。
私が使える術は4大元素。火、水、風、地である。
この中で物理的に羽を作り出せそうなのは地だろうか。氷でも作れそうな気はするが、混合術のため難易度は上がる。
土で羽を作るとして、それを柔軟に動かすためには事細かに作り出さなければならない。が、事細かな羽の構造など私は知らない。
とりあえず厨二病よろしく天使の羽っぽいものをまず作ってみよう。
「地よ、我が背に羽を作り給え」
念じるだけだと難しそうなのでまずは詠唱する。
よくある天使の羽っぽいものが背中に生えた。見た目は完璧だ。茶色いけど。
が、重い。
土でできているのだから当然か。背中が引っ張られて立っているのが難しい。
それをバッサバッサと動かしてみたら転んだ。飛ぶどころの話じゃない。かと言って羽を小さくしても飛べないだろうし、この方法では無理そうだ。
ただの人間が空を飛ぼうなどと愚かな考えだったのだろうか。
もしエルフが何かしらの手段を使って空を飛べるのだとするならば、すでに他の人がやっている気もする。
誰もそんな奇抜なことをしていないということは無理なのだろう。
いや、でもそれはこうしてやってみなければ私にはわからなかったことだ。決して無駄なことじゃなかった。と思いたい。
とにかく、空を飛ぶ方法が見つからない以上、懐に入られない方法を他で考えなければならない。
他の人はどうやって戦うのだろう。強い剣士と強い術師の戦いというものを一度見てみたいな。
「さっき、どこへ行っていたの?」
夕方、部屋へとやってきたセスが私に聞いた。
点滴が外れてからはセスもこの部屋にいない時間が増えた。どこで何をしているのかはわからないが、私が演習場へ行こうと思った時にもいなかったので、どこへ行くのかは伝えて行かなかった。
「演習場」
「1人で?」
私の言葉が意外だったようで、驚きの顔でそう聞かれた。
「うん」
「何をしに?」
「研究…かな?」
「何の?」
ずいぶんと興味津々の様子だ。
普段口数の少ない人から次々と質問が飛び出してくるのは中々面白い。
「空を飛ぶ研究」
「空を飛ぶ…?」
意味がわからないといった顔でセスは私の言葉を復唱した。
「セスと戦った時に懐に入られないようにするために。空を飛べたらさすがにセスも届かないかと思って」
正直に話した。
隠したところで意味もない。セスは敵ではないのだから、私が強くなるためには助言もくれるはずだ。
「なるほど。そう思ったのはさっきのを見てかな」
私の突拍子もない思い付きを茶化すこともなく、セスは真面目にそう聞いてきた。
「うん。あんな攻撃、僕は避けられない。だから最初から手の届かないところに行きたい」
「そうだね。俺を相手にするなら、空を飛ぶというのは有効な手段だ。俺からの攻撃は届かなくなる。だからと言って君の攻撃が届くかというとまた別の問題だけどね」
「そこなんだよね」
そう。セスの攻撃が届かなくなるというだけの話であって、セスに攻撃を当てられるという訳ではない。
しかし"俺を相手にするなら"とはどういう意味だろう。まるで空を飛べる人が普通に存在しているかのような言い方に聞こえる。
「天族には空を飛べる人がいるの?」
「いるよ。羽を持つ種族もいるし、飛行能力を持つ種族もいる」
「なるほど…じゃああんまり意味もないのか…」
空を飛ぶことで解決できるのはセスから懐に入られない、ということだけだ。
セスを倒せるわけでもなく、飛行系能力者にも意味をなさない。
「まぁ、でも手段の一つとしてあってもいいとは思うけどね」
意外にも無駄なこととはセスは言わなかった。
そんなことをするより真っ向勝負で勝てる方法を考えた方がいいと言われると思っていた。
「そもそも、僕じゃ空を飛ぶことはできなかった」
「エルフの能力では瞬発的に高く飛べても滞空するのは難しそうだね」
もう何もかもお見通しのような感じだ。
それでも馬鹿にされているわけじゃなくて、真剣に意見をくれているので全然いいのだけど。
「…現実的なのは調教された天獣を買うことかな。ケルデスっていう人1人くらいなら持ち上げて飛べる鳥がいるんだけど、それに掴まって空へと上がる方法だ。ただ、調教されたケルデスがどれくらいこちらの意思通りに動いてくれるものなのかわからないんだけどね」
「天獣?」
方法を考えてくれていたらしいセスが沈黙の後に聞きなれない言葉を口にした。天獣とは初めて聞く単語だ。モンスターとは違うのだろうか。
「モンスターではない動物のことだ。神属性の動物を天獣、魔属性の動物を魔獣という」
「あぁ、なるほど」
思いの外単純なものだった。
言い方に種類があるだけでただの動物ってことか。
「調教されたケルデスが売られているってこと?」
「そうだね。騎乗用とか、運搬用とか、さまざまな用途に対応する動物を調教して、販売や貸し出しをしている業者がいる」
「あー、そういえば前に父が狩りに行くのに騎乗用の獣を借りてた」
行きは乗って行けるし、帰りは荷物を乗せられるから、と確か父は騎乗用の獣をレンタルしてフィンキーを狩りに行っていた。
「それと同じような感じで、たまにケルデスも売られていたりする。おそらく、高所へ人や物を運んだりするのに使われているんだと思うから、君の意図する使い方もできそうだなとは思う」
「なるほどなぁ」
鳥に掴まって空を飛ぶなんて思いつきもしなかった。というか、それができるような鳥がいることすら知らなかったし、ましてやそれが調教されて売られているなんて。
「いくらするんだろ、ケルデス」
「さぁ…白金貨3枚くらいかな?」
私の呟きにセスが推測で答えてくれた。
高いと言うべきなのか安いと言うべきなのかわからない。前世で30万円のペットとして考えると高いけど、この世界で30万円で空を飛べると考えるなら安いような。
買えなくはないし、買ってみてもいいかもしれない。鳥のペットとかちょっとかっこいいし。
「こちらの指示通りにケルデスが動いてくれないと、遠距離からの攻撃で撃ち落されそうだけどね」
「確かに…」
ただ掴まって滞空しているだけでは撃ち落してくださいと言っているようなものだ。
ちゃんと行きたい方向へ行ってくれるか、もしくは自分で遠距離攻撃を迎撃するかしないと。
「でもこうやって色々な可能性を模索することはいいことだ。思いもよらない方法で場をひっくり返すことだってできるかもしれないからね」
「場をひっくり返してみたいよ」
セスの言葉に苦笑いを返す。
今の状況じゃひっくり返すどころかビクともしなさそうだ。
いつかセスに一撃でもいいから与えてみたい。
なんでも、怪我等で入院した騎士たちが復帰するために訓練を行えるようにと設けられているらしい。
「気は無し、神術も無しで」
木刀をセスに手渡しながらヒューイが今回のルールを決めた。
木刀、と言葉にはしてみたが正確には刀ではない。木の剣、と言った感じだ。まぁ、めんどくさいので木刀でいいや。
「わかった」
セスも異論を唱えることなく頷いた。
ちなみに見学者は私だけだ。リィンにはどうやら興味がなかったらしい。
セスは動きやすいようにと先程まで着ていた白衣を脱いで、シャツとズボンだけだ。
一方のヒューイもなぜか着ていた鎧を脱いで、カジュアルなポロシャツ風のシャツにズボンと、セスに似た装いをしている。
「君から来ていいよ」
私と戦った時と同じことをセスがヒューイに告げた。
「では、参る」
その言葉と同時にヒューイが地面を蹴った。
速い動作でセスと距離を詰めていき、手前で深く体を落とし剣を横殴りに振りながら飛んだ。
セスはそれを後方に飛んで避けたが、避けられることが想定内だったのであろうヒューイがすぐにまたセスと距離を詰める。
少し高く飛んで上段から降り下ろされたヒューイの木刀を、セスは避けずに受け止めて防いだ。
その後間を入れずにあらゆる方向から速い動作で振られる木刀を、同じようにセスはすべて受け止めて防いでいる。木刀と木刀がぶつかり合う音が演習場に響いた。
不意にセスは、そうやって受け止めていたヒューイの木刀を身を翻すようにヒラリと避け、振り向き様にヒューイに向かって木刀を振った。
流れるような、まるで舞のような動きだった。
ヒューイは慌てることなくそれを木刀で防ぎ、弾くようにして後方へと飛びセスと距離を離した。
「……」
「……」
2人はどちらも仕掛けることなく、お互いを見つめている。
「なかなかの手練れだろうとは思っていたけれど、想定以上だ」
しばらくの沈黙の後、口を開いたのはセスだった。
剣術のことはよくわからないが、セスに幾度となく打ち込むヒューイの動作は速く、無駄のないように見えたし、セスからの攻撃も難なく防いでいた。
私から見てもヒューイが強いのだろう、ということはわかる。
「お誉めいただき光栄だ」
そう言いながらヒューイが再び地面を蹴る。
セスは木刀を構えてそれを待った。先程よりも真剣な顔つきをしている。
ヒューイの振った木刀をセスが受け止める。すぐさまヒューイは体勢を切り替えてセスに突きを繰り出す。
セスはそれを、わずかに体を反らせて避けた。
それからも繰り返されるヒューイの攻撃を、セスは難なく避けたり、木刀で受け流したりしている。
その隙を見て突然セスがヒューイに攻撃を仕掛けた。
ヒューイは速い動作のそれを往なすように受け流し、後方へと飛んでセスとの距離を離した。
だが今度はセスが一瞬でその距離を詰める。
横殴りに振られた木刀を、ヒューイは木刀で受け止めて防いだ。
すぐにセスは木刀を引き、下段から上段へと木刀を振り上げる。
ヒューイはそれも木刀で受け止めたが、わずかに体勢を崩し一歩下がることで何とか踏み留まった。
しかし間髪入れずに体を回すようにして、セスは横殴りに木刀を振る。
強い一撃だった。
一度体勢を崩した体がその力に耐えきれなかったのだろう、木刀で受け止めたもののヒューイの体は後ろへと大きく傾き、地面に左手を付いた。
そのまま後ずさるようにセスとの距離を離す。
だがそれを易々見過ごすセスではなかった。すぐにまた距離を詰め、高い位置からヒューイへと木刀を振り下ろす。
ヒューイは両手で木刀を支え、辛うじて受け止めた。完全に尻餅をついているような格好だ。
「ぐっ…!」
次の瞬間、セスが右足でヒューイの胸を強く踏みつけて、背を硬い床へと叩きつけた。
「……っ」
その容赦ない攻撃に思わず私は息を飲む。
そしてセスは両手で木刀を持ち、ヒューイの首を目掛けてそれを垂直に振り下ろした。
あまりにも冷たい目だった。
まるで本気でヒューイの首に突き立ててしまうのではないかと思うほどに。
ヒューイが腕で頭や首を覆い隠すように守って、僅かに動く体を捻る。
「セス…っ」
咄嗟に止めに入ろうとして足が2歩ほど動いた。
しかし、ヒューイにギリギリ当たらない位置で、セスはピタリと木刀の動きを止めた。
「終わりだ」
ヒューイを踏みつけ、木刀を突き付けたままセスが言う。
あれが本物の剣で、気を込めて振り下ろされたものならば、ヒューイがいくら腕で防いだところであまり意味をなさない。
だから、終わりだ。
セスはヒューイを覗き込むような体勢になっているので、長い髪が横顔を隠していて、その表情は窺い知れない。
多分、元々セスに当てる気はなかったのだろう。それでも思わず止めに入りそうになったほどにその冷たい目が恐怖を感じさせた。
「…完敗だ…」
床に大の字に寝そべってヒューイが言う。その声は掠れていた。
セスは右足と木刀を下げると、そんなヒューイに手を差し出した。
「聞いていた通り強いな…セス。俺の攻撃は何一つ通らなかった。げほっ…ごほ…」
セスが差し出した手に掴まって、ヒューイが立ち上がりながら言った。
先ほどのが苦しかったのか、咳き込んでいる。
「経験の差だ。才能、という面で言えば俺より君の方が上だよ。同じ年月、同じ訓練を積んだら俺なんかより君の方が強くなる」
セスはそう言いながらヒューイに治癒術をかけ始めた。
「そうなのか?それは、嬉しい言葉だが…」
ヒューイは少し照れくさそうにしつつ、セスからの治癒術を受けている。
気も神術も使わない、というルールなのだから、今の戦いがルール違反でもなんでもないというのはわかる。
しかしこれがヒューイの望んだ手合せ、というものなのだろうか。セスも悪いことをしたとは思っていなさそうだし、ヒューイも特に気にした様子はない。
躊躇いもなく人を殺せるセスにしてみたら、これくらい大したこともないのだろう。そういう世界で生きてきたヒューイにとっても、これくらいなんてこともないのだろう。
後で治癒術をかければそれで済むことだ。
だが、私には酷く衝撃的だった。
容赦なくヒューイを踏みつけ、木刀を振り下ろした時のセスの冷たい表情が目に焼き付いて離れない。
「ありがとうセス。貴重な経験をさせてもらった」
ヒューイがセスに握手を求めながら言った。
「いや」
セスも素直にその手を握った。
この戦いでヒューイからそんな感想が出てくることにも、私は驚いた。
ヒューイが先ほど使った木刀を奥の棚へ片づけに行っている間に、セスはまた白衣を羽織った。
ここ数日でずいぶん見慣れたはずのその姿に、酷い違和感を覚える。
不意にセスが私の方を見た。
きっと私は、その瞳に恐怖を浮かべてセスを見ている。
そしてセスもそれに気づいている。
「…俺が、本気でヒューイを突くと思った?」
妖麗に笑ってセスが聞く。
正直に言えば思った。思ったけど、それを口に出すことはできない。
でも私があの時セスの名前を呼んだのは聞こえていたのだろうし、そもそもこうして沈黙していることが肯定を表しているようなものだ。
答えなくてもそう思っていることはセスに伝わってしまっている。
そんな私を見て自嘲気味な笑みを浮かべたセスは、どこか悲しげに見えた。
昼食後、私はヒューイの許可をもらい、先ほどの演習場にやってきた。
セスとヒューイの戦いを見て、私が以前セスと戦ったのは子供のお遊戯レベルだったんだと思い知らされた。
2人の動きは速かった。目で追うのがやっとなくらいの攻撃を、セスもヒューイも当然のように避けていた。
今の私にあれはできない。訓練次第でできるようになるとも思えない。
つまり、懐に入られたら一瞬で終わるということだ。
そうならないためには、懐に入られないようにしなければならない。
しかしセスに私の神術が効かない以上、本気を出されたら簡単に入られてしまう。
となれば、セスの手が届かない所に行くしかない。
空だ。
いくらセスが天族と言えども、羽が生えているわけじゃあるまいしさすがに空は飛べないだろう。
ゲームや漫画のキャラクターみたいにとんでもない高さまでジャンプすることはできるのだろうが、それにも限界はあるはずだ。
まぁ、それよりもまず、私にも羽が生えているわけじゃないのでどうやって空を飛ぶかが問題なのである。
思いつく方法を試してみよう。
一番楽に空に上がれてなおかつ居続けられる方法としては、足元から円柱状に岩を作り出して物理的に上に上がる方法だ。
足元へと手を翳し念じる。
岩の柱を作り出し、その上に乗ることで天井付近まで簡単に到達できた。
が、セスがこれに触れて気を投じればきっと簡単に崩れてしまう。崩されてしまっては蟻地獄に引っかかった蟻のごとく下で待ち構えるセスにやられるだけだ。
私は岩の柱を崩し、下へと落下した。
この高さから華麗に着地などできないので、地面との間に爆風を起こして落下の衝撃を和らげる。
そう、その爆風で空に上がる方法というのも考えた。
だがそれは一過性のものであり、高く上がれはするものの居続けることができない。ずっと下から風を送り続けるのも現実的ではない。
最終手段、物理的に羽を作り出す方法。
私が使える術は4大元素。火、水、風、地である。
この中で物理的に羽を作り出せそうなのは地だろうか。氷でも作れそうな気はするが、混合術のため難易度は上がる。
土で羽を作るとして、それを柔軟に動かすためには事細かに作り出さなければならない。が、事細かな羽の構造など私は知らない。
とりあえず厨二病よろしく天使の羽っぽいものをまず作ってみよう。
「地よ、我が背に羽を作り給え」
念じるだけだと難しそうなのでまずは詠唱する。
よくある天使の羽っぽいものが背中に生えた。見た目は完璧だ。茶色いけど。
が、重い。
土でできているのだから当然か。背中が引っ張られて立っているのが難しい。
それをバッサバッサと動かしてみたら転んだ。飛ぶどころの話じゃない。かと言って羽を小さくしても飛べないだろうし、この方法では無理そうだ。
ただの人間が空を飛ぼうなどと愚かな考えだったのだろうか。
もしエルフが何かしらの手段を使って空を飛べるのだとするならば、すでに他の人がやっている気もする。
誰もそんな奇抜なことをしていないということは無理なのだろう。
いや、でもそれはこうしてやってみなければ私にはわからなかったことだ。決して無駄なことじゃなかった。と思いたい。
とにかく、空を飛ぶ方法が見つからない以上、懐に入られない方法を他で考えなければならない。
他の人はどうやって戦うのだろう。強い剣士と強い術師の戦いというものを一度見てみたいな。
「さっき、どこへ行っていたの?」
夕方、部屋へとやってきたセスが私に聞いた。
点滴が外れてからはセスもこの部屋にいない時間が増えた。どこで何をしているのかはわからないが、私が演習場へ行こうと思った時にもいなかったので、どこへ行くのかは伝えて行かなかった。
「演習場」
「1人で?」
私の言葉が意外だったようで、驚きの顔でそう聞かれた。
「うん」
「何をしに?」
「研究…かな?」
「何の?」
ずいぶんと興味津々の様子だ。
普段口数の少ない人から次々と質問が飛び出してくるのは中々面白い。
「空を飛ぶ研究」
「空を飛ぶ…?」
意味がわからないといった顔でセスは私の言葉を復唱した。
「セスと戦った時に懐に入られないようにするために。空を飛べたらさすがにセスも届かないかと思って」
正直に話した。
隠したところで意味もない。セスは敵ではないのだから、私が強くなるためには助言もくれるはずだ。
「なるほど。そう思ったのはさっきのを見てかな」
私の突拍子もない思い付きを茶化すこともなく、セスは真面目にそう聞いてきた。
「うん。あんな攻撃、僕は避けられない。だから最初から手の届かないところに行きたい」
「そうだね。俺を相手にするなら、空を飛ぶというのは有効な手段だ。俺からの攻撃は届かなくなる。だからと言って君の攻撃が届くかというとまた別の問題だけどね」
「そこなんだよね」
そう。セスの攻撃が届かなくなるというだけの話であって、セスに攻撃を当てられるという訳ではない。
しかし"俺を相手にするなら"とはどういう意味だろう。まるで空を飛べる人が普通に存在しているかのような言い方に聞こえる。
「天族には空を飛べる人がいるの?」
「いるよ。羽を持つ種族もいるし、飛行能力を持つ種族もいる」
「なるほど…じゃああんまり意味もないのか…」
空を飛ぶことで解決できるのはセスから懐に入られない、ということだけだ。
セスを倒せるわけでもなく、飛行系能力者にも意味をなさない。
「まぁ、でも手段の一つとしてあってもいいとは思うけどね」
意外にも無駄なこととはセスは言わなかった。
そんなことをするより真っ向勝負で勝てる方法を考えた方がいいと言われると思っていた。
「そもそも、僕じゃ空を飛ぶことはできなかった」
「エルフの能力では瞬発的に高く飛べても滞空するのは難しそうだね」
もう何もかもお見通しのような感じだ。
それでも馬鹿にされているわけじゃなくて、真剣に意見をくれているので全然いいのだけど。
「…現実的なのは調教された天獣を買うことかな。ケルデスっていう人1人くらいなら持ち上げて飛べる鳥がいるんだけど、それに掴まって空へと上がる方法だ。ただ、調教されたケルデスがどれくらいこちらの意思通りに動いてくれるものなのかわからないんだけどね」
「天獣?」
方法を考えてくれていたらしいセスが沈黙の後に聞きなれない言葉を口にした。天獣とは初めて聞く単語だ。モンスターとは違うのだろうか。
「モンスターではない動物のことだ。神属性の動物を天獣、魔属性の動物を魔獣という」
「あぁ、なるほど」
思いの外単純なものだった。
言い方に種類があるだけでただの動物ってことか。
「調教されたケルデスが売られているってこと?」
「そうだね。騎乗用とか、運搬用とか、さまざまな用途に対応する動物を調教して、販売や貸し出しをしている業者がいる」
「あー、そういえば前に父が狩りに行くのに騎乗用の獣を借りてた」
行きは乗って行けるし、帰りは荷物を乗せられるから、と確か父は騎乗用の獣をレンタルしてフィンキーを狩りに行っていた。
「それと同じような感じで、たまにケルデスも売られていたりする。おそらく、高所へ人や物を運んだりするのに使われているんだと思うから、君の意図する使い方もできそうだなとは思う」
「なるほどなぁ」
鳥に掴まって空を飛ぶなんて思いつきもしなかった。というか、それができるような鳥がいることすら知らなかったし、ましてやそれが調教されて売られているなんて。
「いくらするんだろ、ケルデス」
「さぁ…白金貨3枚くらいかな?」
私の呟きにセスが推測で答えてくれた。
高いと言うべきなのか安いと言うべきなのかわからない。前世で30万円のペットとして考えると高いけど、この世界で30万円で空を飛べると考えるなら安いような。
買えなくはないし、買ってみてもいいかもしれない。鳥のペットとかちょっとかっこいいし。
「こちらの指示通りにケルデスが動いてくれないと、遠距離からの攻撃で撃ち落されそうだけどね」
「確かに…」
ただ掴まって滞空しているだけでは撃ち落してくださいと言っているようなものだ。
ちゃんと行きたい方向へ行ってくれるか、もしくは自分で遠距離攻撃を迎撃するかしないと。
「でもこうやって色々な可能性を模索することはいいことだ。思いもよらない方法で場をひっくり返すことだってできるかもしれないからね」
「場をひっくり返してみたいよ」
セスの言葉に苦笑いを返す。
今の状況じゃひっくり返すどころかビクともしなさそうだ。
いつかセスに一撃でもいいから与えてみたい。
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