1 / 51
プロローグ:クラス転移
しおりを挟む
高校に通うことが当たり前の平穏な世界。
俺たちの誰もが明日も同じような日常を繰り返すと思っていたーー
★
「昨日も彼女とデートしてさぁ」
「えぇ! いいなあ、俺も彼女作ってデートしてえ!」
「お前に彼女なんてできるかよ!」
「「「アハハハッ!」」」
クラスの少し不良の入った生徒三人が窓際で騒いでいる。
「いやしかし、なんでアイツが姫草さんに優しくされて俺らが無視されなきゃいけねえんだよ」
不良達はそう言って俺の方を睨んできた。
「まだマシだろ。俺なんて話しかけたら睨まれたんだぜ? やっぱり顔より性格だよ、せ・い・か・く! お前の彼女が羨ましいぜぇ!」
「なんてったって俺の彼女は顔も性格もサイッコーだからな!」
不良の一人がわざとらしく言い放つ。その声音には優越感が感じられ、うざい。
「おや? 何も言い返さないのか、西宮 悠河君?」
ついには名前まで出してきた。こうなったらスルーし続けることはできない。
俺は仕方なく、ため息を吐きながら視線を不良へやってやった。
「あまりにくだらなかったから返す言葉もねえよ」
微笑を浮かべてそう言ってやると、不良達は顔を真っ赤にして距離を詰めてきた。拳は握られており、暴力を振るわれるのだろう。
「西宮ァ。あんまり舐めた口聞いてると殺すぞ?」
「ぐっ!」
そう言って一人が無防備な腹部にパンチを入れてきた。鈍い痛みに顔が歪む。
不良達はその表情を見てニヤニヤと嗤っている。
「やめなよ、暴力はいけない」
「……チッ」
そこに割って入ったのは真田 正宗だ。学級委員長の他にも生徒会副会長を務め、運動も勉強もできる黒髪のイケメンだ。
しかし……
「……君も、これ以上痛い目を見たくなかったら遥から手を引くんだな」
委員長の実態はあちら側だ。彼も遥ーー姫草 遥を想っていて、遥の俺への態度を快く思っていない。今回も委員長の仕事として、彼らを止めただけらしい。
まあ、委員長の本心を知らない周囲の女子の好感度はバカ上がりみたいだが。
「出してない手をどうやって引くんだよ……」
こんな嫌味やいじめが一ヶ月続いている。もちろん今まで通り会話してくれる人もいるが、やはり精神的にクる。
状況を悪化させているのは、俺の目の前にいる学年一の美少女といわれているこいつなんだが……。
「悠河。お弁当頂戴」
「はぁ……。お前話しかけられたら返事くらいしてやれよ」
俺の言葉に、遥は頬を膨らまして抗議した。
「遥って呼んで」
「遥、返事くらい返してやれ」
「嫌。悠河をいじめる人なんて顔も見たくない」
いじめが悪化しているのはそのせいなんだが。とは言えない。
ここは飯で釣ろう。
「明日の弁当オムレツ入れてやるから」
「えっ! ……分かった、返事はする」
オムレツという単語で顔に花が咲いた。しかしそれも一瞬で、けれども口元が緩んでいる姿が可愛い。
そこに、委員長が近づいてきた。
「遥、俺も弁当作ってきたんだ。良かったら食べてくれ」
委員長は片手に持った弁当箱を遥に差し出した。
それを見た遥は俺が出した弁当を手に取り、何故かとても穏やかな笑みを浮かべた。
猛烈に嫌な予感がするなか、遥の口が開く。
「ごめんなさい。私の胃袋もう掴まれてるから」
「なっ!? そ、そうなのかい」
断られる事は頭の中になかったようで、驚いた様子の委員長。踵を返し遥から離れていくときにはしっかりと俺を射殺すような目で睨んでいた。ため息しかでない。
「それじゃあ、私帰るね……ん? 扉が開かない」
遥が力任せに引き戸を引くが、ガタガタと揺れるだけで開く気配はない。
「うわっ!」
刹那、床に幾何学的な紋様が現れ白く発光しだした。教室が騒然とする。窓を叩き割ってでも出ようとする者、丸くなってビクビクと震えている者、恐怖と不安で叫び出す者。ここぞとばかりに俺に抱きついて「えへへ~」と痴態を晒している者……
教室が光に包まれ、最後に視界に映ったのは、艶やかな綺麗な黒髪だった。
俺たちの誰もが明日も同じような日常を繰り返すと思っていたーー
★
「昨日も彼女とデートしてさぁ」
「えぇ! いいなあ、俺も彼女作ってデートしてえ!」
「お前に彼女なんてできるかよ!」
「「「アハハハッ!」」」
クラスの少し不良の入った生徒三人が窓際で騒いでいる。
「いやしかし、なんでアイツが姫草さんに優しくされて俺らが無視されなきゃいけねえんだよ」
不良達はそう言って俺の方を睨んできた。
「まだマシだろ。俺なんて話しかけたら睨まれたんだぜ? やっぱり顔より性格だよ、せ・い・か・く! お前の彼女が羨ましいぜぇ!」
「なんてったって俺の彼女は顔も性格もサイッコーだからな!」
不良の一人がわざとらしく言い放つ。その声音には優越感が感じられ、うざい。
「おや? 何も言い返さないのか、西宮 悠河君?」
ついには名前まで出してきた。こうなったらスルーし続けることはできない。
俺は仕方なく、ため息を吐きながら視線を不良へやってやった。
「あまりにくだらなかったから返す言葉もねえよ」
微笑を浮かべてそう言ってやると、不良達は顔を真っ赤にして距離を詰めてきた。拳は握られており、暴力を振るわれるのだろう。
「西宮ァ。あんまり舐めた口聞いてると殺すぞ?」
「ぐっ!」
そう言って一人が無防備な腹部にパンチを入れてきた。鈍い痛みに顔が歪む。
不良達はその表情を見てニヤニヤと嗤っている。
「やめなよ、暴力はいけない」
「……チッ」
そこに割って入ったのは真田 正宗だ。学級委員長の他にも生徒会副会長を務め、運動も勉強もできる黒髪のイケメンだ。
しかし……
「……君も、これ以上痛い目を見たくなかったら遥から手を引くんだな」
委員長の実態はあちら側だ。彼も遥ーー姫草 遥を想っていて、遥の俺への態度を快く思っていない。今回も委員長の仕事として、彼らを止めただけらしい。
まあ、委員長の本心を知らない周囲の女子の好感度はバカ上がりみたいだが。
「出してない手をどうやって引くんだよ……」
こんな嫌味やいじめが一ヶ月続いている。もちろん今まで通り会話してくれる人もいるが、やはり精神的にクる。
状況を悪化させているのは、俺の目の前にいる学年一の美少女といわれているこいつなんだが……。
「悠河。お弁当頂戴」
「はぁ……。お前話しかけられたら返事くらいしてやれよ」
俺の言葉に、遥は頬を膨らまして抗議した。
「遥って呼んで」
「遥、返事くらい返してやれ」
「嫌。悠河をいじめる人なんて顔も見たくない」
いじめが悪化しているのはそのせいなんだが。とは言えない。
ここは飯で釣ろう。
「明日の弁当オムレツ入れてやるから」
「えっ! ……分かった、返事はする」
オムレツという単語で顔に花が咲いた。しかしそれも一瞬で、けれども口元が緩んでいる姿が可愛い。
そこに、委員長が近づいてきた。
「遥、俺も弁当作ってきたんだ。良かったら食べてくれ」
委員長は片手に持った弁当箱を遥に差し出した。
それを見た遥は俺が出した弁当を手に取り、何故かとても穏やかな笑みを浮かべた。
猛烈に嫌な予感がするなか、遥の口が開く。
「ごめんなさい。私の胃袋もう掴まれてるから」
「なっ!? そ、そうなのかい」
断られる事は頭の中になかったようで、驚いた様子の委員長。踵を返し遥から離れていくときにはしっかりと俺を射殺すような目で睨んでいた。ため息しかでない。
「それじゃあ、私帰るね……ん? 扉が開かない」
遥が力任せに引き戸を引くが、ガタガタと揺れるだけで開く気配はない。
「うわっ!」
刹那、床に幾何学的な紋様が現れ白く発光しだした。教室が騒然とする。窓を叩き割ってでも出ようとする者、丸くなってビクビクと震えている者、恐怖と不安で叫び出す者。ここぞとばかりに俺に抱きついて「えへへ~」と痴態を晒している者……
教室が光に包まれ、最後に視界に映ったのは、艶やかな綺麗な黒髪だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
構造理解で始めるゼロからの文明開拓
TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。
適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。
だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――!
――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる