クラス転移したら俺だけ五年後の世界転生させられた件

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第1話:ロリ神様のミス

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 瞼の裏にまで焼きついた眩い光が漸く収まったので、目を開けるとそこには何もなかった・・・・・・。ただ白く見えるだけの虚無。上下左右、立っているのか寝ているのかも分からない世界に俺はいた。

「なんだここ!? 気持ち悪っ」
  
「こりゃ失敬失敬。今まで誰もなんにも言わなかったから空間を固定するのを忘れてたよ」
  
 しかし、声のした背後を振り返ると、そこには黒髪をツインテールに結ったロリがいた。

「うおっ!?」

「ふふん、この超絶グラマラスボディに驚いたかな? そりゃそーだよ、上から九十五、五八、百なんだから」

 そう言ってロリは胸を張るが、それが揺れる気配は皆無だ。
 虚しすぎる。

「泣きそうだわ」

「煩いな! ……こほん、えー私は女神、アールです。ちょっと違う世界の神から連絡があって、何十名かの魂をくれということで、あなた方のひとクラス+一人を異世界に送ることになりました。西宮 悠河さん、あなたはこれから人間の勇者召喚で呼び出され、魔王を倒して世界を救って下さいと次の次の次の次の次の次の次……くらいに可愛い王女様にお願いされます」

「どんだけ下に見てんだよっ!」

「十の三十乗くらいしたかな」 

「見下しすぎだろ……」

自信満々という表情はなんだか腹がたつが、ここで喧嘩を売ってもなにも得られないだろう。
なので、素直に疑問を尋ねることにする。

「勇者って、魔王を倒したりするあの?」

「そうだね、まさしくその通りかも」

思わず顔をしかめる。本当に異世界に行くのかすら半信半疑だが、勇者は、物語フィクションでは苦難を乗り越えて最終的に魔王を倒す。
しかし、俺が実際にやるとなると、多くの困難を打ち破れるかわからない。もしかしたら道半ばで命を落とすかもしれない。
そう考えると、勇者には乗り気ではない。

「……勇者になりたくないと言ったら?」

 途端、イラつく表情が霧散し、さっきまでの顔とは考えられない冷徹な眼をこちらにぶつけてきた。

「拒否権はありません。流れに沿って、フラグを回収して魔王をぶっ殺して下さい。それがあなた方の転移に、召喚による因果であり、使命です」      

 その言い分に、俺は怒りを覚えた。俺が望んだわけでもないのに、拒否権はないだなんて、おかしすぎる。
  
「勝手なことしておいて随分な言い草だな。生き方は俺たちの自由だろ?」

「生意気な子は転移後不利にするよ?」

「脅迫して誤魔化すのか? 女神は体型の上に親切心も足りないんだな」

 その言葉を聞いた瞬間、アールの瞳が揺れた。

「んなっ、あなたは女神に言っちゃいけないことを言ったよ! 誤魔化したのは、それこそ私の親切心だったのに、もう話しちゃうもんね!」

 ぷんぷんと怒るも、チラッチラッとこちらの様子を伺うアール。一変した雰囲気に脱力してしまいそうになる。そして、ことの重大さも軽く見積もった。
 だから、軽率な気持ちで許可してしまった。

「どうぞ」

「……いいんですね? 本当に言いますよ?」

「ああ」

再三の確認も、無碍にした。

「あなた方の学校は三時限目の化学の実験で、老朽化で充満していたガスが大爆発し、生存者は二桁しかいませんでした」

「いや、そんなはず……」

 ウチの学校の規模は結構大きく、全学年合わせて千人を超える。その中で生存者が二桁なら、どれだけの規模の爆発なんだと鼻で笑いたいが、アールの大きな双眸に見つめられ言葉に詰まる。

「本当です。若くして潰える魂を輪廻に流してしまうのならと思い、あなた方を選んだのです」

 アールの言葉には妙な信憑性があった。それは、彼女のもつ神性ゆえなのかもしれないが。
 なおも彼女は声を紡ぐ。

「地球の女神である私が、我が子同然のあなた方に意味もなくこんな身勝手なことはできません。ただこんな悲惨な死を遂げるなら、頼まれていた異世界転移をさせることで、満足のいく人生を送って欲しかったのです」

 アールに対する印象がガラリと変わった。
 彼女はただふざけていただけではないのだ。ふざけることで自分に目を向けさせ、召喚された理由から目を逸らさせるように仕向けていたのだ。

「そっか、俺たちを気遣って……」

「そう言うことです。それでは、私の休憩時間が減るので、『愛しさの我が子に幸あらんことを』」

 アールの宣言に伴い、教室の時と同じように白い光が視界を覆い尽くした。

「ちょ、まだ聞きたいことがあるんだけどっ」

「異世界転移、ポチッとな……あっ、まちがーー」

「え、えぇぇぇぇぇーー」

 不穏な、とても不穏なワードを聞いて、俺の意識は溶けて消えた。
 残されたのは女神アールただ一人。

「……転移ボタンを転生ボタンと間違えちゃった。ま、いっか。勇者に犠牲はつきものなんだから、その宿命から離れられることになったんだから」

 彼女は鼻歌を歌いながら虚空に消えた。
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