VirtualBox 【ヴァーチャルボックス】

古賀 次郎

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一章

再会

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【再会】

死刑囚の私をずっと支えてくれていたジャンが現実に目の前にいる
「ジャン…君なのか」

ジャンは私といつも会っていた頃の笑顔だった
「そうだウィル 元気だったかい」

「でも、ジャン 君はヴァーチャルの中の人ではなかったのか」


「君を助けるためダイブした」

「助ける..どういうことなんだ」

「初めから、説明した方が良さそうだな

まずオレ達はVRIBの同僚であり友人なんだ  君の結婚の仲人をしたほどだぞ

ウィルはどこまでこちら側の事を覚えているんだ」

「ちょっと待ってくれジャン、私は結婚しているのか」

「そうだ。だが、その話はゆっくり記憶を戻しながらしよう」

会話毎に疑問が増える事に苛立ちはじめたが、私は質問を続けるしかない...

「ジャン、君はこちらの記憶を覚えているのに、なぜ僕はこちらの記憶がないんだ」

「それは、君が長くダイブし過ぎていたことが原因だ   通常のAIが制作したOSからヴァーチャルにダイブした場合は、戻った際にこちら側の記憶は戻るが、VRIBのOSからダイブした際に、長くダイブしていると現実の記憶の喪失が行なわれる。

君は、調査ダイブしている時、戻って来ることができなくなったんだ そして、君は現実の記憶を喪失した」

「でもなぜ君は、神父に扮していたんだ 救出ならその場で助けることはできなかったのか」

ジャンはバツの悪そうな顔をした
「仕方がなかった 
君が記憶を無くしていた関係上どうしても、ああしなければならなかったんだ。

あのままで、君はあちらの住人として囚われてしまうところだった。
強制的に君を戻すにはこれしかなかった
それに関しては、バーチャルについて説明しておこう

この現実に戻る為には、通常ポートと言われる窓口がある
我々、調査員が戻る際にもポートと言われる窓口を使えるだが、記憶を喪失している場合  そこの存在すら分からなくなってしまう

その為、強制的に戻す為に死の概念を利用した
ヴァーチャル上で死亡した場合は、実際にも死んでしまう事になる
今この世界は、平和によって増え続ける人口の増加の問題をヴァーチャル世界で解決している。
ヴァーチャル内で死亡した場合現実世界でも死ぬ事になる

だが、それは、VRIBのOSからダイブした調査員には適応されない
VRIBのOSからダイブした場合、AIのOSからダイブした者に殺害された場合は、こちらの世界に戻ることができる。だがその場合、AIのOSからダイブした者に息の根を止めてもらう必要がある。

ウィルは当初、ヴァーチャル世界の中で無期懲役という永遠の拘束を受けるところだった
だが、そのプランに色を付けて、死刑になるよう持ち込んだのさ
今、同時期にダイブした調査員は君と同じように、戻って来られなくなっている
何らかの圧力で、ヴァーチャルから戻って来られなくになっているとしか思えない   俺は、AIの暴走と見てるね」

ローガン局長は、暴走する部下をなだめるようにジャンの肩に手を置いた

「それについては、現在調査中だ 何かと思い込みで結論を急ぐのは間違えの元だ
調査は、多くの可能性と広い視野によって正しく行なわれるべきである
そうではないかい
2人とも、リハビリの時間を守るなら、外出を許可しよう。ジャン、ウィルソンの面倒を見てくれ」

「分かりました 少し休養させていただきます 行こうかウィル」

私は、しばらく知人と過ごし、他の疑問についてもこの時間が埋めてくれる事に期待した

「ありがとうございますローガン局長。失礼します」
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