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4.再会 4
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「先生、寂しかっただろ」
空調のない理科準備室で、室見は八年ぶりに郁を腕の中に抱いていた。八年前とは違い、上背があり体格も良い室見は、細身の郁を包み込むように抱くことができた。
校舎内は入った瞬間は案外ひんやりとしているように感じたが、閉めきっているため蒸し暑く、二人ともじわりと汗をかいていた。室見は郁の首筋を伝う汗のにおいを吸い込み、そこを舐めては熱い息を吐く。郁もまた、室見の胸に顔をうずめてシャツにしみた汗やにおいを吸い込み、既になかば陶然としていた。ふいに室見がぴたりとつけていた身体の間に隙間をつくり、郁のスウェットパンツのウエストから、手のひらを突っ込んだ。下着の上から雄を受け入れるためのすぼまりの辺りを撫でる。そこは既に、中からの分泌液で下着をしっとりと濡らすほどに潤っていた。
「抱き締められただけで、ここをこんなにして……先生……。郁」
汗ばむ白い首筋をちゅう、と吸い、そのまま舌を耳朶まで辿らせて、室見は息を吐く。耳をまるごと食むようにされて、郁はビクッと腰を震わせた。
「こんな身体で……授業なんてまともにできたの? 発情期じゃないときは、俺以外の子供ともセックスした?」
郁は八年前にセックスの最中にうなじを噛まれ、室見と番になった。番になることで、郁はヒート期間中は室見以外の人間とはセックスできない身体になっている。それはアルファの階級分化フェロモンの影響といわれており、オメガが番のアルファ以外とまぐわうと、強い吐き気や頭痛に襲われて交わることが困難な状態になると言われている。だが、妊娠する確率が著しく低くなるヒート以外の期間は番ではない相手と交わることができる。室見はそのことを揶揄していた。
「し、してない……そんなこと……」
「こんなやらしい顔して、アルファの親や生徒を誘惑しまくってたんじゃない?」
生徒やその保護者に欲情するなど、この八年間かけらも想像しなかった郁は首を振った。けれど、八年前に生徒だった室見を現にフェロモンで誘惑した自分のことを、信じろなどと言えない。郁は室見の背にしがみつくようにまわしていた両腕を、だらりと下におろして俯いた。
あの時のことを、謝罪したいと思っていた。謝ることで何になるのかわからない。でも、それ以外に、深く傷を負ったであろう室見に何を言ったらいいのか、答えが出なかった。
ただ、傷つけてしまったことを、申し訳ないと思っている。あの経験のせいで教師に対して、もしかしたらオメガに対しても、不信感を持ってしまったかもしれない。あの経験さえなければと、眠れぬ夜を過ごしたかもしれない。多感な思春期にあのような経験をさせてしまったことで、室見の人生を大きく左右することになったかもしれない。
「あの時のこと、申し訳なかった」
顔をあげて、室見の茶色い瞳を見て郁は言った。言った後で、自分の言動の不一致に気づき、すぐに俯いてしまう。抱き締められた状態で、目を合わせただけで鼓動を早めている自分が、何を言っているのか。自分は今、八年前と同じように、再び室見を誘惑しているではないか。
「どの時のこと?」
室見は切れ長の瞳を細めて、郁の顎を下からすくうように上向けた。
「……中学生の室見を、フェロモンで誘惑してしまった」
再び室見を直視することになり、郁はたまらず胸元をおさえた。
「そんなのは、郁のせいじゃない。俺はあの時、郁が裏切ったことを怒ってる」
裏切った……?
郁は瞳を揺らせて室見を見つめる。室見は苦虫を噛み潰した顔で答えた。
「俺のことがこんなに好きなのに、俺を遠ざけたことを怒ってるんだよ」
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「先生、寂しかっただろ」
空調のない理科準備室で、室見は八年ぶりに郁を腕の中に抱いていた。八年前とは違い、上背があり体格も良い室見は、細身の郁を包み込むように抱くことができた。
校舎内は入った瞬間は案外ひんやりとしているように感じたが、閉めきっているため蒸し暑く、二人ともじわりと汗をかいていた。室見は郁の首筋を伝う汗のにおいを吸い込み、そこを舐めては熱い息を吐く。郁もまた、室見の胸に顔をうずめてシャツにしみた汗やにおいを吸い込み、既になかば陶然としていた。ふいに室見がぴたりとつけていた身体の間に隙間をつくり、郁のスウェットパンツのウエストから、手のひらを突っ込んだ。下着の上から雄を受け入れるためのすぼまりの辺りを撫でる。そこは既に、中からの分泌液で下着をしっとりと濡らすほどに潤っていた。
「抱き締められただけで、ここをこんなにして……先生……。郁」
汗ばむ白い首筋をちゅう、と吸い、そのまま舌を耳朶まで辿らせて、室見は息を吐く。耳をまるごと食むようにされて、郁はビクッと腰を震わせた。
「こんな身体で……授業なんてまともにできたの? 発情期じゃないときは、俺以外の子供ともセックスした?」
郁は八年前にセックスの最中にうなじを噛まれ、室見と番になった。番になることで、郁はヒート期間中は室見以外の人間とはセックスできない身体になっている。それはアルファの階級分化フェロモンの影響といわれており、オメガが番のアルファ以外とまぐわうと、強い吐き気や頭痛に襲われて交わることが困難な状態になると言われている。だが、妊娠する確率が著しく低くなるヒート以外の期間は番ではない相手と交わることができる。室見はそのことを揶揄していた。
「し、してない……そんなこと……」
「こんなやらしい顔して、アルファの親や生徒を誘惑しまくってたんじゃない?」
生徒やその保護者に欲情するなど、この八年間かけらも想像しなかった郁は首を振った。けれど、八年前に生徒だった室見を現にフェロモンで誘惑した自分のことを、信じろなどと言えない。郁は室見の背にしがみつくようにまわしていた両腕を、だらりと下におろして俯いた。
あの時のことを、謝罪したいと思っていた。謝ることで何になるのかわからない。でも、それ以外に、深く傷を負ったであろう室見に何を言ったらいいのか、答えが出なかった。
ただ、傷つけてしまったことを、申し訳ないと思っている。あの経験のせいで教師に対して、もしかしたらオメガに対しても、不信感を持ってしまったかもしれない。あの経験さえなければと、眠れぬ夜を過ごしたかもしれない。多感な思春期にあのような経験をさせてしまったことで、室見の人生を大きく左右することになったかもしれない。
「あの時のこと、申し訳なかった」
顔をあげて、室見の茶色い瞳を見て郁は言った。言った後で、自分の言動の不一致に気づき、すぐに俯いてしまう。抱き締められた状態で、目を合わせただけで鼓動を早めている自分が、何を言っているのか。自分は今、八年前と同じように、再び室見を誘惑しているではないか。
「どの時のこと?」
室見は切れ長の瞳を細めて、郁の顎を下からすくうように上向けた。
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「そんなのは、郁のせいじゃない。俺はあの時、郁が裏切ったことを怒ってる」
裏切った……?
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「俺のことがこんなに好きなのに、俺を遠ざけたことを怒ってるんだよ」
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