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後日談ーもう一度あの時をー 双子の義弟8
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ほどなくして店員が三人の前に注文通りの飲み物を置いていった。コト、という音に反応して目を覚ましたウィリーが、目を丸くした。
「これなあに? ミント?」
鮮やかなグリーンのソーダ水の上に白くて丸いバニラアイスと、赤いサクランボ。
「メロンソーダっていうんだ」
ウィリーは郁の顔を見ながら恐る恐る曲がるストローに口をつけた。そのままこくこくと半分飲み干してしまう。
「おいしー!」
長いスプーンでアイスクリームと格闘し始めたウィリーに、郁はほっとした顔をした。
「ノアも試してみて」
促されてノアはストローを吸った。よく冷えたソーダ水が喉を伝い心地よかった。銀色の長いスプーンで、緑色にとけはじめた白いバニラアイスをすくって舌の上にのせる。塊が一瞬でとけて口のなかに甘い味が広がっていった。確かにすごくおいしい。アイスクリームが緑色のソーダに溶けて、薄い緑色になってるぐちゃぐちゃなところが特に。
「……ノア」
無心でメロンソーダを食べていると、突然頭を撫でられた。真面目な顔をした郁が、何度も何度もノアの金髪を撫でていた。
なにすんだ、このやろう、と殴ってやりたかった。できなかった。頭を撫でていた指先が、ノアの目の下を擦って涙を拭った。何度かそうされても、どんどん溢れてきて止まらなかった。
「ノアはメアリーからの愛情が、カナに取られるって拗ねてたんだよ。愛が減るわけじゃないのにさ」
口の端にアイスクリームを付けたウィリーがのんびり解説した。ノアは泣きながらウィリーに突っかかる。
「減る! 明らかに減るよ、現に俺たちと過ごしてた時間をカナと過ごす時間に奪われてるじゃないか! 今だって、カナがいなかったら俺たちがメアリーと買い物してたよ!」
後から後から流れてくる涙と一緒に、ノアの鬱憤がついに爆発した。
「ノアはさみしかったんだね」
殴ってめちゃくちゃにして、憂さを晴らしてやろうと思っていた相手に慰められて、余計に腹が立つ。けれど一方で、涙を拭ってくれるその相手の指が離れて欲しくなくてしょうがない。
「そのさみしい分は、母さん……カナと俺が愛するんじゃ、だめかな」
「これなあに? ミント?」
鮮やかなグリーンのソーダ水の上に白くて丸いバニラアイスと、赤いサクランボ。
「メロンソーダっていうんだ」
ウィリーは郁の顔を見ながら恐る恐る曲がるストローに口をつけた。そのままこくこくと半分飲み干してしまう。
「おいしー!」
長いスプーンでアイスクリームと格闘し始めたウィリーに、郁はほっとした顔をした。
「ノアも試してみて」
促されてノアはストローを吸った。よく冷えたソーダ水が喉を伝い心地よかった。銀色の長いスプーンで、緑色にとけはじめた白いバニラアイスをすくって舌の上にのせる。塊が一瞬でとけて口のなかに甘い味が広がっていった。確かにすごくおいしい。アイスクリームが緑色のソーダに溶けて、薄い緑色になってるぐちゃぐちゃなところが特に。
「……ノア」
無心でメロンソーダを食べていると、突然頭を撫でられた。真面目な顔をした郁が、何度も何度もノアの金髪を撫でていた。
なにすんだ、このやろう、と殴ってやりたかった。できなかった。頭を撫でていた指先が、ノアの目の下を擦って涙を拭った。何度かそうされても、どんどん溢れてきて止まらなかった。
「ノアはメアリーからの愛情が、カナに取られるって拗ねてたんだよ。愛が減るわけじゃないのにさ」
口の端にアイスクリームを付けたウィリーがのんびり解説した。ノアは泣きながらウィリーに突っかかる。
「減る! 明らかに減るよ、現に俺たちと過ごしてた時間をカナと過ごす時間に奪われてるじゃないか! 今だって、カナがいなかったら俺たちがメアリーと買い物してたよ!」
後から後から流れてくる涙と一緒に、ノアの鬱憤がついに爆発した。
「ノアはさみしかったんだね」
殴ってめちゃくちゃにして、憂さを晴らしてやろうと思っていた相手に慰められて、余計に腹が立つ。けれど一方で、涙を拭ってくれるその相手の指が離れて欲しくなくてしょうがない。
「そのさみしい分は、母さん……カナと俺が愛するんじゃ、だめかな」
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