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第3章 交錯する思惑
(10)驚愕の事態
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その日一日の勤務を終え、食堂で夕食を食べ終えたアルティナは、チラッと斜め後方を振り返った。
(騎士団の執務棟では、明日の一斉捜索の最終打ち合わせをしている頃ね)
そこで彼女は苦笑いしてから何事も無かったように、寮に向かって再び歩き出す。
(“アルティナ”はあまりこの件には係わってはいないし、“アルティン”の設定を知らない実行部隊の小隊長達も出席するから、会議から弾かれたけど……。まあ、団長やアトラス隊長が詳細を詰めているし、今回は成果を上げてくれるわ。心配要らないわね)
そう自分自身に言い聞かせているうちに、寮に帰り着いたアルティナだったが、二階に上がった途端に呼び止められた。
「あ、アルティナ! 遅かったじゃない!」
「アルティナさん、待ってたんですよ?」
「え? ラリーサさん、アリアさん、どうかしたんですか?」
駆け寄って来た同僚達に、アルティナが怪訝な顔を向けると、彼女達は不安そうに訴えた。
「リディアの居場所を知らない!?」
「副隊長が、まだ寮に戻って来ないんです!」
「ちょっと待って。どういう事? 偶々外出許可でも、取っているだけでは無いの?」
不在と言うだけで騒ぎになるわけは無く、アルティナが不思議そうに問い返すと、二人は口々に訴え始めた。
「私達、勤務を終えてから、そのままリディアを含めた三人で食堂に行ったのよ」
「でも何だか、副隊長の様子が変で」
「ぶつぶつと、良く分からない事を呟いていたし」
「凄く怖い顔で、料理を睨み付けてもいましたよ?」
「ええと……、リディアだって偶には、真剣に悩む事もあるんじゃないかしら?」
何とも言えずにアルティナはリディアを擁護しようとしたが、ここでラリーサ達が口にした内容に、引っかかりを覚えた。
「それだけじゃなくて、『グレイシアさんなら知ってるかも!』とか何とか叫びながら、勢い良く立ち上がって」
「そのまま食事を中断して、食堂から出て行ってしまったんです。そして未だに寮に戻っていなくて、気になってしまって」
(どうしてそこで、グレイシアさんの名前が出てくるの?)
何となく不穏な物を感じ始めながらも、取り敢えずこの場を収める必要性を感じたアルティナは、二人を宥めた。
「あの……、そういう事なら、何か事情を知っていそうな人に聞いてみるわ。それほど心配しなくても、大丈夫だと思うから」
「そうして貰える?」
「それなら安心ですけど」
二人が安堵した表情で頷いたのも束の間、階段を上がって来た白騎士隊の同僚が口にした一言で、再びその場の空気が困惑と緊張を孕んだ物になった。
「アルティナ、下にお客様が来ているわ。上級女官のグレイシア・ケライスと名乗っている方で、リディアかアルティナに会いたいって言っているの」
「え? グレイシアさんが? ありがとう、すぐに下りるわ」
(どういう事? わざわざグレイシアさんが、寮を訪ねてくるなんて。さっきの話もそうだけど、何だか嫌な予感がするわ)
礼を述べてすぐさま階段を下りたアルティナだったが、丁度話題に出した名前の人物が現れた為、ラリーサ達も無言で顔を見合わせてから、彼女の後を追った。
「グレイシアさん、お待たせしました」
寮の入り口に佇んでいたグレイシアを認めてアルティナが声をかけると、彼女は恐縮気味に軽く頭を下げた。
「いえ、こちらこそ、急にこんな所まで押しかけてしまってごめんなさい。どうしても気になってしまったものだから」
「何かありましたか?」
「実は少し前に、リディアが私を訪ねて来て、マークス・ダリッシュの住んでいる所を聞いてきたの」
それを聞いたアルティナは、先程のグレイシアと同様に、僅かに眉根を寄せた。
「マークス・ダリッシュの?」
「ええ。正確な住所までは知らなかったものの、シャーペス街の奥の筈だと彼女に教えたら、何故そんな事を聞いたのか理由を尋ねる間も無く、走り去ってしまって……。彼女はこちらに戻ってはいませんか?」
「実は、まだ戻っていないんです。それであなたの名前を食事の時に出していたと聞いて、何か知っていないかと、お伺いする所だったのですが」
「まさか……、本当にマークス・ダリッシュの家に出向いているの?」
そこで深刻な表情でグレイシアが呟いた為、アルティナは益々怪訝な顔になって尋ねた。
「どうしてリディアが、そこに行く必要があるのですか?」
そこでグレイシアは、他の白騎士隊員達が自分達を遠巻きにしているのを認め、他の者に聞かれないように声を潜めて指摘する。
「アルティナ様は失念しているようですが、彼女の義父の作品は、マークス・ダリッシュの名前で発表されていますのよ? 彼の名前が地に落ちたら、その作品の評価も消し飛ぶとは思われませんか? それだけなら良いのですが保持するのも恥だと思われて、それらの絵を所有者たちが廃棄してしまう可能性すらありますわ」
それを聞いたアルティナは、思わず額を押さえて呻いた。
「……迂闊にもその視点は、すっかり欠落していました。まさか彼女はダリッシュに穏当な処分が下るように、自首を勧めに行ったのでしょうか?」
「そう考えるのが妥当かと。ですが、色々と性根が腐っているとしか思えない男が、素直に彼女の話に耳を傾けるとも思えません」
「それ以前に、実は騎士団が明日、関係各所へ一斉捜索に入る予定になっているんです。この段階でリディアが下手に動くと、相手側にそれが察知されてぶち壊しになる可能性すらあります」
「それは大変だわ。どうしましょう、彼女が来た時、もっと考えれば良かったのに」
事態の深刻さを悟って、グレイシアが顔を青ざめさせる中、アルティナは素早く決断した。
「私はこれからリディアを追いかけて、引き止めてみます。申し訳ありませんが、グレイシアさんは今から騎士団の執務棟に行って、打ち合わせ中の団長に、今の話を伝えて下さい」
「分かりました、お気をつけて」
そこでアルティナは背後を振り返り、少し離れた所で二人の話に聞き耳を立てていたラリーサ達に、大声で頼んだ。
「ラリーサ、アリア、お願い! グレイシアさんだけだと、執務棟の警備担当の騎士に入れて貰えないかもしれないから、あなた達で彼女を団長の所まで連れて行ってあげて! 詳しい事は言えないけど、一刻を争う事態なの!」
「分かったわ! リディアの事は頼んだわよ!」
「任せて!」
(リディア、お願いだから先走らないでよ? どう考えても、まともに話が通じる相手とは思えないし)
それからアルティナは迷わず駆け出し、幾つかの建物を通り抜けて、騎士団の厩舎の前に到達した。
「すみません、馬を一頭お借りしたいのですが!」
すると、どうやら夜間巡回に出る騎士達用の馬を揃えていた係官の一人は、白い制服のアルティナを見るなり鞍を付ける手を止め、怒りの形相で怒鳴りつけてきた。
「また白騎士隊かよ! あんたら、いい加減にしろ! 馬を借り出すなら、ちゃんと正規の手続きを取れ!」
それを聞いたアルティナが、焦りの表情を濃くする。
「『また白騎士隊』って……、まさかリディアは、馬に乗って行ったの!?」
「名前までは知らないが、一時間ほど前にな」
「てっきり歩いて行ったと思ったのに……。計算が狂ったわ! 借りるわよ!」
「あ、おい! だからちゃんと手続きを!」
アルティナは係官達に有無を言わせず、既に馬具を付け終えていた馬に飛び乗り、即座に駆けさせながら背後を振り返って叫んだ。
「文句は団長と隊長に言って! 悪いけど緊急事態だから、行かせて貰うわ!」
「こら! ふざけるな!!」
(リディアは下手をすると、もうマークス・ダリッシュの家に辿り着いているかも。制服姿でそこに出入りしている関係者に目撃されたら、怪しんでくれと言っているようなものだわ)
背後から響いて来る怒りの声を完全に無視しながら、アルティナはシャーペス街に向かって、全速力で馬を走らせていった。
(騎士団の執務棟では、明日の一斉捜索の最終打ち合わせをしている頃ね)
そこで彼女は苦笑いしてから何事も無かったように、寮に向かって再び歩き出す。
(“アルティナ”はあまりこの件には係わってはいないし、“アルティン”の設定を知らない実行部隊の小隊長達も出席するから、会議から弾かれたけど……。まあ、団長やアトラス隊長が詳細を詰めているし、今回は成果を上げてくれるわ。心配要らないわね)
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「あ、アルティナ! 遅かったじゃない!」
「アルティナさん、待ってたんですよ?」
「え? ラリーサさん、アリアさん、どうかしたんですか?」
駆け寄って来た同僚達に、アルティナが怪訝な顔を向けると、彼女達は不安そうに訴えた。
「リディアの居場所を知らない!?」
「副隊長が、まだ寮に戻って来ないんです!」
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「私達、勤務を終えてから、そのままリディアを含めた三人で食堂に行ったのよ」
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「ぶつぶつと、良く分からない事を呟いていたし」
「凄く怖い顔で、料理を睨み付けてもいましたよ?」
「ええと……、リディアだって偶には、真剣に悩む事もあるんじゃないかしら?」
何とも言えずにアルティナはリディアを擁護しようとしたが、ここでラリーサ達が口にした内容に、引っかかりを覚えた。
「それだけじゃなくて、『グレイシアさんなら知ってるかも!』とか何とか叫びながら、勢い良く立ち上がって」
「そのまま食事を中断して、食堂から出て行ってしまったんです。そして未だに寮に戻っていなくて、気になってしまって」
(どうしてそこで、グレイシアさんの名前が出てくるの?)
何となく不穏な物を感じ始めながらも、取り敢えずこの場を収める必要性を感じたアルティナは、二人を宥めた。
「あの……、そういう事なら、何か事情を知っていそうな人に聞いてみるわ。それほど心配しなくても、大丈夫だと思うから」
「そうして貰える?」
「それなら安心ですけど」
二人が安堵した表情で頷いたのも束の間、階段を上がって来た白騎士隊の同僚が口にした一言で、再びその場の空気が困惑と緊張を孕んだ物になった。
「アルティナ、下にお客様が来ているわ。上級女官のグレイシア・ケライスと名乗っている方で、リディアかアルティナに会いたいって言っているの」
「え? グレイシアさんが? ありがとう、すぐに下りるわ」
(どういう事? わざわざグレイシアさんが、寮を訪ねてくるなんて。さっきの話もそうだけど、何だか嫌な予感がするわ)
礼を述べてすぐさま階段を下りたアルティナだったが、丁度話題に出した名前の人物が現れた為、ラリーサ達も無言で顔を見合わせてから、彼女の後を追った。
「グレイシアさん、お待たせしました」
寮の入り口に佇んでいたグレイシアを認めてアルティナが声をかけると、彼女は恐縮気味に軽く頭を下げた。
「いえ、こちらこそ、急にこんな所まで押しかけてしまってごめんなさい。どうしても気になってしまったものだから」
「何かありましたか?」
「実は少し前に、リディアが私を訪ねて来て、マークス・ダリッシュの住んでいる所を聞いてきたの」
それを聞いたアルティナは、先程のグレイシアと同様に、僅かに眉根を寄せた。
「マークス・ダリッシュの?」
「ええ。正確な住所までは知らなかったものの、シャーペス街の奥の筈だと彼女に教えたら、何故そんな事を聞いたのか理由を尋ねる間も無く、走り去ってしまって……。彼女はこちらに戻ってはいませんか?」
「実は、まだ戻っていないんです。それであなたの名前を食事の時に出していたと聞いて、何か知っていないかと、お伺いする所だったのですが」
「まさか……、本当にマークス・ダリッシュの家に出向いているの?」
そこで深刻な表情でグレイシアが呟いた為、アルティナは益々怪訝な顔になって尋ねた。
「どうしてリディアが、そこに行く必要があるのですか?」
そこでグレイシアは、他の白騎士隊員達が自分達を遠巻きにしているのを認め、他の者に聞かれないように声を潜めて指摘する。
「アルティナ様は失念しているようですが、彼女の義父の作品は、マークス・ダリッシュの名前で発表されていますのよ? 彼の名前が地に落ちたら、その作品の評価も消し飛ぶとは思われませんか? それだけなら良いのですが保持するのも恥だと思われて、それらの絵を所有者たちが廃棄してしまう可能性すらありますわ」
それを聞いたアルティナは、思わず額を押さえて呻いた。
「……迂闊にもその視点は、すっかり欠落していました。まさか彼女はダリッシュに穏当な処分が下るように、自首を勧めに行ったのでしょうか?」
「そう考えるのが妥当かと。ですが、色々と性根が腐っているとしか思えない男が、素直に彼女の話に耳を傾けるとも思えません」
「それ以前に、実は騎士団が明日、関係各所へ一斉捜索に入る予定になっているんです。この段階でリディアが下手に動くと、相手側にそれが察知されてぶち壊しになる可能性すらあります」
「それは大変だわ。どうしましょう、彼女が来た時、もっと考えれば良かったのに」
事態の深刻さを悟って、グレイシアが顔を青ざめさせる中、アルティナは素早く決断した。
「私はこれからリディアを追いかけて、引き止めてみます。申し訳ありませんが、グレイシアさんは今から騎士団の執務棟に行って、打ち合わせ中の団長に、今の話を伝えて下さい」
「分かりました、お気をつけて」
そこでアルティナは背後を振り返り、少し離れた所で二人の話に聞き耳を立てていたラリーサ達に、大声で頼んだ。
「ラリーサ、アリア、お願い! グレイシアさんだけだと、執務棟の警備担当の騎士に入れて貰えないかもしれないから、あなた達で彼女を団長の所まで連れて行ってあげて! 詳しい事は言えないけど、一刻を争う事態なの!」
「分かったわ! リディアの事は頼んだわよ!」
「任せて!」
(リディア、お願いだから先走らないでよ? どう考えても、まともに話が通じる相手とは思えないし)
それからアルティナは迷わず駆け出し、幾つかの建物を通り抜けて、騎士団の厩舎の前に到達した。
「すみません、馬を一頭お借りしたいのですが!」
すると、どうやら夜間巡回に出る騎士達用の馬を揃えていた係官の一人は、白い制服のアルティナを見るなり鞍を付ける手を止め、怒りの形相で怒鳴りつけてきた。
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それを聞いたアルティナが、焦りの表情を濃くする。
「『また白騎士隊』って……、まさかリディアは、馬に乗って行ったの!?」
「名前までは知らないが、一時間ほど前にな」
「てっきり歩いて行ったと思ったのに……。計算が狂ったわ! 借りるわよ!」
「あ、おい! だからちゃんと手続きを!」
アルティナは係官達に有無を言わせず、既に馬具を付け終えていた馬に飛び乗り、即座に駆けさせながら背後を振り返って叫んだ。
「文句は団長と隊長に言って! 悪いけど緊急事態だから、行かせて貰うわ!」
「こら! ふざけるな!!」
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