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10.苛立ち
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「それではこの訴訟に関しては、今回確認した内容で進めさせて頂きます」
「早速、東京高裁に出向いて、手続きを執り行いますので」
「先生方、宜しくお願いします」
事務所内で民事部門経済事案班に所属している淳は、その日、同僚と二人で依頼を受けた企業に出向き、担当役員と打ち合わせを済ませたが、途端に相手方の傲慢な物言いが癪に障った。
「いやぁ、この手の訴訟に詳しいそちらに引き受けて頂けたのなら、あんな恩知らずなど蹴散らすのは容易いでしょうな!」
「全くです。施設も資材も会社の物を使い放題で開発した特許ですから、権利は全て会社に帰属するのが当然でしょうに、勘違いした馬鹿野が」
「あんな恩知らずに、退職金を満額払っただけでも忌々しいぞ」
「はっ! 今回の控訴で裁判費用に全部むしり取られるだけですよ。技術開発では有能だったかもしれませんが、金勘定はからきしですね」
「当然だ。俺達が開発費用をどれだけ苦労してかき集めたと思ってる。資金を枯渇する様なリスクも冒さずに、気ままに研究だけしていた物の道理を弁えない馬鹿に、目に物見せてやる。後から泣きを入れても遅いぞ」
そんな事を言い合いながら高笑いしている面々を、淳も同席している森口も表情を変えずに帰り支度をしていたが、ここで淳が机の向こう側に並んでいる彼等に向かって、穏やかに声をかけた。
「申し訳ありません。最後に一言言わせて貰っても、宜しいでしょうか?」
「はい、先生。何か?」
「小早川? お前、何を……」
役員も森口も怪訝な表情で淳に目を向けると、彼は淡々とした口調で言ってのけた。
「率直に申し上げますと、ここまで揉める事になったのは、そもそも社員に対する貴社の対応に、著しく問題があった為だと思われます」
「何だと?」
「おい、小早川!」
明らかに依頼側を非難する内容に、周りの者達は顔色を変えたが、淳だけは表情を変えないまま冷静に言葉を継いだ。
「確かに在職中に開発した特許に関する権利が、全て開発者に帰すると考えるのは暴論ですが、個人の貢献度を全く考えずに全て企業に帰すると言う考え方も、現在の社会通念上あり得ません。ここまでこじれる前に、例えばストックオプション制度などを導入して、企業の業績に応じた利益を得られる様にして、社員のモチベーションを高める努力をしても良かったのではないかと」
「貴様は弁護士だろうが!? 企業の経営方針にまで口を挟む気か!」
そう怒鳴りつけられた淳は、ここでわざとらしく驚いてみせる。
「滅相もありません。ただ今回、こんな膨大な請求金額の訴訟を元社員に起こされた本当の意味を、きちんとご理解して頂けているのかと愚考しまして」
「本当の意味?」
怪訝な顔で問いかけてきた役員に向かって、淳は軽く頷いてから話を続けた。
「科学特許分野の貢献度など、第三者が断定する事など不可能に近いでしょう。それに加えて、あちらが50%を主張しているのに、こちらは1%の評価しか下しておらず、差が大きすぎます」
「当然だ!」
「ですが、それを今現在、貴社に所属している社員達が目にしたらどう思うでしょう? それにこの場合、どう考えても裁判所から和解案が提示されます。正直に申しますと、10~25%が妥当な線でしょうか?」
「……だったら、何だと言うんだ」
不満げに睨み付ける相手にも臆さず、淳は冷静に指摘した。
「このまま貴社に骨を埋めたくないと言う人間や、一方的に搾取されていたと逆恨みする人間が出てくるのではないかと。こういう方法もあると、今回先方が身を持って実践し、前例ができてしまいましたから。ですからこれは、金額云々が問題ではなく、社内に残っている同僚や後輩への、先方なりのアピールとも取れるかと」
「…………」
これから生じるかもしれないその懸念を想像したのか、先程まで威勢の良かった面々が揃って黙り込んだ。それに止めを刺す如く、先程までとは打って変わった笑顔になった淳が、如何にも楽しげに言ってのける。
「ですが、訴訟になればなるほど私達の仕事が増えますから、これ以上口を挟むつもりはありません。寧ろ揉めて下さった方が、こちらとしては仕事が増えて願ったり叶ったりですので」
「なっ!」
「貴様っ!」
そんな明らかに嫌味と分かる物言いに、役員達は一瞬ポカンとしてから忽ち顔を怒りで赤く染めたが、彼等が何か言う前に森口が左手で鞄を、右手で淳の腕を掴んで立ち上がり、非礼で無い程度に一礼する。
「それでは失礼します。速やかに手続きを行いますので」
「失礼します」
そして有無を言わさずに会議室から引きずり出された淳は、押し黙った森口と共に依頼先の社屋ビルを出たが、公道に出た途端、盛大に叱りつけられた。
「おい! あれは一体、何の真似だ!? クライアントに楯突くなんて、いつも冷静なお前らしく無いぞ?」
その叱責に、明らかに自分の非を認めていた淳は、素直に頭を下げた。
「すみません、森口さん。あの高笑いを聞いていたら、無性に腹が立ちまして」
「まあ……、確かにな。これまでにもあれだけ調停の場を設けたのに、全部向こうの主張を受け入れずに一蹴してたし。気持ちは分かるが、これで抗議が来て、担当を外されるかもしれないぞ?」
「ご迷惑おかけしたら、申し訳ありません」
「俺が聞きたいのは謝罪の言葉じゃなくて、最近お前が冷静さを欠いている理由だ。何かあったのか? 先週末辺りから、苛ついてるだろ?」
渋面になっていきなり核心を突いてきた、先輩でもある彼に、淳は俯きがちになりながら神妙に問いかけた。
「……分かりますか?」
それに森口が、溜め息混じりに応じる。
「ちょっとおかしい、と感じる位にはな。俺はお前とセクションが同じだし、机も近いし。他の奴が気付いているかどうかまでは分からん。今のところ、事務所内で噂にはなって無いぞ?」
「そうですか……」
「それで?」
すかさず聞いてきた森口に、淳は再び深く頭を下げる。
「すみません、一応プライベートなので……」
すると森口は、予想外にあっさりと引いた。
「分かった。これ以上聞かないが、仕事に支障をきたす真似だけはするな。それと仕事中はそれに徹しろ。こんな新人に対して注意する様な内容、二度と俺に口にさせるなよ?」
「はい、勿論です」
尤もな忠告に反論できる筈もなく、淳は神妙に頷いた。そこで森口が、思い出した様に付け足す。
「そう言えばこの前、そろそろ結婚するって言ってたよな? それなら余計に、腑抜けてる場合じゃ無いだろうが」
「……肝に銘じておきます」
一瞬反応が遅れたものの、淳は傍目には冷静に応じたが、それなりの付き合いがある森口は、彼が結婚云々を耳にした瞬間、僅かに顔を強張らせたのを素早く見て取った。
(うん? こいつに限ってまさかとは思うが、何か結婚に関してトラブってるのか?)
そんな疑念を覚えた森口だったが、明らかにプライベートに関する事である為、それ以上無闇に追及したりはせず、淳はそんな森口の察しの良さに、密かに感謝した。
「早速、東京高裁に出向いて、手続きを執り行いますので」
「先生方、宜しくお願いします」
事務所内で民事部門経済事案班に所属している淳は、その日、同僚と二人で依頼を受けた企業に出向き、担当役員と打ち合わせを済ませたが、途端に相手方の傲慢な物言いが癪に障った。
「いやぁ、この手の訴訟に詳しいそちらに引き受けて頂けたのなら、あんな恩知らずなど蹴散らすのは容易いでしょうな!」
「全くです。施設も資材も会社の物を使い放題で開発した特許ですから、権利は全て会社に帰属するのが当然でしょうに、勘違いした馬鹿野が」
「あんな恩知らずに、退職金を満額払っただけでも忌々しいぞ」
「はっ! 今回の控訴で裁判費用に全部むしり取られるだけですよ。技術開発では有能だったかもしれませんが、金勘定はからきしですね」
「当然だ。俺達が開発費用をどれだけ苦労してかき集めたと思ってる。資金を枯渇する様なリスクも冒さずに、気ままに研究だけしていた物の道理を弁えない馬鹿に、目に物見せてやる。後から泣きを入れても遅いぞ」
そんな事を言い合いながら高笑いしている面々を、淳も同席している森口も表情を変えずに帰り支度をしていたが、ここで淳が机の向こう側に並んでいる彼等に向かって、穏やかに声をかけた。
「申し訳ありません。最後に一言言わせて貰っても、宜しいでしょうか?」
「はい、先生。何か?」
「小早川? お前、何を……」
役員も森口も怪訝な表情で淳に目を向けると、彼は淡々とした口調で言ってのけた。
「率直に申し上げますと、ここまで揉める事になったのは、そもそも社員に対する貴社の対応に、著しく問題があった為だと思われます」
「何だと?」
「おい、小早川!」
明らかに依頼側を非難する内容に、周りの者達は顔色を変えたが、淳だけは表情を変えないまま冷静に言葉を継いだ。
「確かに在職中に開発した特許に関する権利が、全て開発者に帰すると考えるのは暴論ですが、個人の貢献度を全く考えずに全て企業に帰すると言う考え方も、現在の社会通念上あり得ません。ここまでこじれる前に、例えばストックオプション制度などを導入して、企業の業績に応じた利益を得られる様にして、社員のモチベーションを高める努力をしても良かったのではないかと」
「貴様は弁護士だろうが!? 企業の経営方針にまで口を挟む気か!」
そう怒鳴りつけられた淳は、ここでわざとらしく驚いてみせる。
「滅相もありません。ただ今回、こんな膨大な請求金額の訴訟を元社員に起こされた本当の意味を、きちんとご理解して頂けているのかと愚考しまして」
「本当の意味?」
怪訝な顔で問いかけてきた役員に向かって、淳は軽く頷いてから話を続けた。
「科学特許分野の貢献度など、第三者が断定する事など不可能に近いでしょう。それに加えて、あちらが50%を主張しているのに、こちらは1%の評価しか下しておらず、差が大きすぎます」
「当然だ!」
「ですが、それを今現在、貴社に所属している社員達が目にしたらどう思うでしょう? それにこの場合、どう考えても裁判所から和解案が提示されます。正直に申しますと、10~25%が妥当な線でしょうか?」
「……だったら、何だと言うんだ」
不満げに睨み付ける相手にも臆さず、淳は冷静に指摘した。
「このまま貴社に骨を埋めたくないと言う人間や、一方的に搾取されていたと逆恨みする人間が出てくるのではないかと。こういう方法もあると、今回先方が身を持って実践し、前例ができてしまいましたから。ですからこれは、金額云々が問題ではなく、社内に残っている同僚や後輩への、先方なりのアピールとも取れるかと」
「…………」
これから生じるかもしれないその懸念を想像したのか、先程まで威勢の良かった面々が揃って黙り込んだ。それに止めを刺す如く、先程までとは打って変わった笑顔になった淳が、如何にも楽しげに言ってのける。
「ですが、訴訟になればなるほど私達の仕事が増えますから、これ以上口を挟むつもりはありません。寧ろ揉めて下さった方が、こちらとしては仕事が増えて願ったり叶ったりですので」
「なっ!」
「貴様っ!」
そんな明らかに嫌味と分かる物言いに、役員達は一瞬ポカンとしてから忽ち顔を怒りで赤く染めたが、彼等が何か言う前に森口が左手で鞄を、右手で淳の腕を掴んで立ち上がり、非礼で無い程度に一礼する。
「それでは失礼します。速やかに手続きを行いますので」
「失礼します」
そして有無を言わさずに会議室から引きずり出された淳は、押し黙った森口と共に依頼先の社屋ビルを出たが、公道に出た途端、盛大に叱りつけられた。
「おい! あれは一体、何の真似だ!? クライアントに楯突くなんて、いつも冷静なお前らしく無いぞ?」
その叱責に、明らかに自分の非を認めていた淳は、素直に頭を下げた。
「すみません、森口さん。あの高笑いを聞いていたら、無性に腹が立ちまして」
「まあ……、確かにな。これまでにもあれだけ調停の場を設けたのに、全部向こうの主張を受け入れずに一蹴してたし。気持ちは分かるが、これで抗議が来て、担当を外されるかもしれないぞ?」
「ご迷惑おかけしたら、申し訳ありません」
「俺が聞きたいのは謝罪の言葉じゃなくて、最近お前が冷静さを欠いている理由だ。何かあったのか? 先週末辺りから、苛ついてるだろ?」
渋面になっていきなり核心を突いてきた、先輩でもある彼に、淳は俯きがちになりながら神妙に問いかけた。
「……分かりますか?」
それに森口が、溜め息混じりに応じる。
「ちょっとおかしい、と感じる位にはな。俺はお前とセクションが同じだし、机も近いし。他の奴が気付いているかどうかまでは分からん。今のところ、事務所内で噂にはなって無いぞ?」
「そうですか……」
「それで?」
すかさず聞いてきた森口に、淳は再び深く頭を下げる。
「すみません、一応プライベートなので……」
すると森口は、予想外にあっさりと引いた。
「分かった。これ以上聞かないが、仕事に支障をきたす真似だけはするな。それと仕事中はそれに徹しろ。こんな新人に対して注意する様な内容、二度と俺に口にさせるなよ?」
「はい、勿論です」
尤もな忠告に反論できる筈もなく、淳は神妙に頷いた。そこで森口が、思い出した様に付け足す。
「そう言えばこの前、そろそろ結婚するって言ってたよな? それなら余計に、腑抜けてる場合じゃ無いだろうが」
「……肝に銘じておきます」
一瞬反応が遅れたものの、淳は傍目には冷静に応じたが、それなりの付き合いがある森口は、彼が結婚云々を耳にした瞬間、僅かに顔を強張らせたのを素早く見て取った。
(うん? こいつに限ってまさかとは思うが、何か結婚に関してトラブってるのか?)
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